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岡田准一「日本文化に貢献できるような活動をしていきたい」 『超 国宝』展の音声ガイドに込めた“美”の創造者たちへのリスペクト

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3月に『情熱大陸』(MBS/TBS系)が2週連続での放映となり、大きな話題を呼んだ岡田准一。番組内では、仏師・加藤巍山ら日本文化の継承者たちを世界に発信する岡田のプロジェクトが映し出されていた。仏像をはじめとする日本古来の美術に対して、深いリスペクトを抱く彼が、4月19日(土)〜6月15日(日)まで開催される奈良国立博物館開館130年記念特別展『超 国宝−祈りのかがやき−』の音声ガイドナビゲーターを務める。岡田は、日本文化や国宝に対してどのような思いを抱いているのか。詳しく話を聞いた。

「美しさに対するリスペクト」を音声ガイドに込めて

――『超 国宝−祈りのかがやき−』は、約110件の国宝、約20件の重要文化財を含む約140件の仏教・神道美術を一挙公開する展覧会です。奈良国立博物館の中でも過去最大規模となる国宝展で、音声ナビゲーターのお話を聞いた時の率直な感想を教えてください。

もともと、日本文化に対して貢献できるような活動をしたいと長年思っていましたし、僕自身、時代劇の仕事などを通して日本文化を継承していきたいというような想いもあって、音声ガイドのお話をいただいた時は、率直に光栄なことだと思いました。

音声ガイドの録音をする際に気をつけたのは、どれだけ感情を込められるか、心を込められるかということです。俳優として自分が音声ガイドナビゲーターを務める意義は、感情を込めて、観客の方に寄り添って作品の美しさとか信仰とかを伝えることだと思ったのでそこは意識しました。

僕はいいものを見ると、「ああ、僕も仕事を頑張ろう」と思うんです。作品そのものはもちろんですが、作品を作った人へのリスペクトがあるので、ここまで後世に残るようなものを作った人の想いを感じることができるのは、僕にとってはご褒美のようなものです。

極限まで美しさを追求した国宝クラスの美術には、物自体が発する独特の気配があるんですよね。作品と向き合うときに、長年にわたって大切にされてきたり、祈り伝えられてきたものの気配を感じることが僕は大事だと思っているので、そういった日本の、長くて深い歴史の気配みたいなものを感じとるお手伝いが音声ガイドを通じてできればいいなと思っています。

――感情を込めることを意識されたということですが、具体的にはどのような想いを強く込められたのでしょうか。

「美しさに対するリスペクト」ですかね。物を作ることはそこだと思っていて、自然に対する憧れや恐れ、昔の日本人が心の中心に据えていた仏教・神道の考え方や祈りの気持ち。そういったいろんなことを「美」に変えて、形にしていくことが物を作るということだと思うんです。

ただ、これらを形に落とし込むことは、美に対するリスペクトがあればあるほど難しい。それを成し遂げた、圧倒的なクリエイティビティを誇る作品たちが国宝クラスの作品であり、「これが美しいんだ」と観る者を納得させる力を持ち得るんですよね。「こんな感じでどうですか?」というレベルでは、到底たどり着けない境地だと思います。

そういった美に対するリスペクト、「これは美しい」と堂々と差し出す感情というか、そこを大事にしました。

時代劇から深まっていった日本文化への興味

――そもそも岡田さんが日本文化や歴史に興味を持たれたきっかけは、どういったところにあるのでしょうか?

中学生の頃は、社会科の先生になりたかったんです。もともと歴史好きだったこともありますが、より興味を持ったのは時代劇に携わるようになってからでした。大先輩の役者さんたちから、「時代劇も文化の継承だ。岡田、時代劇ができるようになってくれ」と、声をかけていただきましたし、実際に演じていくと、時代劇には日本古来の作法が重要であることに気づくんですよね。

例えば刀を相手に渡す動作1つとっても、相手が自分を斬りやすいように渡すことで「自分はあなたにとって害のない人間です。あなたのことを信じます」という意味が足される。やはり日本文化は、「相手を思うこと」が中心になっているのがわかるんですよね。そういったことを感じながら芝居をしていくうちに、だんだん日本の美術にも興味を持つようになりました。それで京都の東寺などに足を運ぶようになって、仏像を見るようになりました。

時代劇では、座禅の組み方を習います。お腹を中心として仙骨を立て、両膝とお尻の3点で身体を支えるあの座り方です。僕の大好きな鎌倉時代の仏師、運慶や快慶は、そういった坐禅の極意みたいなものを守り続けた人たちがたどり着く境地をきちんと美術として落とし込んでいる。そういうのを見ると、「ああ、やっぱり運慶、快慶は身体のことをよく知っているんだ!」って思うんです。

今回の展覧会は、運慶、快慶以前の女性的な体つきの作品や、霊的なものを込めた仏像が多いです。時代によって美に対するアプローチが違うのも気になるところですね。

国宝 大日如来坐像 運慶作 平安時代・安元2年(1176) 奈良・円成寺

日本のルーツ、古来の文化を知ることが未来の力になる

――2025年11月には主演のみならず、プロデューサーやアクションプランナーも務められたNetflixシリーズの『イクサガミ』の配信も控えています。その撮影期間を追った『情熱大陸』では、「世界の人を驚かせたい」「あいつら、クレイジーだぜ!って言わせたい」とおっしゃっていましたね。

日本にあるものを世界に打ち出して、日本の人たちに「やっぱり日本ってカッコいいな」と思ってもらいたいですし、世界に日本のかっこよさを知ってもらいたいっていう気持ちが基本的にあります。だから自分より上の世代の知見を借りて、若い世代と一緒に『イクサガミ』を作ることは、今の正解だと思っています。時代劇を今の時代にただただ合わせるのも違いますし、盲目的に日本の文化を守るのも違う。とことんクリエイティブに向き合って、どういう風に作品を変化させていけるか。それを達成できたものが、その時代の「国宝」なんだと思います。

映像以外でも伝統工芸など、日本にはクリエイションと向き合っている現代の作家さんがたくさんいらっしゃいます。『超 国宝−祈りのかがやき−』の音声ガイドもそうですが、これからも僕は日本文化を応援する活動をしていきたいですし、日本の社会が今よりももっと自国の文化をサポートできるようになることを願っています。

――お話しを伺ってきて、岡田さんの日本の文化を愛する気持ちの深さをすごく感じたのですが、日本文化に触れることによって、どのように人の心が豊かになると考えていらっしゃいますか?

豊かになるかはわからないですけど、これからは今まで以上に、自らのアイデンティティを知りたくなる時代になると思います。

今、世界も日本も混乱しています。混沌とした時代においては、自分たちの先祖がどんな生き方をして、現在につながっていて、そして未来につながっていくかを知ることが、これからを生きる僕らにとっては何かしらの支えになると思うんです。海外に行ったときに、日本の良いところを外国の人に話せないと困ったりしますよね。日本にいても、知りたくなる時代になってくるとは思います。自分のルーツを知っておいて損はない、歴史ってそういうことだと思います。

――最後に、『超 国宝−祈りのかがやき−』に足を運ぶ方へのメッセージをお願いします。

古墳時代の《七支刀》から、飛鳥時代の《観音菩薩立像》(百済観音)、鎌倉時代の運慶作《大日如来坐像》に《重源上人坐像》まで、奈良国立博物館で国宝が一堂に会します。今回は1つの会場に国宝が集まりますが、もともとは日本全国に宝物があるわけですから、これはすごいことだと思うんですよ。

国宝《観音菩薩立像(百済観音)》 飛鳥時代・7世紀 奈良・法隆寺

展覧会の良いところは、「対話」ができるところです。それは音声を通じて僕との対話でもいいですし、誰かと観に来て、「あの仏像、良くない?」なんて話し合うのも素晴らしいですし。または一人で見に来て、「この部分はどうしてこんなにこだわったのかな?」と作品に対する思いを自分の中で反芻してみてもいいですし。

作品を見に来るようでいて、実際は作品と対話をするのが展覧会だと思うので、そこを楽しんでもらえたら嬉しいです。また会場では、混雑する中で作品を見ることになるかと思います。僕の音声ガイドが、皆さんの足を一歩一歩進めたくなるようなものになっていることを願っています。

取材:横山由希路 撮影:山本倫子


<開催概要>
奈良国立博物館開館130年記念特別展『超 国宝―祈りのかがやき―』

会期:2025年4月19日(土)~6月15日(日) ※会期中、展示替えあり
前期展示:4月19日(土)~5月18日(日)
後期展示:5月20日(火)~6月15日(日)
会場:奈良国立博物館 東・西新館
休館日:月曜、5月7日(水) ※ただし、4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開館
時間:9:30~17:00(入館は~16:30)
料金:一般2200円、大高生1500円

公式サイト:
https://oh-kokuho2025.jp

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2500150

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