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【公開舞台稽古レポート】最初から最後までワクワクが止まらない! 劇団四季『バック・トゥ・ザ・フューチャー』まもなく

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劇団四季海外新作ミュージカル『バック・トゥ・ザ・フューチャー』舞台稽古より (撮影:荒井健)

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劇団四季の最新ミュージカル『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が、4月6日(日)に東京・JR東日本四季劇場[秋]にて開幕する。4月3日、その最終通し舞台稽古が報道陣に公開された。

原作は、1985年公開の同名映画シリーズの第1弾。1985年カリフォルニア州郊外のヒルバレーで暮らす高校生のマーティが、科学者である友人ドク・ブラウンが作ったタイムマシンで1955年にタイムトラベルしてしまうこの物語は、時をかけるタイムマシン“デロリアン”のインパクトや、現代へ戻ろうとするマーティの奮闘、キャラクターたちのユーモラスなやりとりなどが多くの人の心を掴み、公開から40年経ってもなお色あせず愛されている作品だ。

(撮影:荒井健)

ミュージカル版は2020年にイギリスで開幕、2023年にはブロードウェイに進出。映画の監督を務めたロバート・ゼメキスが製作者のひとりとして加わったほか、脚本のボブ・ゲイル、音楽のアラン・シルヴェストリら映画の製作陣がそのままミュージカル版の創作に参加し創作された。今回開幕する日本版は、英語圏以外では初の上演である。

(撮影:荒井健)

客席に入ると、集積回路を思わせる蛍光ブルーのラインが壁を這い、舞台上にはちょっとレトロな機械のメッセージのようなスタイルで諸注意事項が映し出されている。その時点でもう、アトラクションに遊びに来たような高揚感が身を包む。そして客席が赤く染まり、カウントダウンが始まり、オーケストラが奏でるのは映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の、あのテーマ曲!……こんなに心躍るオープニングがあるだろうか。

デロリアンに乗って30年前の過去に飛んだマーティが、30年前のドクの協力を得て未来に戻ろうと奮闘する一方で、自分の存在が両親の出会いを阻害してしまったことに気付き、ふたりをくっつけようと奔走する……という物語は映画そのままだが、その物語を成立させる演出が楽しい。

(撮影:荒井健)

デロリアンは魔法のように舞台上に登場したかと思えば、映像技術と鮮やかに融合し時速88マイルで疾走する。時を超えるエフェクトを三次元で味わえるのは本作の醍醐味のひとつ。ぜひこれは、実際に劇場で目撃してほしい。さらにミュージカルであることをメタ的にとらえたユーモラスなシーンも加わるのは、舞台版ならではの面白さ。もともとの原作が持つコミカルさともマッチしているので、ご注目を。

客席は大盛り上がり! 愛され続ける名作の魅力を新鮮に

この日の舞台稽古でマーティ役を演じたのは立崇なおと。ジーパンにシャツインした80年代風着こなしもキマり、少し高めの声質もアメリカの高校生のようで違和感がない。日常に鬱々していた表情から、身に降りかかるアクシデントに慌てながらもどこかそれを楽しんでもいるような図太さまでをナチュラルに生き生きと演じた。

ドク役は、これまでも劇団でさまざまな主要キャラクターを演じてきたベテラン野中万寿夫。天才科学者らしいエキセントリックさ、ユーモラスな存在感はさすが。アドリブも連発し客席を沸かせるのも、この人らしい愛嬌が滲み出ていてチャーミング。さらに「信じることを諦めない」など、大切なメッセージを客席に投げかけ、このミュージカルの深みをも体現していた。

(撮影:荒井健)

マーティの両親ロレイン&ジョージは海沼千明と斎藤洋一郎。30年の時を隔てた中年姿と若者の姿を同じ俳優が演じ分けているのも見どころだが、特に若者ターンで、息子と知らずマーティに迫るロレインの奔放さをキュートに演じる海沼、気弱でいじめられっ子のジョージを不思議な動きで演じる斎藤の姿は面白くも愛おしく、彼らの恋がどうなっていくのか、映画でストーリーを知っている人でも手に汗を握って応援したくなるに違いない。ほか、マーティやジョージにとってのキーマンとなるゴールディ・ウィルソン役の安田楓汰の弾けた芝居と伸びやかな歌唱が前向きなキャラクターと似合っていて、印象に残った。

(撮影:荒井健)
(撮影:荒井健)
(撮影:阿部章仁)

舞台稽古ながら客席は大盛り上がりで、一般的なミュージカルではナンバー終わりで拍手が起きるところ、この作品ではデロリアンが登場した瞬間や、タイムトラベルが成功した瞬間、若き日のマーティの両親がキスした瞬間などで大きな拍手が起きていたのも面白い。それだけ客席が物語に没入し、心から楽しんでいたという証左だろう。

(撮影:阿部章仁)

笑い、映画で観たあのシーンが目前で繰り広げられる演出に驚き、最初から最後までワクワクが止まらないミュージカル。個人的な感想ながら、仕事柄舞台作品はどこか批評的視点で観ることも多いのだが、ずいぶん久しぶりに物語を、舞台上で起こる出来事を素直な心で観た思いがする。そして開いた心に、マーティとドクの友情や両親への思いというものがしみてくる。映画公開から40年経ってなお愛されている『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の普遍的な魅力を改めて新鮮に味わえた観劇体験だった。

★ボブ・ゲイル、ロバート・ゼメキスら海外スタッフも駆けつけた取材会レポート記事はこちら

取材・文:平野祥恵

<公演情報>
劇団四季ミュージカル『バック・トゥ・ザ・フューチャー』

【クリエイティブ・チーム】
台本/共同創作者:ボブ・ゲイル
共同創作者:ロバート・ゼメキス
作詞・作曲:アラン・シルヴェストリ、グレン・バラード
グローバルプロデューサー:コリン・イングラム
演出:ジョン・ランド
デザイン:ティム・ハトリー
振付:クリス・ベイリー
音楽スーパーバイザー・編曲:ニック・フィンロウ
照明デザイン:ティム・ラトキン、ヒュー・ヴァンストーン
ビデオデザイン:フィン・ロス
音響デザイン:ギャレス・オーウェン
イリュージョン:クリス・フィッシャー
オーケストレーション:イーサン・ポップ、ブライアン・クルック
ダンスアレンジメント:デイヴィッド・チェイス
ウィッグ・ヘア&メイクアップ:キャンベル・ヤング・アソシエイツ
小道具:マーカス・ホール・プロップス
国際アソシエート・ディレクター:テイラー・ヘイヴン・ホルト
国際アソシエート・コレオグラファー:ベス・クランドール
アソシエート・装置デザイナー:ロス・エドワーズ
視覚特殊効果:ツインズFX
衣裳スーパーバイザー:ホリー・ヘンショウ
グローバルプロダクションマネージャー:サイモン・マーロウ

【日本スタッフ】
日本語台本・訳詞:土器屋利行
音楽監督:清水恵介
ファイト・ディレクター:栗原直樹
レジデント・ディレクター:布施陽由、山下純輝
振付アシスタント:松島勇気
技術監督:栁澤学

日程:2025年4月6日(日)~ロングラン上演
会場:東京・JR東日本四季劇場[秋]

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2456223

公式サイト:
https://www.shiki.jp/applause/backtothefuture/

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