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【取材会レポート】「すべてにおいて完璧」 劇団四季ミュージカル『バック・トゥ・ザ・フューチャー』取材会でロバート・ゼメキスも太鼓判

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劇団四季海外新作ミュージカル『バック・トゥ・ザ・フューチャー』取材会より、時計を見るポーズ。左から)グレン・バラード、ボブ・ゲイル、ロバート・ゼメキス、ジョン・ランド、ティム・ハトリー、コリン・イングラム

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劇団四季の最新ミュージカル『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が、4月6日(日)にJR東日本四季劇場[秋]にて開幕する。4月3日、報道陣に向けた最終通し舞台稽古が行われた後、原作映画の監督であるロバート・ゼメキスや、映画に続き舞台の脚本も務めたボブ・ゲイルらの取材会が行われた。

原作は、1985年公開の同名映画シリーズの第1弾。1985年カリフォルニア州郊外のヒルバレーで暮らす高校生のマーティが、科学者である友人ドク・ブラウンが作ったタイムマシンで1955年にタイムトラベルしてしまうこの物語は、時をかけるタイムマシ「デロリアン」のインパクトや、現代へ戻ろうとするマーティの奮闘、キャラクターたちのユーモラスなやりとりなどが多くの人の心を掴み、公開から40年経ってもなお色あせず愛されている作品だ。

取材会には、台本&協働創作者のボブ・ゲイル、共同創作者にして映画版の監督でもあるロバート・ゼメキス、作詞・作曲のグレン・バラード、演出のジョン・ランド、デザインのティム・ハトリーが出席した。以下、その一問一答。

――日本版をご覧になった感想と、日本公演に対する意気込みをお願いします。

ロバート・ゼメキス 昨日、ドレスリハーサルを拝見しました。とにかく素晴らしいプロダクションだと思いました。演技、ダンス、音楽、すべてにおいて完璧と言っていい。観ていて誇らしかった。日本の観客はびっくりすると思いますし、このミュージカルに恋をすると思います。私自身あまり演劇の世界に詳しくなく、劇団四季のことを知らなかったのですが、演劇関係の仲間が「世界の中でトップクラスの劇団だ」と言っていた。昨日観た限り、本当にそのとおりだと思ったし、これ以上のものはないなと思いました。

ボブ・ゲイル ゼメキス監督が言ったことに全て同意します。私たちの期待を全部はるかに超えてきています。マンチェスターで始まり、ロンドンに行き、ニューヨークに行き、東京に来ましたが、技術的な面、そして皆さまの才能、また仕事に対する熱意はこれ以上にないほど高い。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』という作品は日本の人々に本当に愛されてきたのだと思います。初めての英語ではない国での上演が日本で、嬉しく思っています。

グレン・バラード この才能あふれるチームの一員になれたということを、まずは本当に嬉しく思っています。私も昨日拝見し、ゼメキス監督と同じく、全てが完璧だと思いました。オーケストラピットにいる12人のミュージシャンも、俳優たちのダンスと歌もすべてがです。また技術的に色々なエフェクトがありますが、(リハーサルの段階で)何も問題なくいったということ、これにも驚きました。このチームは本当に素晴らしい。ダメ出しをしようと思ったけれどできないので(笑)、とにかく楽しんでいます。

ジョン・ランド 2月頭から稽古が始まりました。その段階から四季の素晴らしい方々と仕事ができることを大変嬉しく思っていましたし、四季は素晴らしいカンパニーだと思います。皆さんの才能が非常に卓越している上に、優れたものに向けてコミットしていく意志が非常に高い。その感想はオーディションの時から、また稽古初日から変わってません。この卓越したカンパニーの皆さんとお仕事できた毎日が喜びでした。皆さん誠心誠意作品と向き合い、俳優さんは努力家で、毎日ハッピーでいてくださるチャーミングさと面白さがある、素晴らしく特別な方々です。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のミュージカルを上演するにあたって、これ以上の場所はないと思っています。

ティム・ハトリー 日本での仕事を始めて18か月から2年ほどになるでしょうか。このミュージカルは大道具、セットが複雑です。単体でも複雑ですが、そこに加え映像も照明も音響もある。さまざまなものがフュージョンしていくので、すべてをきっちり整理して動かすのが大変なのですが、さすが劇団四季は素晴らしいお仕事をしてくれました。このミュージカルにとって、この日本公演がフラッグシップ(旗艦店)になるなと思っています。日本のお客様に最も優れた形でお届けできるのを非常に嬉しく思っています。

映画を観たことがない方も楽しめる作品になった

――ゼメキス監督へ。一番力を入れたシーン、ポイントは。

ロバート・ゼメキス このミュージカル化の話が出た時、ボブとグレンとアラン(グレン・バラードとともに本作の作詞・作曲を担当、映画版の音楽も手掛けたアラン・シルヴェストリ)と、もちろん映画ファンには楽しんでいただきたい、映画の要素がすべて入っているねと思ってもらえるものにしたいと最初から話していました。同時に、映画を観たことがない方々にも楽しめる作品にしたいと思ったのですが、それを達成できたと思っています。

――ゲイルさんとゼメキス監督へ。舞台の脚本を手掛けたのは初めてだそうですが、舞台化するにあたり苦労した点は。

ボブ・ゲイル ミュージカル化するにあたり最も大事なことは、映画のコピーではないということです。映画をそのまま舞台に上げただけではいけない。ミュージカルとして輝くものにしたいと思いました。映画でできて舞台ではできないことはもちろんありますし、カットせざるをえなかったシーンもあります。でも考えたことは、舞台をうまく使って最高のものにするということ。ここにいるジョン・ランドさん、ティム・ハトリーさん、そしてグレン・バラードさん、みんなで話し合って素晴らしいミュージカルという舞台を作り上げるという仕事をしました。皆さんに気に入っていただけたようなので、私はとても嬉しいです。

ロバート・ゼメキス ボブさんが全部言ってしまいましたが、付け加えるとしたら、初期の段階で、ミュージカルに一番大事なのは音楽だ、音楽を使ってストーリーを進めたり、キャラクターを深く掘り下げることをやりたいと話しました。アランとグレンと一緒に、それをどうしたらできるか考えました。音楽を使うとやはりキャラクターをもっともっと複雑に展開できる。音楽と物語が一緒になり、映画以上に物語を高めることができたなと思います。

――なぜここまで多くの人がこの作品を愛しているのか。どんなところに魅力があると考えていますか。

ロバート・ゼメキス この質問はよくされるし、深い答えを用意してあればいいんですけど、実はその理由というものがなかなか言えない。ただ、この物語は非常に普遍的なものを含んでいる。自分がティーンネイジャーだった時に、自分の両親の10代だった頃の姿が見られたら面白いんじゃないかと思うことは往々にしてあるし、そういう好奇心が刺激されます。各世代でそういう考えがハマるんじゃないかなと思います。

ボブ・ゲイル 私も子どもの頃は、親というものは神のような存在だと思っていました。成長するに従って、親にも子ども時代があったんだという恐ろしい事実がわかってくる。それを受け入れるしかないというのはありますね。また、小さなことでも、何か自分がやったことが他に影響を与えるということも描かれています。だから例えば「自分の夢を信じる」というような小さいことでも、何か1歩踏み出せば、それが色々なところに影響を与える。それは裏返せば、夜寝ていて「あれをやっておけば……」と後悔するようなことでもあるのですが、そういうことは誰にでもあって、みんなに伝わるものなんだろうなと思います。

グレン・バラード どの媒体でも一番大事なのが物語、ストーリーだと思うんです。40年前にゼメキス監督とゲイルさんがこの素晴らしいストーリーを考えだして、そこからすごい映画が出来上がった。今回舞台化するにあたり、そのプロットを大事にしながらキャラクターを掘り下げました。ストーリーがしっかりしているので、私たちはトラブルに遭わずにすみました(笑)。舞台では映画でできる“クローズアップ”という手法は取れないけれど、歌によってキャラクターに深く入り込むことができます。

ジョン・ランド お三方が言ったことが全てです。あともうひとつ付け加えるならば、クールな車があったから(笑)。

ティム・ハトリー さらに付け加えるのなら、タイムトラベルという要素があったからではないでしょうか。このタイムトラベルという要素は、あらゆる世代にアピールできるし、今回、舞台に持ち込むことができたこの車、デロリアンでぱっと人を惹き付けられる。加えて物語性があるところ、物語の細かいディテールの部分が、何世代にもわたり愛されてきた理由だと思います。

初めて映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観たときと同じ感動を覚えてる

――ゼメキス監督、このミュージカルの中で特にここに注目してほしいシーンをひとつだけ挙げるとしたら。

ロバート・ゼメキス 一番注目してほしいところは、私の大好きな歌2曲です。それは『21ST CENTURY』と『CAKE』です(笑)。

――1955年から見て豊かな未来を歌う『21ST CENTURY』は陽気で明るいナンバーですが、当時から見た未来にあたる現代はそうなっていないという意味ではアイロニーに満ちていると思います。この曲はどういう意図で入れたのでしょう。

ロバート・ゼメキス 本当に皮肉たっぷりですよね。でも、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は映画の方もかなり皮肉めいた部分が多いので、とても作品として合っていると思います。さらに映画ファンに対しては、『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』に対してちょっと合図を送っているような立ち位置のナンバーでもあります。

グレン・バラード この曲はボブと私とでかなり話し合って作りました。このシーンは映画にはなくミュージカルのオリジナルなので、私たちが自由に作ることができました。楽しみにしているものが実はそうなってはいない。過去においての未来予想図は、だいたい間違えているものです。現実をわかっているだけに、彼らの未来予想がどれだけ間違えているのかというのは驚きでもあるしアイロニーでもある。実は『CAKE』というナンバーも同じような皮肉が込められています。これは映画の方でもそうでしたので、ミュージカルのオリジナルシーンではありますが、同じトーンを維持しています。

ジョン・ランド ミュージカルの作劇から語ると、この曲は2幕を開けるにあたり、ワイルドでクレイジーなナンバーで開けるという、1950年代のミュージカルの構造をとったナンバーになっています。しかもその中身は本筋とは無関係、でもエンターテインメント性が高い。休憩時間に席を立って飲み物を飲んだりお手洗いに行ったりした皆さんが着席し、落ち着いてこのナンバーで再び劇中に戻ってこれるような、クレイジーなナンバーです。またこの楽曲中、背景映像にはホバーボートや『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のライドアトラクションに出てきた恐竜や、タイムトレインなども出てきます。そういう“仕込み”も入ったナンバーです。

――これからミュージカルを見る観客たちにメッセージをお願いします。

ジョン・ランド このミュージカルは、皆さんのお馴染みの物語を別バージョンで見ることができます。期待される箇所は全部盛り込んでいます。お馴染みの物語です。同時に、とっても斬新で新しくて面白いミュージカルになっています。「映画と同じものが観れるよ」「でもミュージカルも観れるよ」という、いいところどりの作品です。

ボブ・ゲイル よく『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART4』を作らないのかと聞かれます。私は「もしもう一度『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を作るとしたら、最初にPART1を観た時と同じぐらい感動してワクワクするようなものであれば作る」と言ってきました。今回、このミュージカル版がそれだと思っています。世界中でこのミュージカルを観た方は、本当に「幸せ」とか「ワクワクした」という感想を言ってくださる。まさに初めて『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の映画を観た時と同じ感動を覚えているということだと思います。

取材・文・撮影:平野祥恵

★ミュージカル『バック・トゥ・ザ・フューチャー』最終通し舞台稽古レポート記事はこちら


<公演情報>
劇団四季ミュージカル『バック・トゥ・ザ・フューチャー』

【クリエイティブ・チーム】
台本/共同創作者:ボブ・ゲイル
共同創作者:ロバート・ゼメキス
作詞・作曲:アラン・シルヴェストリ、グレン・バラード
グローバルプロデューサー:コリン・イングラム
演出:ジョン・ランド
デザイン:ティム・ハトリー
振付:クリス・ベイリー
音楽スーパーバイザー・編曲:ニック・フィンロウ
照明デザイン:ティム・ラトキン、ヒュー・ヴァンストーン
ビデオデザイン:フィン・ロス
音響デザイン:ギャレス・オーウェン
イリュージョン:クリス・フィッシャー
オーケストレーション:イーサン・ポップ、ブライアン・クルック
ダンスアレンジメント:デイヴィッド・チェイス
ウィッグ・ヘア&メイクアップ:キャンベル・ヤング・アソシエイツ
小道具:マーカス・ホール・プロップス
国際アソシエート・ディレクター:テイラー・ヘイヴン・ホルト
国際アソシエート・コレオグラファー:ベス・クランドール
アソシエート・装置デザイナー:ロス・エドワーズ
視覚特殊効果:ツインズFX
衣裳スーパーバイザー:ホリー・ヘンショウ
グローバルプロダクションマネージャー:サイモン・マーロウ

【日本スタッフ】
日本語台本・訳詞:土器屋利行
音楽監督:清水恵介
ファイト・ディレクター:栗原直樹
レジデント・ディレクター:布施陽由、山下純輝
振付アシスタント:松島勇気
技術監督:栁澤学

日程:2025年4月6日(日)~ロングラン上演
会場:東京・JR東日本四季劇場[秋]

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2456223

公式サイト:
https://www.shiki.jp/applause/backtothefuture/

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