Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > アイナ・ジ・エンドの表現力の秘訣「人と向き合う時間のすべてからヒントをもらっています」

アイナ・ジ・エンドの表現力の秘訣「人と向き合う時間のすべてからヒントをもらっています」

音楽

インタビュー

ぴあ

アイナ・ジ・エンド (撮影/友野雄)

続きを読む

フォトギャラリー(10件)

すべて見る

アイナ・ジ・エンドが紡ぐ、優しく儚い旋律の音色に身を委ねていると、身も心も浄化されるよう――。彼女が歌う新曲『大丈夫』は、計り知れないパワーがある。この曲は、Netflixの完全新作SFアニメーション『ムーンライズ』の主題歌。アイナ・ジ・エンドが自ら作詞作曲を手掛けている。宇宙をテーマにした壮大なこのアニメーションで声優も務め、月の民・マリーのキャラクターに命を吹き込んだ。
感性溢れる歌と演技で我々を魅了するアイナ・ジ・エンドの表現力の秘訣はどこにあるのか、訊いてみた。

普段はやったことのない今作ならではの音作りに挑戦できた

――これまでもアニメーション映画『劇場版モノノ怪 唐傘』の主題歌『Love Sick』など、アニメ主題歌をご担当されていますが、4月10日(木)より配信されるNetflixの新作アニメーション「ムーンライズ』の声優と主題歌『大丈夫』の作詞作曲を手掛けることになったご心境からお願いします。

『ムーンライズ』の主題歌とマリーの声を担当させていただけて、本当に嬉しいです。主題歌を制作することに決まった当時は、まだBiSHの活動をしていた頃でした。グループが解散に向けて、ものすごいスピードで駆け抜けていくような時期で、楽曲の制作においても、少しスケジュールもタイトだった記憶があります。仕事が終わって家に帰ると、ずっと『ムーンライズ』の台本を読み込んで、曲を作るという日々を送っていて。忙しかったからこそ、グッと集中して曲を作ることができて良かったなと思います。

――『ムーンライズ』は、ファンタジックなSFでありながら、人間ドラマも魅力の作品です。月の反乱軍と地球人の戦いが壮大なスケールで描かれる中、毎話、物語のエンディングでアイナさんの優しく包み込むような柔らかな歌声が流れると浄化効果抜群で癒される印象を受けました。作品の世界観にマッチさせるためにどんなことを心掛けて制作されたのでしょうか。

作曲については、地球や宇宙の音を表現するには、どういう音がふさわしくて、どういう音がなじむのかということを考えましたね。ちょっとストリングスっぽい、分厚い音で“地球が鳴っている”みたいな音を入れたり。地球にいる鳥をイメージさせるような鳥の声を、エフェクトを足しながら入れたり。普段はやったことのない今作ならではの音作りに挑戦できたことが面白かったです。

――ピアノとハープの旋律の音色との化学反応で、ピースフルな音が心地よい響きを放っていますよね。作詞については、どんな点にこだわって、フレーズを生み出していったのか知りたいです。

最初に『ムーンライズ』の台本を読んだ時に、臨場感と焦燥感があって、ずっとヒリヒリしているストーリーだなと思ったので、曲で浄化できたらいいなと。優しい言葉を入れたいなと思って、タイトルにもなっている“大丈夫”っていうフレーズが浮かびました。アニメを観終わった人がみんな『ムーンライズ』が勝手に体に馴染んでいくような音楽を届けたいと思って言葉選びをしました。

――確かにエンディングの楽曲が重要な役割を果たしていますね。物語は、いつしか対立してしまった地球と月の世界が舞台です。地球から月に潜む反逆者を拘束するミッションを果たすべく、VC3偵察強襲舞台に配属される仲間たちの人間模様が描かれますが、完成した作品をご覧になって、どんなご感想を持ちましたか。

宇宙を舞台に月の反乱軍と戦っているシーンでは、本当にそのキャラクター視点で描かれる箇所があります。フォーカスを敵に絞って、そこに向かい撃つとか、敵を探し回るシーンは、リアルなゲームみたいな描写があって、生っぽさを感じました。自分も実際にその世界にいるような感覚になれるのが、『ムーンライズ』の世界観に引きこまれる理由のひとつだと思います。観ていて、没入感があって、とても楽しかったです。

ここまでリアルに感じられるSFアニメはなかなかない

――ハードSFでありながら、リアルさも感じられるのは、荒川弘さんの魅力的なキャラクターデザインや『進撃の巨人』を手掛けたWIT STUDIOがアクションシーンと人間ドラマを織り交ぜた巧みな構成にもありそうですね。

そうですね。SFアニメってどこか描かれる世界が他人事みたいな気がするじゃないですか。反乱軍との戦いなど、あまり自分の身には降りかからなそうだなと思う出来事も描かれていますが、『ムーンライズ』は、今、自分の目の前で起こっている感覚になれたことが珍しいですし、新鮮な体験でした。ここまでリアルに感じられるSFアニメはなかなかないと思います。

――本当にそうですね。アイナさんが演じたキャラクター・マリーは、月の「静かな海」で偵察強襲部舞台のメンバーたちと出会った朗らかな性格の月の民です。月を旅しながら生き別れた二人の兄を探しているという設定ですが、マリーというキャラクターの声をどのように生み出しましたか。

最初は、正直、自分自身とリンクして声をあてられるのかなとプレッシャーもありました。台本を読んで、家で何度も練習をしていても、どんな感じでいけばいいのか、煮詰まることもあったんです。でも、前回声優に挑戦した『SING/シング:ネクストステージ』でもお世話になったスタッフさんがいらっしゃって、私の不安をやわらげて下さったので、肩の力が抜けましたね。アフレコでは、「来てくれるだけでも良かったですよ」なんて、冗談を交えながら、いろいろアドバイスをして下さったおかげで、マリーになることができたと思います。

――月の案内役としてリース隊に同行することになりますが、謎めいた部分もあるキャラクターという印象を受けました。アフレコでマリーの声をあてるにあたって、1番大切にされたことは、どんなことなんでしょうか。

マリーの目の前で戦いが繰り広げられるシーンが多くて、ヒリヒリした場面がたくさんあるんですよ。戦闘シーンが多い中で、マリーがおちゃらけたり、ちょっと腑抜けた表情を見せることで、ホッと一息つける存在になったらいいなと思いました。『もう、マリーったら、本当にどうしようもないわね(笑)』って言われるような瞬間を、自分の声で作れたらいいなと思って声をあてました。

マリーが恋敵になったら、好きな人を奪われそうで怖いです

――マリーのチャーミングさはアイナさんが演じたからこそとても魅力的なものになったと思います。マリーが気に掛けているジェイコブ(ジャック)を巡って、リースと恋のライバルのような関係性も面白いですね。

そこは本当に面白いところですよね。ずっと戦って、前に走っていくばかりではなく、私たちの親近感が涌くような恋愛模様や友情も描かれるので、『ムーンライズ』が一気に自分たちとグッと近い物語に感じられるような気がします。自分の周りに起きても不思議ではない、親近感ある恋の展開やジャックとフィルの友情の行方もみどころだと思います。

――マリーがジャックにまっすぐにぶつかっていく姿が可愛らしく映りましたが、アイナさんから見たマリーの可愛らしさって、どんなところにあると思いますか。

自分はもうマリーを必死で演じたので、あまり客観的にキャラクターを捉えられてはいないんですけど。もしも友達にマリーみたいな人がいたら、ちょっと嫌だなぁとは思うでしょうね(笑)。マリーが恋敵になったら、好きな人を奪われそうで怖いですもん。まっすぐなマリーは、ものすごく魂が綺麗でピュアなので、本当に魅力的で羨ましいです。私も好きな人に対してマリーのように素直になれたらいいなと思いましたね。

――地球人と月の民が対立していくストーリーにかけて、分かり合えないと思う人間がいる時は、正面からぶつかるタイプか、それとも自分とは考えが違う人間だからって、あきらめてしまうか、ご自身はどちらのタイプですか。

分かり合えない人とのそれまでのコミュニケーションの中で、1ミリでも交われそうな瞬間があったのなら、あきらめないで、ぶつかっていきますね。もしその人の行動のおかげで、自分が少しでも救われた経験があるなら、ちゃんと向き合おうとします。

――すごく勇気がありますね。

もちろん友人なのか、家族なのか、その分かり合えない相手との関係性にもよりますよ。大切な人なら、例え、傷つけられても修復できる自信があるのでぶつかるタイプです。それでも自分と交わる気がないなら、あきらめるかもしれないですけど。

――すれ違っても大切な人に自分の言葉を届けようとすることは、大事ですね。

なかなか自分の想いを言葉にして言えない人もいると思いますし、言えないことは悪いことじゃない気がします。言葉をなかなか口にできない人でも、パートナーとか家族とかペットとか、きっと自分を解放して、泣ける場所はどこか必ずあると思うんです。私も自分の想いを正直に言えない時期あったんですけど、犬やぬいぐるみには話せたりしましたからね(笑)。誰にも言えなくて苦しいという想いがあるなら、ちょっとした逃げ場所を作ればいいと思います。

――確かに自分の想いをどこかに開放するだけで楽になれることもあるかもしれませんね。

感情を吐露する場所がないなら、いつかの私のように、ぬいぐるみに話してもいいかと思いますよ(笑)。

人と触れ合うことで表現の幅が広がる

――アイナさんの感性溢れる表情豊かな歌声を生み出す秘訣が知りたいです。表現力を磨くためにいろんなインプットをされてそうですね。

もちろん毎日、楽しくインプットしている気がします。ミュージシャン同士でお喋りする時間も刺激的ですけど、『ムーンライズ』のクリエイターさんたちはもちろん、その日現場で会う、自分とは全然違うお仕事をしてる人と向き合う時間のすべてからヒントをもらっています。所作だったり、放っている覇気の感じだったり、考え方も皆さん違って、「こういう人もいるんだな」って思うので、人と触れ合うことで表現の幅が広がります。

――人の覇気を感じるって面白い表現ですね。確かにひとりひとり放っているエネルギーや身に纏うオーラは違うと思います。

そうですね。そういう放っているものもそうですし、ひとりひとり、しぐさも全然違うじゃないですか。例えば、黒目の動かし方とか、ゆっくり瞬きする人、瞬きが速い……たったそれだけでも受ける印象が全然違うので、それを振り付けに活かしたいと思うことはよくあります。

――面白いですね。全てのことにアンテナを張り巡らして、表現のヒントとして吸収されているなんて、本当にすごいです。いろいろなことに挑戦されていますが、今後はどんなインプットをしてきたいですか。

今回のマリーのアフレコが終わった時、スタッフさんから「声優さんのアフレコ現場も見学に来たらどうか」とお誘いいただいたんです。とても嬉しかったんですが、実現できなかったので、またチャンスがあれば、アフレコ現場におじゃまして、声優さんの声の当て方を見学させていただきたいですね。キャラクターに声を入れる作業はまだまだ慣れないばかりで、未熟だったなと思うので。この作品のアフレコは終わりましたけど、声の表現について、これからもいろいろ勉強できたらと思っています。

――今後もチャンスがあれば、声のお芝居や声優さんとしても活動していきたいですか。

『ムーンライズ』の主題歌を書かせていただいて、マリーの声をあてて、本当に心から『ムーンライズ』が好きって思えて楽しかったんです。だから、これからもアニメの主題歌を担当することがあったり、好きな作品に巡り合えて声優のチャンスをいただけるようなことがあったら、頑張って挑みたいです。でも、まずは、誠心誠意作った主題歌『大丈夫』という曲を皆さんに愛していただけるようにしっかりお届けしたい気持ちでいっぱいです。

★アイナ・ジ・エンドさんのサイン入りポラを1名様にプレゼント!

【応募方法】
①ぴあ音楽編集部(@OngakuPia)のXアカウントをフォロー。
②該当ポストを応募締め切りまでにリポストしてください。

【応募締め切り】
2025年4月22日(火) 23:59まで

【注意事項】
※当選者の方には4月23日(水) 以降にXアカウントよりDMにてご連絡いたします。やむを得ない事情によりご連絡や発送が遅れる場合もございますのであらかじめご了承ください。
※当選後、お送り先メールアドレスについてご連絡頂ける方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。

Netflixシリーズ『ムーンライズ』4月10日(木)より世界独占配信

https://about.netflix.com/ja/news/moonrise-premieres-april-10

(撮影/友野雄、取材・文/福田恵子)

フォトギャラリー(10件)

すべて見る