【鈴木実貴子ズ インタビュー】エレカシ「風に吹かれて」などカバー楽曲を収録した配信シングルをリリース 「3曲とも自分たちと共通する何かがあって。歌詞に共感できたのが大きかった」
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鈴木実貴子ズ Photo:石原敦志
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鈴木実貴子(vo/g)、ズ(ds)による2人組ロックバンド、鈴木実貴子ズ。
結成13年目でメジャーデビューを果たし、今年1月にメジャー1stアルバム『あばら』をリリース。あまりにもリアルな感情や経験を刻んだ楽曲、“ギター、ドラム、歌”による研ぎ澄まされたサウンドによって、確実に注目度を上げている。
4月16日(水)にカバー3曲を収めた配信シングル「風に吹かれて」をリリースした。本作にはエレファントカシマシ「風に吹かれて」、きのこ帝国「春と修羅」、高田渡「生活の柄」というカバー3曲を収録。そして、鈴木実貴子ズは現在、アルバム『あばら』を引っ提げたツアーの真っ最中。ファイナルは6月28日(土)に行われる東京・下北沢SHELTER公演だ(発売直後にソールドアウト)。
メジャーデビューをきっかけに活動の幅を広げ続けつつあるふたりに、アルバム『あばら』とツアーの手ごたえ、カバー配信シングルの制作などについて語ってもらった。
Text:森朋之 Photo:石原敦志
「パンクバンドのライブって1時間くらいじゃないですか。気持ちとしてはそんな感じです」

──昨日(3月28日)は仙台でライブ。手ごたえはどうでした?
鈴木 必死でしたね。
ズ 実貴子さん、喉の調子が良くなかったからね。花粉もあったし。
鈴木 めちゃくちゃ大変でした。でも、やるしかないですからね。物販とかは諦めて、(演奏時間の)40分に全部を入れて。とにかく全部出す!という気持ちだけでした。
ズ よかったけどね。コンディションが悪いのは誰が見てもそうなんだけど、必死さがあって。お客さんは「レアなライブが見れた」と思ったかもしれないし。
鈴木 ウチはすごくイヤだったけどね。体調管理って難しいですね。さぼってたわけじゃないのに、花粉は勝手に飛んでくるし。

──すべてのライブが1回きり、一期一会ですからね。アルバム『あばら』の曲を演奏することで、何か変化を感じていますか?
ズ そもそもアルバムの曲をメインにしたツアーってやったことがないんですよ。今まではアルバムを出したタイミングのツアーでも、その後に出来た新曲をやったりしてたので。今回はそうじゃなくて『あばら』の曲が中心になってて。
鈴木 セットリストがあんまり変わらないから、どんどん慣れてくる感じがあるよね。もともと技術は下のほうなんですけど、やり慣れてくると感情を出しやすくなってきて。アルバムの曲をメインでやるのもいいなって感じてます。
ズ そうだね。ワンマンでも70分くらいなので、アルバムの曲をやるとほぼ埋まっちゃうんですよ。
鈴木 シットリした曲もないしね。パンクバンドのライブって1時間くらいじゃないですか。気持ちとしてはそんな感じです。
ズ あと“その日のメイン曲”みたいなものがあるんですよ。「今日は「違和感と窮屈」だったな」とか。
鈴木 あるかもね。昨日は「かかってこいよバンドエンド」だったかな。あの曲で完全に喉がイカれたので。

──「かかってこいよバッドエンド」でもライブでも盛り上がりますよね。
鈴木 鈴木実貴子ズのライブはどれも盛り上がらないんです(笑)。拍手が大きいかどうかくらいじゃない?
ズ そうかも(笑)。
鈴木 一緒に歌っている人がいると「ウチの歌を聴け」って思うし(笑)。こっちが真剣に向き合ってるんだから、そっちも真剣に向き合ってよって強要しているところがあるかも。
ズ だから盛り上がらないのかな。
鈴木 そうかもしれない。こっちがグッと入り込んで、お客さんもグッと聴いて。「届いたな」ってときは拍手がデカいんですよ。

「ステージですべてを出して燃え尽きたいと歌ってるだけなんで」

──アルバム『あばら』を聴いてても、1対1で向き合わざるを得ないですからね。 「ファッキンミュージック」とか、どういう気持ちで聴いていいのかわからなくなる凄さがあって。
鈴木 「ファッキンミュージック」、人気あるような気がする。
ズ 言っちゃいけないギリギリの感じだからかな? リスナーさんにとってはそこまで共感できる歌じゃないと思いますけど、「こんなこと歌って大丈夫か」とか「覚悟を持って歌ってるんだな」と思うのかも。
鈴木 ウチとしては「尖ってる」とか「ギリギリのことを歌ってる」という感じではなくて、普通に思ってることを書いたんですけどね。世の中にはいろんなシステムがあって、納得できないこともたくさんあるけど、ウチとしては「ステージですべてを出して燃え尽きたい」と歌ってるだけなんで。とにかくステージが好きなんですっていうピュアピュアな気持ちだけというか。
ズ ピュアピュアって(笑)。

──ムカつくこと、イヤなことはたくさんあるけど、ステージにすべてを注ぐしかない。それはたぶん、鈴木さんの基本的な姿勢ですよね。「違和感と窮屈」もそうだし。
鈴木 そうそう。「違和感と窮屈を感じてますよ」ってだけなんで。特に尖がった気持ちとかはないんですよね。ただ普通に思っていることを歌ってるだけというか。
──よく聞かれていると思いますが、ボーカル&ギター、ドラムのふたりで演奏することの良さとは何でしょうか?
鈴木 良さか……。ないんじゃないかな(笑)。
ズ (笑)。実貴子さんはもともとバンドをやりたい人ですからね。ふたりでやる良さはフットワークの軽さかな。作りたての新曲をライブでやるのも、ふたりだけだから出来るんだと思うし。
鈴木 そうだね。
ズ それにメンバーが4人とかになったら、絶対に統制が取れない(笑)。
鈴木 (笑)。バンドの音は好きなんですけどね。ベースやエレキギターが入ると音楽のクオリティがグッと上がるし、世界観が広がる感じがして。

──実際、アルバム『あばら』には、ヒトリエのシノダさん、田渕ひさ子さん(ex.NUMBER GIRL、bloodthirsty butchers、toddle、LAMAなど)がギタリストとして参加。LOSTAGEの五味岳久さんもベースを弾いていますが、みなさんとはもともとつながりがあったんですか?
ズ そうですね。田渕さん、五味さんはライブでご一緒したことがあって。シノダさんは一緒にやったことがないんですが、地元(名古屋)が同じだし、先輩のバンドを通してつながりがあったんですよね。「この曲はシノダさん、この曲は田渕さんに弾いてほしいね」というのがすぐに決まって、お願いしたらやってくれることになって。夢のコラボが実現しました。
──シノダさん、田渕さんはオルタナ経由のギタリストですが、そういう音が好きなんですか?
鈴木 うん、好きですね。そんなに詳しくないんですけど。
ズ 僕はナンバーガールやブランキー・ジェット・シティ、ミッシェル・ガン・エレファントを聴いてきたんですけど、実貴子さんはそもそもあんまり音楽を聴かないので。
鈴木 というか、好きな音楽の幅が狭いんですよ。太平洋不知火楽団とか笹口騒音ハーモニカとか。車に乗ってるときも、ずっと同じアルバム聴いてます(笑)。サブスクも使ってないし、情報がどんどん体に入ってくるのが怖いんですよね。

──でも、作曲やアレンジのアイデアに困ることはないんですよね?
鈴木 困ってるんだと思います(笑)。弾き語りで曲を持っていくんですけど、「またこのテンポ?」とか「またこの展開?」って言われるんで。
ズ ハハハ(笑)。
鈴木 ギターの弾き方が同じっていうのもよく言われるし。ウチは困ってないけど、アレンジは大変かもしれないですね。
ズ いきなりレゲエやれって言われてもできないですからね。
鈴木 なので結局、歌詞でがんばるしかないんです。歌詞もなかなか出てこなくて困ることもあるんですけど、何かインプットしようとは思わなくて。影響されるのも怖いんですよね。
ズ 本当にインプットしないよね。
──ソングライターの方って、映画とか小説をヒントを得ようとすることもありますけどね。
鈴木 ないですね! 映画も決まったものしか観ないんですよ。『ハリーポッター』と『ジュラシック・パーク』だけです(笑)。

「この3曲はどれも“自分と相手”について歌っていると思っていて。それが自分たちに合うじゃないかなと」

──4月16日(水)には3曲入り配信シングル「風に吹かれて」がリリースされます。 「風に吹かれて」(エレファントカシマシ)、「春と修羅」(きのこ帝国)、「生活の柄」(高田渡)のカバーが収録されていますが、カバー音源を発表するのは初めてですよね。
ズ そうですね。知り合いのインディーズバンドのカバーをやったことはありますけど、基本的に人の曲はやらないので。
鈴木 歌えないんですよ。ウチには独特の“節”みたいなものがあって、人の曲はすごく難しく感じちゃって。
ズ カラオケもダメだからね。簡単に言うと下手。
鈴木 そうそう(笑)。なのでカバーは無理だなって思ってたんですけど、今回の3曲は歌えました。
ズ 大変でしたけどね(笑)。「風に吹かれて」をスタジオでやってみたら、何十回やっても全然上手くいかなくて。ドラムは大丈夫なんですけど、実貴子さん、何度やっても上達しなかったんですよ。
鈴木 そのうち気持ちよく歌えるようになったんですけどね(笑)。

──ふたりでセッションしながらアレンジを固めていったんですね。
ズ はい。何となく原曲のイメージを持ちながら、自分たちの曲みたいな気持ちでやってみて。
鈴木 大変でしたけど、面白かったですね。
ズ 新鮮だよね。オリジナル曲ではないんだけど、3曲とも自分たちと共通する何かがあって。
鈴木 そう、歌詞に共感できたのが大きかった。気持ちを込めて歌える曲、本当に少ないんですよ。選曲するときに「世の中、恋愛の曲ばっかだな」って思ったし、他人の恋愛には興味がないので(笑)。
ズ そうだね(笑)。この3曲はどれも“自分と相手”について歌っていると思っていて。それが自分たちに合うじゃないかなと。
鈴木「生活の柄」もいい歌だよね。
ズ すごいよね。「生活の柄」は曲というより“詩”という感じがして。全部がサビみたいに感じるし、こんな曲は作れないと思いますね。
鈴木 これは作れないよ。すごく美しい。

──5月からはアルバム『あばら』ツアーの後半戦がスタート。ファイナルは6月28日(土)に行われる東京・下北沢SHELTER公演ですが、ツアー後半戦もやはり『あばら』の楽曲が中心になりそうですか?
ズ ツアーの後半は、ほかの曲も混ぜていきたいですけどね。
鈴木 そうなん?
ズ え、違う?
鈴木 何も考えてなかった(笑)。
ズ (笑)。仙台、京都、名古屋もそうですけど、ツアーの前半で行ったところにもう1回行くんですよ。前半、後半合わせて2回行くことになるので、新曲や旧曲を混ぜるのもいいのかなと勝手に思ってたんですけど、共有できてなかったみたいです。
鈴木 いいよ、じゃあそうしましょう。

──鈴木さんはあまり先々のことまで考えない?
鈴木 そうかも。
ズ 次のライブと、その次のライブくらいまでだよね。その先のことを相談すると「そんな先の話をしないで」って怒られる(笑)。
──目の前のライブに集中したいということですか?
鈴木 そんな立派なもんじゃなくて、キャパが狭くて抱えきれないだけです。
ズ まあ、僕もそんなに深く考えているわけではないんですけどね(笑)。ライブに対しても、来てくれる人は来てくれるし……くらいで。
鈴木 そうだね。ウチらはその場で一生懸命やるだけなので、よかったら受け取ってくださいって。上手いこと言えなくてすいません(笑)。
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<リリース情報>
デジタル・シングル
「風に吹かれて」
配信中
配信リンク:https://lnk.to/kazenifukarete

【収録曲】
1. 風に吹かれて
2. 春と修羅
3. 生活の柄
鈴木実貴子ズ「風に吹かれて」Music Video
メジャー1stアルバム
『あばら』
発売中
3,300円(税込)

【収録曲】
01. かかってこいよバッドエンド
02. 暁
03. 違和感と窮屈
04. ファッキンミュージック
05. 36℃
06. ベランダ
07. ヘイヘイユー
08. チャイム
09. あか
10. ベイベー
11. 壊してしまいたい
12. 私、天使だっけな
配信リンク:https://lnk.to/abara
<公演情報>
『あばら』ツアー

※終了公演は割愛
5月9日(金) 福島・いわきSONIC ゲスト:FRIDAYZ / 常磐シーサイダーズ
5月10日(土) 宮城・仙台FLYING SON
5月16日(金) 京都・磔磔 ゲスト:bacho
6月13日(金) 愛知・名古屋HUCK FINN
6月21日(土) 北海道・札幌KLUB COUNTER ACTION ※ゲストあり
6月28日(土) 東京・下北沢SHELTER ※SOLD OUT
7月3日(木) 京都・Live House nano ※3月31日(月)の延期公演
【チケット情報】
前売:4,000円(税込)
※ドリンク代別途必要
https://w.pia.jp/t/suzukimikikozu-25tour/
鈴木実貴子ズ オフィシャルサイト
https://mikikotomikikotomikiko.jimdofree.com
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