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水夏希、坂元健児、大隅勇太、西葉瑞希/森莉那が作り出す ミュージカル『夜明けにコーヒーを Having a coffee at dawn』

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ミュージカル『夜明けにコーヒーを Having a coffee at dawn』より

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数多くの作品が上演されている中、作品自体を育てていこうという思いで作られたオリジナルミュージカル『夜明けにコーヒーを Having a coffee at dawn』。脚本・中原和樹、演出・伊藤靖朗、音楽・はるきねるがタッグを組み、水夏希、坂元健児、大隅勇太、西葉瑞希/森莉那(Wキャスト)といったキャストが参加している。
海外公演、他言語での上演を見据えスタートした日本語でのトライアウト公演、そのムーブ町屋でプレビュー公演の模様をお届けしよう。

劇場に入ると、まず目を引くのは舞台セット。上下対称に作られたシンプルなリビングに想像力を掻き立てられ、ピアノや小道具、待機中のキャストが見える配置にもワクワクする。
ピアノが音楽を奏で始めると、坂元健児と水夏希が登場し、豆を挽いてコーヒーを淹れる朝の風景が描かれる。思いやりは感じられるがどこか他人行儀な雰囲気に、この二人はどんな関係なのかと引き込まれた。水も坂元も、お茶目な表情から憂いを帯びた表情まで幅広く見せ、一つひとつの言葉を丁寧に届ける。間の取り方や声のトーンなどでも二人の性格やこれまでに築いてきた関係性などを想像させてくれた。
ラストまで見てから改めて振り返るとともに難しい役だと感じるが、親しみを覚えられるキャラクターに仕上がっている。

大隅勇太、西葉瑞希/森莉那演じる二人は、登場してからのやり取りでどうやら若いカップルのようだとわかる。こちらはお互いに思いをぶつけ合いながら前に進んでいく勢いが眩しい。楽曲も明るく溌溂とした印象のものが多く、坂元と水、二人との空気感の違いが面白い。

パンフレットを読むと彼らの職業や関係性が見えてくるのだが、作中では特に触れられず、作中の会話や楽曲から読み解いていくことになる。また、時代背景や国といった情報についても語られないため、考察しながら見ることも、自分に重ねて身近な物語として見ることもできそうだと感じた。

楽曲はクラシックなものからポップスまで多彩。四人がピアノと共に奏でるハーモニーの変化も、本作の大きな魅力と言えるだろう。作品のキーワードとなっている“モーニングコーヒー”に関するやりとりなど、印象的なシーンがとても美しく胸に残る。
ピアノの生演奏はもちろん、舞台セットをうまく利用した演出によって穏やかな日常と不穏なシーン、登場人物の心象風景を切り替え、シンプルながらドラマティックな作品に仕上げていた。物語が進むにつれて、四人の関係性がよりくっきりと見えはじめ、それぞれの思いや事情が交錯していく様子も見事だ。

決して派手な事件が起きたり、大逆転や大団円が待っていたりする作品ではない。だが、どこかに実在すると思えるような人たちの日常が静かに、優しい視線で描かれている。幕が下りた後も彼らの人生が続き、今より少しいいものになるのではないか。そんな温かい気持ちで帰路に着くことができる作品と、その作品が育っていく過程を、ぜひ劇場で見届けてほしい。プレビュー公演を元にブラッシュアップを重ねて挑む本公演は、4月17日(木)・18日(金) に世田谷区・成城ホール、4月22日(火)〜25日(金) に港区・草月ホールで行われる。

取材・文/吉田沙奈

<公演情報>
ミュージカル『夜明けにコーヒーを Having a coffee at dawn』

日程:4月17日(木)・18日(金)
会場:成城ホール

日程:4月22日(火)〜25日(金)
会場:草月ホール

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/hcd/

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