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本田響矢「率直に楽しみ」 又吉直樹書下ろしの新作音楽劇『エノケン』で舞台に立つ

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本田響矢 (撮影:藤田亜弓)

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第二次世界大戦前後の日本で喜劇俳優として絶大な人気を博し、「日本の喜劇王」とも呼ばれた“エノケン”こと榎本健一。1970(昭和45)年に亡くなるまでの間にエノケン一座による舞台公演をはじめ流行歌、映画などで数々のヒット作を生んだ一方、病に苦しみ、長男・鍈一も若くして亡くなるなど、私生活では多くの不幸に見舞われた。そんな彼の姿を又吉直樹が戯曲として描き、エノケン役は市村正親が務めるというのだから、とても興味深い作品になることは間違いない。そして連続テレビ小説『虎に翼』出演などで2024年に大きな飛躍を見せた本田響矢が鍈一役に起用された。市村、そしてエノケンの妻役を務める松雪泰子と共演し、音楽劇に挑むことになる。彼にとっては久々の舞台出演にあたり、何を思ったのか。現在の心境を聞いてみた。

たくさんの人に愛された“エノケン”の息子役に挑む

初めて音楽劇に出演することになる本田だが、もともと歌は大好きだ、と微笑む。「歌は好きですが、音楽劇の出演は初めてなので不安も少しあります。台本をいただいて稽古に入るのはまだ先のことなので、どう役や作品に対してアプローチしていくのか、率直にとても楽しみです」

とはいえ、自身が演じる榎本鍈一については少し調べてみたのだとか。「なかなか資料がみつからなくて。ただ、鍈一さんは生まれた頃から病弱な方で、性格としてはおとなしく、礼儀正しい方だということはお聞きしています。エノケンさんについては、エノケンさんと関わってきた仲間や先輩・後輩の方たちの言葉を読ませていただいて、本当にたくさんの方に愛されていた方なんだと思いました。息子への愛もすごくあり、仕事である喜劇に対してはとても厳しい。台本でどう描かれるのか、僕も待ち遠しいです」

取材させてもらったのは、ビジュアル撮影が行われた日。本田はクラシカルな装いをきりっと着こなしていた。「シャツにベスト、革靴を履いて、髪型も含めて背筋がちゃんと伸びるような感覚で。当時の方が、身なりや人に見られるということをより意識しているのかな、と感じました。こういう格好をすると、『よし、今日一日頑張ろう』みたいな感じで気持ちが入りますね」

『エノケン』が上演されるのは、日比谷のシアタークリエ。初出演となるこの劇場で、本田は昨年9月に上演されたミュージカル『ファンレター』(演出:栗山民也、出演:海宝直人、木下晴香、浦井健治ほか)を観劇。舞台ならではの迫力に圧倒されたそう。「客席から舞台がすごく近くて、『目の前でこんなことが起きている!?』という感覚がありました。
自分もここでお芝居をする時にはこのように目の前で観られるのかと思いましたし、すごく没入できるような気がしました。舞台の上にいる皆さんが、その世界で生きていると凄く感じたので。以前出演した舞台(2018年BuzzFestTheater『昏闇の色』)の時も自分たち(作品)の世界でちゃんと生きている感覚があった記憶があります。今回の舞台も同じような感覚を掴めるようにしっかり向き合いたいと思います」

本田流の役へのアプローチも気になるところ。聞いてみると演じる役の履歴書を作っていると話してくれた。「その作品に入る前に役をしっかり理解したいんです。例えば20歳の役をやるなら生まれてからの20年をどうやって生きてきたのか、台本に書かれていない部分を想像して、兄弟はいるのか、好きな食べ物は何か、友だちは多いのか少ないのか……。いろいろ書き出します。この場面では何故こういうことを言うんだろうとか、セリフに対する理解度が変わってくるような気がします。掘り下げて考えた分、自分の感覚を信用して監督ともセリフの相談ができるような気がします」

役の履歴書を作るようになったのはここ2~3年、少しずつ与えられた役のセリフ量や重要性が増してきたからだという。「以前は出番もセリフも少なく、現場に関わることができる時間が短かった。最近は本当に有難いことに長期でひとつの役を演じさせていただけるようになってきて、もっと過去を探ったほうが役の理解度も増すと思うようになりました」

そうした取り組み方も含め、自分にとって“転機”になったと本田が語ったのはAbemaTVのドラマ『ANIMALS-アニマルズ-』(2022年、出演:鈴木愛理、白洲迅ほか)。カメラマンの長嶺風緒を演じた。「撮影が2か月半くらいあり、役と向き合っている時間がそれまでで一番長かったんです。役と、役を演じることの魅力や面白さにあらためて気づくことができました。監督やプロデューサー、共演者、皆さんと話し合いながら、家に帰ってからも役を追求していくのがすごく楽しくて。カメラマンの役でしたので自分のカメラを持ち歩いて、現場で撮った写真を『これ、いいね』と言っていただき、劇中で使っていただけたりもして。そういったことも、作品づくりに活かせることが出来て嬉しかったです」

役を追求しながらも、ある意味客観的に役と自分を切り離してとらえている、とも話す。「自分に似ているキャラクターだったらそこまで分けて考えないかもしれません。僕がこれまで演じてきた役の中で、理解はできても共感はできない役があったり。撮影が始まったと同時に、自分自身から役に切り替わる感じでしょうか。でも気がつかないうちに、役に近い感じになっていることが多いです。よくスタッフさんに『○○みたいになってる』と言われたりすることもありますね」

『虎に翼』をはじめとして良い経験を糧に『エノケン』へ

2024年を振り返ってもらうと、やはり『虎に翼』で大庭光三郎を演じたことは大きな出来事だったようだ。「自分の母親(平岩紙演じる大庭梅子)に対して思うことだったり、好きな人と母親を天秤にかけたとしたらどういうバランスになるかは大切にしながらも、それでもやっぱり自分の中では母親が一番だということを意識して演じていました。会う人会う人みんなに『出てたね』『見たよ』と言っていただけて、あらためて本当にたくさんの人が見ている素敵な作品に出演させていただけたんだと実感しましたし、すごく良い経験になりました」

多忙な日々の中での楽しみは、大好き! だというロバート秋山。彼が出演するバラエティー番組はもちろんチェックしているが、特に好きなのは彼のネタの元になっている他愛もないひらめきを日々書き込んだ、膨大な「メモ」を蔵出し公開するラジオ番組「ロバート秋山の俺のメモ帳!on tuesday」(bayfm)だそう。「毎週火曜日はラジオを聴いて楽しませていただいています!『逆カラオケ』というネタは、一緒にやってみたいです(笑)」

そして、ロバート秋山以外に「好きだ」と教えてくれたのは、『新聞記者』『余命10年』『正体』などで知られる映画監督・藤井道人の作品。「藤井監督の作品がとても好きです。登場するキャラクター一人ひとりの過去やバックボーンをしっかり感じることが出来たり、演出も含めて全てが『うわっ……!』と心に響いてきて。気づけばその世界に入り込んでいます。」

またお出かけ方面でのプライベートな楽しみは、「温泉が好きです。だから2025年も、これまで行ったことのない温泉地にもっと行きたいし、良い温泉に出合いたいと思います。湯質がとても気になるんですけど、これまで行った所で好きなのは有馬温泉(兵庫県)。『あの土地からしか湧いてこないんだ』と湯感を一番感じました」

良いお湯に出合えることを楽しみにしながらも、2025年「大きな挑戦のひとつ」として表情を引き締めたのはもちろん、あらためて『エノケン』への意欲を聞いた時。終始まっすぐな瞳で語ってくれた本田響矢。精力的に『エノケン』に向き合い、ステージ上で魅力的な榎本鍈一を見せてくれることだろう。期待して待ちたいと思う。

公演は2025年10月、東京・日比谷のシアタークリエにて。その後国内ツアー公演あり。

取材・文:金井まゆみ 撮影:藤田亜弓

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<公演情報>
音楽劇『エノケン』

作:又吉直樹
演出:シライケイタ
音楽監督:和田俊輔
美術:伊藤雅子
照明:佐々木真喜子
音響:戸田雄樹

衣裳:中原幸子
ヘアメイク:宮内宏明
稽古ピアノ:久田菜美
演出助手:斎藤歩
舞台監督:幸光順平 鈴木拓

【キャスト】
市村正親:榎本健一(エノケン)
松雪泰子:花島喜世子・榎本よしゑ(妻2役)
本田響矢:榎本鍈一(息子)
小松利昌
斉藤 淳
三上市朗
豊原功補:菊谷榮(劇作家)

ほか

【東京公演】
2025年10月7日(火)~10月26日(日)
会場:シアタークリエ

【大阪公演】
2025年11月1日(土)~11月9日(日)
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール

【佐賀公演】
2025年11月15日(土)・16日(日)
会場:鳥栖市民文化会館 大ホール

【愛知公演】
2025年11月22日(土)~24日(月・祝)
会場:名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)

【川越公演】
2025年11月28日(金)~30日(日)
会場:ウェスタ川越 大ホール

チケット情報
https://w.pia.jp/t/enoken/

公式HP:
https://horipro-stage.jp/stage/enoken2025/

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