トム・クルーズ「約30年も続くとは思ってなかった」『ミッション:インポッシブル』来日記者会見レポート
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『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』来日記者会見より
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すべて見る5月23日(金) 日米同時公開されるシリーズ最新作『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』の来日記者会見が、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズにて実施された。
会見には、主演のトム・クルーズをはじめ、サイモン・ペッグ、ポム・クレメンティエフ、ヘイリー・アトウェル、グレッグ・ターザン・デイヴィス、クリストファー・マッカリー監督が登壇。クルーズを含めたキャスト陣と、最新作を手掛けた監督が作品への想いをじっくり語ったほか、本作で披露される超絶スタントの裏側、シリーズのレガシーに迫る質問など、様々なトークテーマが飛び出した。
MC関根麻里の呼び込みにより、イーサン・ハント役のトム・クルーズが拍手で迎えられながら登壇すると「温かい歓迎をありがとうございます。皆さんに会いたかったです。また日本に来られて嬉しいです」と挨拶。関根より昨晩行われたプレミアスクリーニングについての感想を聞かれると「美しい体験でした。完成まで7年間という長い年月がかかりました。日本の皆さんの反応をみて素晴らしかったです」と回答。
そして、観客からスタンディングオベーションが起きたことに関しては「非常に大きな感動でしたし、私は皆さんのために映画を作っています。昨晩の事はずっと忘れないです」と感慨深げに回顧した。また、客席にて様子を見守っていた、クルーズにとっての“日本の母”こと字幕翻訳家の戸田奈津子をフィーチャーする一幕もあり暖かな空気で会見はスタートした。
続けて、関根より投げかけられた「なぜ本シリーズは特別なのでしょうか」という質問に対し、クルーズは「映画を作るということは小さいころから夢見ていたことです。自分の夢を生きることができる。それを受け入れていただいて観客の皆さんを楽しませることができるということを当たり前だとは絶対に思いません。現場に入り準備している時に常に観客のことを考えています。それらは私に大変な喜びをもたらしますし、人生を捧げています。そのなかで(『ミッション:インポッシブル』シリーズは)最初にプロデュースした作品ですし、非常にめずらしい旅をさせていただきました。また、自分自身が俳優として、プロデューサーとして、ストーリーテラーとしてチャレンジをしていけます」と熱い想いを語った。
続いて、クリストファー・マッカリー監督が登壇し「みなさんご来場いただきましてありがとうございます」と挨拶。長年の付き合いとなるクルーズとのパートナーシップについて「ずっと対話しているような感じです。『トップガン マーヴェリック』『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング』『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』の3作品を立て続けに作り上げてきたんですけども、今でもしょっちゅう一緒にすごしています」とツーカーぶりを披露。また、トムのことを「僕のドライバーであり、パイロットです」と冗談を交えながら補足した。
最新作のアクションを語るうえで外せないのが、縦横無尽に旋回する小型プロペラ機のスタント。クルーズは「ウィングウォーキング(飛行機の羽上でのスタント)をしたときに、呼吸もできないくらい風圧が凄まじく物理的にかなり困難でした。全身の筋肉を使い挑みました。パイロットにもトレーニングをしてもらったんですが、すごく体力が奪われてエネルギーがきれることもありました。そのため、筋肉にエネルギーが回るように日々トレーニングを積んできました。このような経験は初めてでした」と本作きってのキラーショットの裏側を語る。
また、加えて本作の目玉となるシークエンスに水中でのスタントがあるのだが、撮影時はクルーズの他にマッカリー監督も一緒に水中へ潜り、ハンドシグナルでコミュニケーションをとりながら演出を進めていったという。なお通常、水中のシーンを撮影する際は監督は外でスタンバイし、キャストとはスタッフを介してディレクションすることが主であるが、マッカリー監督はこだわりがあったようで「その方法だと空間の認識ができない故に、1日6ショットくらいしか撮れずとても時間を消費するので、自分たちがやりたいことができません。そのため本作では、自身もクルーズと一緒に水中に潜ることで24ショットくらい撮影することができました」と、本作ならではの撮影を振り返った。
盛り上がりも冷めやらぬなか、ベンジー役のサイモン・ペッグ、パリス役のポム・クレメンティエフ、グレース役のヘイリー・アトウェル、ドガ役のグレッグ・ターザン・デイヴィスの4名が一挙に登壇し、計6人の来日メンバーが集合。アトウェルは「本当にここに来れて嬉しいです。昨晩、日本のファンと一緒に初めて作品を観られたことも素敵でした」、ペッグは日本語で「こんにちは」、続けて「皆さんと一緒に作品を観ることができてとても光栄でした。愛を感じました。ありがとうございます」、クレメンティエフは「こんにちは。日本の方々とこの映画を共有できることを楽しみにしていました。この国が大好きです。皆さん愛してます」、デイヴィスは「初めての来日になります。皆さんとこの映画を共有できてとれも嬉しかったですし、すごい体験でした。ありがとうございます」とそれぞれ挨拶。
シリーズの中でIMFチームも常に進化を遂げてきたが、最新作での人間関係・自身の役柄を聞かれると、ペッグは「ベンジーはチームをリードすることが初めてなんですが、アサシン(パリス)と政府エージェント(ドガ)と盗人(グレース)を指導しなければならず、とっても充実感がありました」と語り、会場の笑いを誘った。
そんなペッグについてクルーズは「『ショーン・オブ・ザ・デッド』を鑑賞し、すごく有能な俳優だと思い、彼を誘いました。そして彼は素晴らしい才能を発揮してくれました。コメディセンス、演技力、チームワークが凄く上手な方なんです。なので彼との仕事はとっても楽しいです。彼のことが大好きです」と、シリーズ3作目からおよそ20年もの付き合いとなるペッグを絶賛した。
アトウェルは自身の役柄について「今作ではチームの一員ではあるんですが、属するということは大切な仲間を失うという恐れを抱えることにもなります。自身の目的のためではなく、より大きな義のためにお互いを必要としあってやらなくてはいけないことしなければ、という想いを持っています」と説明。クレメンティエフは「前作では一匹オオカミのような敵キャラクターだったんですが、今作では他のキャラクターと一緒にいるシーンがかなりあります。もっと彼女の人間的な面が見れると思います」とキャラクター像に期待を膨らませるコメント。デイヴィスは「ドガは本作でイーサン・ハントが本当に正しい判断をしているのか、ということを考え出します」とネタバレを回避するためにあえて曖昧な回答を披露した。
また、本作で製作チームは“真にグローバルな『ミッションイン:ポッシブル』を作る”という目標を掲げていたようで、どのようなロケーションで撮影が敢行されたかを問われると、クルーズとマッカリー監督は「南アフリカ、ベルギー、イギリス、北極圏など様々な土地で撮影しました」と振り返る。マイナス40度という極限の状況で撮影が行われた北極圏は、特にキャスト・スタッフ一同の記憶に深く刻まれているようだ。
会見も中盤となり、記者からの質疑応答の時間に。まず「本作のアクションシーンを撮影していくなかで、『無理かもしれない』と思った瞬間はありましたか?」という質問に対し、クルーズは「毎回そうでした。毎回チャレンジングですがそんな環境のなかでも撮影を続けていきました」と回顧。
マッカリー監督は続けて「最後のシーンの話なのですが、具体的なカメラの動きを事細かに決めないといけないシーンでした。しかし、クルーズが撮りたいようなシーンを撮れる機材とテクノロジーが揃っていないという状況でした。でも、クルーズがなんとかしようと言ったら、翌日に機材が用意されてテクノロジーも開発されていたんです。『無理』ってことは多いんですが必ず解決策があるんですよね。この映画でもモットーとしています」と振り返った。さらに、そのシーンを撮影するにあたってのカメラオペレーターやフォーカスプランナーはおらず、すべてクルーズがひとりで機材を調整の上、全てをコントロールしていたという、驚愕の事実も明らかとなった。
続いて、「これだけ肉体的にハードな動きを可能にするためのエネルギーはどこからくるんですか? モチベーションの保ち方を教えてください」という質問に、クルーズは「情熱と愛です。仕事ではなくこれこそが自分だと思っていますし、目標というものを常に持っていて、チャレンジが大好きなんです。難しいとか大変とかは構わない。とにかく何があっても諦めない。人生は冒険です。よく、怖くない?って聞かれるんですが、もちろん怖いです。色々な感情があるんですがそれは問題ないんです。それが私なんです。人々を楽しませることが本当に好きで、自分がどれだけ光栄な立場にいるかということを当たり前に思わないようにしています」と、熱い解答を披露した。
3問目は、「ストーリーの始まりのアイデアはどこから生まれたのでしょうか?」という質問。マッカリー監督は「我々は脚本を書くとき、役をつくってから俳優を探すのですが、本作は逆でした。俳優を探してから彼らのために役を書き下ろすという形をとりました。なので、本日登壇されている皆さんはなぜここにいるのかというと、素晴らしい才能の持ち主だからなんです。本シリーズは非常にタフな作品群です。それらに愛されているからなのです」とこだわりの配役を説明。続けて、本作の始まりについて「もともと着手のキッカケとなったのは“エモーション/感情”でした。前作の『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング』よりもさらにエモーショナルな作品を目指しました。そして6作目の『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』で学んだストーリーテリングをどのように活かすかを考えました」と説明する。
そんなマッカリー監督に対し、トムは「出会った瞬間に、自分は彼とずっと仕事をするんだとわかりました」と最大の賛辞を送りつつ、特別なシンパシーを感じた旨を回顧した。
最後は「約30年もシリーズが続くと思っていましたか?」という質問。作品の歴史に迫る質問に対しクルーズは「もちろん思っていなかったです。(1作目の公開当初は)まだまだオーディエンスとのコミュニケーションの取り方などがわからなかったです。シネマの言語というものに対してもっと理解を深めたいと思いました。18歳の時にパラマウントのプロデューサーにお会いした時、彼女は私の映画に対しての情熱をすごく理解してくださってとてもサポートをしてくれました。数年後、『ミッション:インポッシブル』を作りたいと話したところ、『なんでTVシリーズを映画化するんだ」とみんなに言われたんです。ただ、3作目まで作り上げてきたあと、シリーズ全体を振り返って、オーディエンスが何を楽しんだのかを掘り下げていきたいと思い、(シリーズを)続けたいという気持ちが生まれました。ちょうどそのタイミングでマッカリー監督と出会い、どういう風に進化をさせるか決めていったのです」とシリーズの軌跡を振り返った。
2日間にわたり行われた『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』のジャパンプレミア。その最後を締めくくる本記者会見は、来場した観客からの割れんばかりの拍手のなか、大盛況のうちに幕を閉じた。
なお、キャストと監督が降壇後、サプライズ情報が発表され、5月23日(金) からの全国公開に先駆け、5月17日(土) より先行上映されることが緊急決定した。
<作品情報>
『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』
5月17日(土)~22日(木) 先行上映
5月23日(金) 日米同時公開
公式サイト:
https://missionimpossible.jp
(C)2025 PARAMOUNT PICTURES.
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