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“最後の浮世絵師”鰭崎英朋の大回顧展が太田記念美術館で開催  新発見の肉筆画など187点で画業の全貌に迫る

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柳川春葉『誓』前編 口絵(朝日智雄氏蔵) 前期展示

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原宿・太田記念美術館では、2025年5月31日(土)より、『鰭崎英朋』展を開催する。

明治後期から昭和にかけて活躍した「最後の浮世絵師」鰭崎英朋(1880−1968)の、木版画や石版画、肉筆画など187点(前期は6月25日まで、後期は6月28日からで全点展示替え)を紹介する大回顧展だ。

幕末・明治の浮世絵師・月岡芳年の流れを汲む鰭崎英朋は、妖艶な美さを湛えた女性たちを数多く描いた絵師。同時期に活躍した美人画の名手、鏑木清方と肩を並べるほどの人気を博し、主に小説や雑誌の表紙や挿絵、口絵など活躍した。当時、浮世絵版画は、大衆向けのメディアとしての役割を終えようとしていたが、明治後半から大正初期にかけて、文芸雑誌や小説の単行本の巻頭で、江戸時代の技術をはるかに上回る精緻な浮世絵が掲載され、鰭崎の作品はここに発表されたのだ。

柳川春葉『かたおもひ』三巻 口絵(朝日智雄氏蔵) 後期展示

もの思わしげな瞳、ほつれた髪、モデルの心情を雄弁に語る美しい仕草。様々な工夫で読者を惹きつけた鰭崎の作品の中でも、泉鏡花の小説『続風流線』の巻頭に付された口絵は、斬新な構図や高度な摺りの技法が際立つ代表作だ。竜巻に襲われて船が転覆し、湖に落ちた美樹子を、多見治が救助する場面を描いた作品で、水にたゆたうふたりの体が波間に透けて見えるという、驚異の木版表現に圧倒される。同作は前期展示なので、ご覧になりたい方は、6月25日(水)までに来館を。

泉鏡花『続風流線』 口絵(朝日智雄氏蔵) 前期展示

生まれた時代により、期せずして浮世絵版画の歴史の終焉を飾ることになってしまった鰭崎英朋だが、彼は木版画だけでなく、石版画の口絵も数多く手がけた。同展では、今まであまり紹介されることのなかった鰭崎英朋の石版画もボリュームたっぷりに紹介し、さらに原画や彩色の指示をした「差し上げ」という絵など、制作過程がわかる作品も展示する。また第9回日本絵画協会第4回日本美術院連合絵画共進会で褒状2等を受賞した《上杉謙信》(前期)も同展で初めて公開する。近年発見された同作は、鰭崎英朋が20歳の時に描いた、現存最古の肉筆画だ。

会期中、学芸員が展覧会の見どころを解説するスライドトークも開催される。

<開催概要>
『鰭崎英朋』

会期:2025年5月31日(土)~7月21日(月・祝) ※会期中展示替えあり
会場:太田記念美術館
時間:10:30~17:30(入館は17:00まで)
休館日:月曜(7月21日は開館)、6月26日(木)・27日(金)
料金:一般1,200円、大高800円 
公式サイト:
https://www.ukiyoe-ota-muse.jp//

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