『星の降る時』日本初演がPARCO劇場で開幕 作者のベス・スティール「自分の家族を思い出し、愛していただければ」
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舞台『星の降る時』プレスコール(一部場面公開)より
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すべて見るパルコ・プロデュース2025『星の降る時』(演出:栗山民也、翻訳:小田島則子)が5月10日、東京・PARCO劇場で初日を迎えた。2023年のイギリスでの初演で大きな話題を呼び、2024年度「ローレンス・オリヴィエ賞」BEST PLAYにノミネートされた戯曲の日本初演。原作者で、イギリス気鋭の劇作家ベス・スティールが来日を果たし、「日本の観客の皆さんに、どんな風に受け取ってもらえるか楽しみにしている。自分の家族を思い出し、作品との結びつきを見つけてもらいながら、愛していただければ」と期待を寄せた。
イギリスのかつて栄えた炭鉱町を舞台に、母親を早くに亡くし、元炭鉱夫の父に育てられた三人娘を軸に、変わりゆく社会と折り合いをつけようともがく家族を描く本作。三女の結婚式で、久しぶりに集まった家族と親戚。ウォッカが振る舞われ、ダンスに興じ、人生で一番幸せな時を過ごすはずの家族だったが、過去の確執や裏切り、憤りなどが、次第に浮かび上がる。



海外での上演は日本が初めてとなり、スティールは「イギリスから遠く離れたこの地で、上演することができて、とても光栄」と感無量の面持ち。江口のりこ、段田安則ら実力派キャストにアンサンブルについて「とても素晴らしく、いい意味で驚かされた」と語り、「文化の違いを超えて、精神は同じだと感じることができた。演技はもちろん、プロダクションも言葉を失うほど圧倒された」と日本版を絶賛した。

物語の中心となる三姉妹は「私自身を投影している」といい、「結婚式が舞台になっているので、そこに集う人々の喜び、愛、未来、祝祭といったものが、どんな文化であれ、心に通じるものを見出してもらえたのでは」と、本作が国内外で高く評価される理由を分析した。

三姉妹の長女役で江口のりこ、次女役で那須凜、三女役で三浦透子が出演する。また、三姉妹を育てあげた父親役で段田安則、三姉妹の育ての母でもある叔母役で秋山菜津子、長女の夫役で近藤公園、三女の夫役で山崎大輝、三姉妹の叔父役で八十田勇一が名を連ねた。初日を迎えるにあたり、演出・出演者が以下のコメントを寄せた。
■栗山民也(演出)コメント
この芝居、稽古が始まる前に決まって胸の鼓動が激しくなるのです。いったいどこへ向かっていくのかわからぬ物語の、その流れの過激さからでしょうか、それぞれの登場人物の思いも行動もチグハグで、気持ちいいほどに勝手気ままに見えて、実は極めて真剣、必死なのです。ちょっと遠くから俯瞰してみると、小さな輪の中にみんながしっかりといて、まるで太陽を中心にそれぞれの惑星が周りをぐるりと巡っているような家族の光景が続くのです。すぐ目の前にある大切なものを見過ごしたり、後悔するくせにあえて強がりをぶつけてみたり、大事なところで思わず滑って転んでしまう登場人物ばかりなのですが、確かにこの人たち、機械じゃなく素敵な生きものです。そんな彼らの必死に激しく求め合うそれぞれの愛のカタチに、またドキドキと鼓動が高鳴るのです。

■江口のりこ(長女ヘーゼル)コメント
本当に面白い芝居です。人間の面白さが在ります。是非是非劇場に足を運んで下さい!
■那須凜(次女マギー)コメント
家族という生き物はなんと不可思議なんだろうと、思いを巡らせる稽古の日々でした。愛し合いながら憎み合う。どんなに離そうと思っても離れられない手と手。それは決まった法則で永遠と動き続ける宇宙の惑星のようです。遠いイギリスの話ですが、全ての世界の人々に通づるであろう家族の物語になりました。『星の降る時』皆様に心から見て欲しいお芝居です!是非劇場にお越しください。

■三浦透子(三女シルヴィア)コメント
学びと笑いに溢れた、とても充実した稽古の日々でした。読むたびに発見と気づきがあって、なんと恐ろしい脚本だろうと感じております。稽古場で紡いだ時間を信じて、最後まで全力で作品に取り組んで参ります。ぜひ劇場に観にいらしていただけると嬉しいです!
■近藤公園(長女の夫ジョン)コメント
もともと素晴らしい戯曲なのですが、栗山マジックによって素敵な演劇が出来上がりました。三姉妹の個性が炸裂していて、本当に魅力的です。そこにキャロル叔母が入った時の、かしましさ! 更に娘たちが加わった時の、金平糖みたいな形の面白さ!男性陣も負けじと奮闘したいと思います。ただ、色んな角度から刺さる作品です。是非とも覚悟して、ご覧いただきたい。

■山崎大輝(三女の夫マレク)コメント
台本を読んだ時から面白い作品になると思っていましたが、稽古が進んでいくほど新しい面白さに出会いました。丁寧に並べたドミノをひと押しするだけで全部が倒れてしまう、変わってしまう。その瞬間に何を思うのか。この時間をお客様と共有できることを嬉しく思います。劇場でお待ちしております。

■八十田勇一(叔父ピート)コメント
ストーン家の大変な一日を皆さまにのぞき見してもらうために、いつもより“慣れない”“頭をフル回転させながら無意識に体を動かす”ことを徹底的にやってます。なので初日を迎えるのがいつもより怖いです。でも皆さまにお会いできるのは楽しみです!でも初日は怖い。そんな想いが行ったり来たりしてる今日この頃です。
■秋山菜津子(叔母キャロル)コメント
なんだかとてもワクワクする芝居です。稽古中もずっと新鮮な時間を感じていました。 この感覚を持ったまま、観客の皆様にもワクワク、ライブ感のある素敵な作品をお届けできたらと思っています。

■段田安則(父親トニー)コメント
いつも一応「是非ご覧下さい」と言うのですが、今回は本心から「是非ご覧下さい」です。台本を読んだときも面白かったのですが、実際に稽古をし、俳優が動きだすと、もっと面白くなりました。どのシーンも面白い。どの役も面白い。何本も芝居をしていますが、そうですね、5年に1回、いや、10年に1回出会えるような名作の舞台になるのではないでしょうか。

パルコ・プロデュース 2025『星の降る時』公演は、6月1日(日)まで同所にて。山形、兵庫、福岡、愛知公演あり。上演時間は約2時間30分(休憩20分含む)予定。
取材・文:内田凉
<公演情報>
パルコ・プロデュース 2025『星の降る時』
作:ベス・スティール
翻訳:小田島則子
演出:栗山民也
出演:江口のりこ / 那須凜 / 三浦透子 / 近藤公園 / 山崎大輝 / 八十田勇一 / 西田ひらり / 佐々木咲華 / 下井明日香 / 秋山菜津子 / 段田安則
【東京公演】
日程:2025年5月10日(土)~6月1日(日)
会場:PARCO劇場
【山形公演】
日程:2025年6月8日(日)
会場:やまぎん県民ホール
【兵庫公演】
日程:2025年6月12日(木)~15日(日)
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【福岡公演】
日程:2025年6月21日(土)・22日(日)
会場:キャナルシティ劇場
【愛知公演】
日程:2025年6月27日(金)~29日(日)
会場:穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/tillthestarscomedown/
公式サイト:
https://stage.parco.jp/program/tillthestarscomedown/
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