桐山照史と柄本時生、同級生のふたりが5年ぶりに挑む『泣くロミオと怒るジュリエット』
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インタビュー

桐山照史(右)、柄本時生 (撮影:興梠真帆)
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劇作家・演出家の鄭義信が2020年に書き下ろした『泣くロミオと怒るジュリエット』が再演される。本作は、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を大胆に翻案し、戦後の混乱期を生きる人々の純愛群像劇として、キャストは全員男性というオールメールで上演されたが、新型コロナウイルスの影響により東京公演の途中で公演中止となった。
初演から続投となるロミオ役の桐山照史とジュリエット役の柄本時生は、「桐くん」「時生」と呼び合う仲。そんなふたりに、再演への思いを聞いた。
お互いの印象は「一緒にいてすごく楽」「とにかく優しい人」
──まずは再演が決まったときの思いを教えてください。
桐山 初演に出演した作品が再演される、ということが僕は初めてなので、それがすごく嬉しかったんですが、初演時は僕たち30歳だったんですけど、当時でも精神的にも体力的にも大変だったので、5年経った今の僕たちにできるのかという不安があって、この話をいただいたとき、すぐに時生に「どうする?」と連絡しました。

柄本 僕も桐くんと同じで、あの熱量と精神を使い切る感じをもう一度、となったときに一瞬は悩みました。僕自身は初演に出演していた作品の再演というのは2回目で、1回目のときは初演を超えよう、という気持ちが強すぎて精神をすり減らしたところがあったので、今回は俳優として、また別のやり方というものを見つけられるんじゃないか、と楽しみにしています。
──同い年のおふたりですが、初演時のお互いの印象を教えてください。
桐山 お仕事で同級生と出会うことが少なかったので、ようやく同い年の役者さんと共演できることが嬉しかったです。一緒にいてすごく楽な存在なんですけど、びっくりするぐらいガサツなんですよ。これまで僕の人生の中にはいなかった、別枠のガサツさですね。
柄本 別枠作っちゃったんだ (笑) !?
桐山 別枠だよ! 僕も時生もよく素足でサンダルを履いていて、僕は稽古場に着いたら稽古用の靴を履くんですけど、時生は素足で稽古し出すんです。「お願いします~」って素足で稽古場に入って来て、急に「私ジュリエット~」って始まったから、「おぉ、こいつすげえな」って心臓がざわざわしました(笑)。最初に鄭さんが時生に言ったのって、演技がどうとかじゃなくて「お願い、靴履いて。ケガが怖いから」だった。
柄本 今回はちゃんと靴持ってくる(笑)!
──柄本さんから見た桐山さんはいかがですか。

柄本 豪快そうなイメージがあったんですが、僕が思ってた以上にとにかく優しい人でした。初演時の何かの撮影で「向かい合って喋ってください」と言われたときに「どっちの目から見る? 俺、右かな」って言ってくれたんです。見つめ合うのって緊張するというか気恥ずかしいけれど、桐くんが「目を見ていいよ」っていうのをその一言で優しく教えてくれたから、すごく楽になれたんです。
桐山 グループで取材を受けたときに編み出した技なんだよね。メンバー同士でも顔を見合わせて撮られるのって恥ずかしいから、「俺、ちょっとずつ顔変えるからどこ変わったか当てて」とかゲームをやったりして。
柄本 長年の経験から生まれたんだね! すごくそれが助かったし、なんか女子になれた(笑)。女子ってこんな気持ちなのかな、って。
桐山 ハハハハハ!
新キャストも迎えておくる「一番泥臭くて一番人間味のあるロミジュリ」
──再演にあたり、改めて今回自分の役とどう向き合おうと思っていますか。
桐山 ロミオは吃音を持っていて、所属していた愚連隊を抜けて自分で働き出して、という役の背景をまずは自分の中で整理したいと思っています。自分の代表作にしたいと思うぐらいすごく面白かった作品なんですけど、いざ再演やってみたら違った、となったら嫌だな、という恐怖心も芽生えつつ、そこも踏まえて楽しんでいけたらなと思います。
柄本 初演のときは、鄭さんが冒頭に「僕がジュリエットである」ということをお客さんに認めさせるセリフを作ってくださったので(笑)、それに乗っていくという感じでした。再演となると前回やったことをなぞりそうな自分がいて、そこは怖いかなという気もしますが、また鄭さんと戦いながら作っていくんだな、と思うとすごくワクワクします。
──お客様へメッセージをお願いします!

桐山 初演をやらせてもらったとき、すごく好きな世界観とストーリーで、お芝居ってこんなに楽しみながらやっていいんだ、と教えてもらえた作品でした。ロミジュリって、かっこいい人とかわいい人が綺麗な世界観でやっている、というのが一般的なイメージだと思うんですけど、一番泥臭くて一番人間味のあるロミジュリはこの作品じゃないかな、と思います。全力でお稽古してパワーアップした作品を届けられるように頑張りますので、劇場でお待ちしております。
柄本 初演から続投のメンバーもいますが、今回初参加のメンバーも加わった新しい座組になるので、また新たなものを見つけていけたらいいなと思っています。今回も豚骨のように濃い目に、一生懸命力強く頑張りますので、ぜひ楽しんで観ていただけたらなと思います。
取材・文:久田絢子 撮影:興梠真帆
ヘアメイク=(桐山)井上ゆか /(柄本)稲月聖菜(マービィ)
スタイリスト=(桐山)村田友哉(SMB International.) /(柄本)矢野恵美子
衣裳=(柄本)シャツ・パンツ・シューズ:Y’s for men / ワイズフォーメン(ワイズ プレスルーム TEL 03-5463-1540)、Tシャツ:Yohji Yamamoto / ヨウジヤマモト(ヨウジヤマモト プレスルーム TEL 03-5463-1500)・ピアス:本人私物
<公演情報>
Bunkamura Production 2025
『泣くロミオと怒るジュリエット2025』
作・演出:鄭義信
出演:
桐山照史、柄本時生、浅香航大、泉澤祐希、和田正人、
中山祐一朗、朴勝哲、高橋努、市川しんぺー、八嶋智人、渡辺いっけい
久具巨林、嶋村昇次、鈴木幸二、十河尭史、田口太智、長南洸生、西村聡、羽鳥翔太、平岡亮、森野憲一
【東京公演】
2025年7月6日(日)~7月28日(月)
会場:THEATER MILANO-Za
【大阪公演】
2025年8月2日(土)~8月11日(月・祝)
会場:森ノ宮ピロティホール
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/rj2025-milanoza/
公式サイト:
https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/25_romeo_juliet/
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