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若きエネルギーが一体となって躍動!『Take Me Out』ルーキーチームも開幕!

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舞台『Take Me Out』2025 ルーキーチームゲネプロより (撮影:田中亜紀)

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同性愛者であることを公表したメジャーリーガーの姿とそれによってチーム内に生じる軋轢や衝突を描き、2003年のトニー賞演劇作品賞を受賞し、2023年にはトニー賞演劇リバイバル賞に輝いた『Take Me Out』の3度目の日本上演が先日より行われている。

今回、再演時のメンバーに新メンバーを加えた“レジェンドチーム”とフルオーディションによる“ルーキーチーム”という2チーム体制での上演が大きな特徴となっている。先日のレジェンドチームの開幕に続き、5月23日の夜にはルーキーチームも初日を迎え、日中に行われたゲネプロの模様が関係者、報道陣に公開された。

物語は、メジャーリーグのエンパイアズのスター選手であるダレン(野村祐希)が優勝争いも佳境に入ったシーズンのさなかに、自身がゲイであることを公表したところから始まる。チームメイトのキッピー(八木将康)、会計士のメイソン(富岡晃一郎)らがダレンのカミングアウトを好意的に受け止める一方で、チーム内にも彼の告白を不快に感じ、それを態度で示す者もいて、チーム内には軋轢が生じ、成績は下降線をたどることになる。またプレイ以外の部分でも、ダレンが出演していたCMが徐々に打ち切られるなどといった影響も見られるようになる。そんな中、マイナーから昇格した速球投手・シェーン(小山うぃる)の活躍で再びチームは活気を取り戻すが、シェーンがインタビューで口にした言葉が大きな物議を醸すことになり……。

演出の藤田俊太郎は、レジェンドチームとルーキーチームで演出を大きく変えると宣言しており「重厚なセリフ劇のレジェンドチームと躍動する群集劇のルーキーチーム」と語っていたが、その言葉通り、ルーキーチームはオープニングから激しいダンスを披露するなど、随所にチームの一体感を感じさせる。

おおまかなストーリーは同じだが、他にも衣装や立ち位置、それぞれのキャラクターにいたるまで、チームごとの個性や違いを見せる。例えばチーム内でダレンの最大の理解者であるキッピー。本作で描かれる「他者を理解すること、少なくとも理解しようと努めることの大切さ」を体現する非常に重要な存在だが、レジェンドチームで三浦涼介が演じたキッピーはややクールに、どこか哲学者のような理知的なキャラクターとして表現されていたが、一方のルーキーチームで八木が演じたキッピーは、チームメイトの信頼を集める“頼れる兄貴分”といった雰囲気がより色濃く感じられ、彼の存在によってチームが一体になっていく様子が伝わってくる。これは藤田の演出方針というよりは、それぞれの俳優としての個性や特徴がキャラクターに反映された結果と言えるかもしれない。

作品の根幹を貫くテーマ性は同じながらも、解釈やアプローチの違いで、異なる2作品のように楽しませてくれる。グラウンドの中ではなく、普段、ファンや視聴者が見ることのできないロッカールームでの振る舞いに重きを置き、閉鎖的なプロスポーツチームにおける性的マイノリティや人種差別、社会階級、有害な男らしさ(=Toxic Masculinity)といった複数の社会的テーマを鋭く描き出していく骨太の作品に仕上がっている。

ブロードウェイで初演された2002年と比べて、さまざまな社会的な事象に対する世間の理解や受容には変化が生じているのはもちろん、メジャーリーグにおける日本人メジャーリーガーの存在も当時といまでは大きく変化しており、そうした点も踏まえ、23年前よりも日本人の観客にとってもより身近に感じられる作品となっていると言えるかもしれない。

取材・文:黒豆直樹 撮影:田中亜紀

<公演情報>
舞台『Take Me Out』2025

作:リチャード・グリーンバーグ
翻訳:小川絵梨子
演出:藤田俊太郎

出演:
[レジェンドチーム] 玉置玲央、三浦涼介、章平、原嘉孝、小柳心、渡辺大、陳内将、加藤良輔、辛源、玲央バルトナー、田中茂弘
ベンチ入り(スウィング):本間健太

[ルーキーチーム] 富岡晃一郎、八木将康、野村祐希、坂井友秋、安楽信顕、近藤頌利、島田隆誠、岩崎MARK雄大、宮下涼太、小山うぃる、KENTARO
ベンチ入り(スウィング):大平祐輝

【東京公演】
2025年5月17日(土)~6月8日(日)
会場:有楽町よみうりホール
※ルーキーチームは5月23日より
※全30公演(レジェンドチーム20回、ルーキーチーム10回)

【愛知(名古屋)公演】
2025年6月14日(土)・15日(日)
会場:Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
※全3公演(レジェンドチーム3回、デイビー・バトル役は宮下涼太が出演)

【岡山公演】
2025年6月20日(金)・21日(土)
会場:岡山芸術創造劇場ハレノワ 中劇場
※全3公演(レジェンドチーム3回、デイビー・バトル役は宮下涼太が出演)

【兵庫公演】
2025年6月27日(金)~29日(日)
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
※全4公演(レジェンドチーム4回、デイビー・バトル役は宮下涼太が出演)

チケット情報
https://w.pia.jp/t/takemeout/

公式サイト
https://takemeout.jp/

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