エレクトーン伴奏で描き出すプッチーニの名場面を堪能
クラシック
ニュース


プッチーニの没後100年を記念した昨年末の千葉県美浜文化センター公演において、圧倒的な感動をもたらしたコンサートの再演がついに実現する。気になる再演の会場は、大人の隠れ家として知られるワインバー併設の話題のホール「霞町音楽堂」だ。
ショパンやリストが活躍していた時代のパリのサロンを思わせるこの会場で聞くプッチーニの響きやいかに。人の心を鷲掴みにする叙情的なメロディを駆使したオペラの数々は、まさに永遠不滅の音楽であることを認識する。この素敵な音楽を、食事&ワイン付きで楽しめるとなればこれは気になる。
主役を務める2人の歌手は、「セイジ・オザワ松本フェスティバル」においてプッチーニのオペラ『ジャンニ・スキッキ』に出演して大きな話題を呼んだ藤井玲南(ソプラノ)と、同じく「セイジ・オザワ松本フェスティバル」でのオペラ『ラ・ボエーム』出演が飛躍のきっかけとなった澤原行正(テノール)。プッチーニ作品を得意とする二人の顔合わせは新鮮の極み。まさにこれからのオペラ界を背負って立つ2人の顔合わせが楽しみでならない。
そしてこのふたりの歌声を包み込むのが、エレクトーンの名手、神田将だ。その素晴らしさはまさに折り紙付き。“1人オーケストラ”と表現される縦横無尽の演奏が、ピアノ伴奏でのオペラ・アリアの夕べとは全くの別の世界を演出する。
プログラムには、『ジャンニ・スキッキ』『ラ・ボエーム』『マノンレスコー』『トスカ』など、プッチーニの名作が勢揃い。サロン・コンサートならではの臨場感を堪能したい。
霞町音楽堂×Air Art Community vol.1 オペラナイト
7月18日(金) 霞町音楽堂
https://ongakudo.tokyo/
●藤井玲南/Rena Fujii(ソプラノ)
東京藝術大学卒業。同大学院在学中、ドイツのエアフルト歌劇場でオペラデビューする。ライプツィヒ歌劇場での研修後、ウィーン国立音楽大学リート・オラトリオ科を卒業。スロヴァキア、ポーランドの歌劇場オペラに出演。ドヴォルザーク国際声楽コンクール第1位、日本音楽コンクール第2位および岩谷賞など、国内外のコンクールで多数受賞。帰国後はPMF、小澤征爾音楽塾、東京・春・音楽祭などに出演。セイジ・オザワ松本フェスティバルでは、プッチーニ『ジャンニ・スキッキ』ラウレッタ、モーツァルト『フィガロの結婚』スザンナなどを演じる。東京芸術劇場にて井上道義指揮モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』にツェルリーナで出演し、フェニーチェSACAYでは佐渡裕指揮のもとホセ・カレーラスと共演。日本、ドイツ、フランス歌曲演奏にも力を注ぎ、大康康司(ギター)や北村朋幹(ピアノ)との共演、東京オペラシティ「B→C」など、リサイタル活動も積極的に行っている。2015年より国立音楽大学非常勤講師
●澤原行正 Takamasa Sawahara、(テノール)
広島県呉市出身。愛媛大学教育学部卒業。東京藝術大学音楽学部声楽科及び同大学院音楽研究科修士課程修了。桐朋学園大学大学院音楽研究科博士後期課程修了。博士号(音楽)取得。『カルメン』ドン・ホセでオペラデビュー。その後『ラ・ボエーム』、『愛の妙薬』、『椿姫』、『蝶々夫人』、『トスカ』など様々なオペラに出演。コンサートにおいてもモーツァルト「レクイエム」、ヘンデル「メサイア」、ベートーヴェン「第九」、オルフ「カルミナ・ブラーナ」などにソリストとして出演。2023年小澤征爾音楽塾『ラ・ボエーム』カヴァーキャストを務め、同年セイジ・オザワ松本フェスティバルへ出演。2024年にも同フェスティバル『ジャンニ・スキッキ』リヌッチョ役にて出演。NISSAY OPERA2024『連隊の娘』トニオ役にて出演し、好評を博す。オペラだけでなく日本歌曲の分野においても同郷の作曲家藤井清水作品の演奏を始め、東京音楽学校戦没学生の初演など、美しい発語と表現力に好評を得ている。コンサート企画やライナーノートの執筆など活動は多岐にわたる。二期会会員。日本声楽アカデミー会員。くれ観光特使。
●神田将/Yuki Kanda,(エレクトーン)
1台のエレクトーンでフルオーケストラを思わせる豊かな音を奏で、電子楽器の常識を覆したエレクトーン奏者。特にクラシック作品の演奏を得意とし、独自の技術と高い音楽性が絶賛されている。仙台クラシックフェスティバル、霧島国際音楽祭に、唯一のエレクトーン奏者として出演する他、海外音楽祭への参加も多く、日本生まれの楽器であるエレクトーンを演奏する日本人音楽家として各国で人気を博している。国内では、ソロコンサートを中心にしながら、数々の音楽家との共演や、舞踊や邦楽などジャンルを超えたコラボレーションでも好評を博す。また、『第九』やオペラでのエレクトーン1台によるフルオーケストラ担当、全国の学校へのコンサートも積極的におこない、エレクトーンの可能性を広げる努力を重ねている。2024年に演奏家活動30周年を迎え、演奏のみならずスマートなトークにも磨きがかかり、今後の活躍が期待される。