コントを通じて役者たちの新しい顔が覗いた『ミットたうん』レポート
ステージ
ニュース

(撮影/茶山瑛理紗)
続きを読むフォトギャラリー(13件)
すべて見る5月24日(土)、25日(日) の2日間、CBGKシブゲキ!!にて『ミットたうん』が開催された。この公演は、芸人でありながら俳優、脚本家、演出家でもある安達健太郎が脚本・演出を務め、川尻恵太が脚本で参加、芸能事務所mitt managementに所属する俳優たちがこぞってコントに挑戦するもの。
脚本や演出も手掛ける俳優・林明寛や『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』の雪代晶役で知られる野本ほたる、ミュージカル『忍たま乱太郎』で不破雷蔵役を演じる吉田翔吾、主演舞台であるThe Smoke Shelterプロデュース#4『BELOVED』を控える植田慎一郎、呪術廻戦 0 WITH LIVE BANDで禪院真希役を演じた武田莉奈、劇団東京印などの舞台に参加する最年少の杉山月渚が出演。本記事では『忍たま乱太郎』で吉田と共演した西海龍人、および超実写版映画『ライオン・キング』日本語吹替版でナラを演じた門山葉子が日替わりゲストとして登場した24日昼公演の様子をレポートする。
法被姿のスタッフに出迎えられて劇場内に足を踏み入れると、祭り囃子が聞こえてくる。上演前からいやおうなしにお祭り気分が盛り上がり、今日は真剣な公演とはひと味違った、事務所あげてのお祭りなのだと感じさせられる。開演直前、やはり法被を羽織った作・演出の安達と林の二人が登場。観客に注意事項を伝えるが、林の「禁煙は固く禁じられております」などちょっとズレた説明に安達がツッコみ、さながら漫才のよう。二人のやりとりに客席の空気はさらにほぐれていった。

上演されたのはコント7本、漫才1本の計8本。料理家の吉田とアシスタントの西海が生放送で料理番組に出演するが、コンプライアンスに気を使いすぎて肝心の料理がちっとも進まない「お詫び申し上げます」、植田演じるロミオが杉山扮するジュリエットに詰問され実家に電話する「ロミオとジュリエット」、野本の演技力が炸裂する「面会」など、バラエティに富んだコントが続々と披露され、そのたびに会場には笑いが起こる。





食堂のメニューを推す女性(野本)と戸惑う後輩(杉山)、食堂の店員(武田)が登場する「オシカツ」、同じキャストがセンスの合わない友人同士を演じる「夕立」の2本は、コントライブのほか2.5次元ミュージカルなどの演出でも知られる川尻恵太による脚本。女性3人の会話がどんどんグルーヴ感を増していくこの2つのコントは安達脚本とまた違ったテイストで、ライブにアクセントを与えていた。



唯一の漫才「太郎様サービスセンター」は、玉手箱が開かない浦島太郎がコールセンターに電話するという題材の漫才。門山葉子が初めてとは思えないテンポでボケ倒し、安達がツッコむ。安達のM-1グランプリファイナリストの片鱗が見える見事な漫才に観客は大いに湧いた。


会場がいちばん盛り上がったのは吉田演じる探偵がトリックを暴こうとすると、犯人や共犯者たちがどんどん自白してしまうコント「名探偵」。ここまで慣れないコントに全力で挑み、見事に乗り越えてきたキャストたちが、吉田のしつこい探偵につい素を見せてしまう。彼らが役を離れて笑いをこらえる姿に観客たちも笑い、それを受けて吉田もさらに演技を激しくしていくという流れが繰り返された。

たっぷり90分、テンポよくコントが披露されたライブは地球を守る戦隊モノのメンバーがピンクの葬儀で新たな事実を知るコント「お通夜」で幕を閉じた。コントを見慣れない観客でも楽しめるこの公演が成立したのは、キャストの演技力によるものだろう。参加した役者たちの新たな面を観ることができた「ミットたうん」。今後の展開に期待したい。
取材・文/釣木文恵
撮影/茶山瑛理紗
※掲載の写真は5月25日(日) 公演より
フォトギャラリー(13件)
すべて見る