ミュージカル『四月は君の噓』 8月待望の再演! 岡宮来夢と加藤梨里香が作品の魅力を語る
ステージ
インタビュー

左から岡宮来夢、加藤梨里香 (撮影/荒川 潤)
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すべて見るアニメ化作品や実写映画なども好評を博した、新川直司原作のコミックをミュージカル化。数々の人気ミュージカル作品を手掛けるフランク・ワイルドホーンの楽曲を得て、演出の上田一豪が瑞々しくも切ないステージを創り上げ評判を呼んだ、ミュージカル『四月は君の噓』が3年ぶりに待望の再演を果たす! 元天才少年ピアニストの主人公・有馬公生を岡宮来夢と東島京、彼を再び音楽の世界に連れ戻そうとするヴァイオリニスト・宮園かをりを加藤梨里香と宮本佳林がそれぞれダブルキャストで演じる。本格的な稽古を前に、岡宮と加藤に作品の魅力、そしてカンパニーへの期待を聞いてみた。
――台本や楽譜で役と向き合っている最中だと思いますが、ご自分の役についてどういうところが一番重要になりそうだと思っていますか。
岡宮 参考にさせていただくためアニメ版も拝見して、小さい頃の親との関係性が、成長した有馬公生にとってとても大切だと思うようになりました。
――公生のバックグラウンドについてですね。
岡宮 母親の夢であった世界的なピアニストになるために厳しい教育を受けて一生懸命に練習してきたけれど亡くなる前に母親へ言った言葉が最期の言葉になってしまってトラウマになってしまう。歌詞を改めて読み込みましたが、中高生のときに公生のような経験をすることはどれだけ大変かを考えるようになりました。

――加藤さんは、初演で宮園かをりを演じた生田絵梨花さんに、「本当に大変な役だから頑張って」と言われたそうですが。
加藤 生田さんは、普段は明るくカラッとした方で、オンとオフで上手に気持ちを切り替えて役に向き合っている印象なんです。その彼女が(『四月は君の噓』のとき気分転換のために)「初めて海を見に行った……」って。
岡宮 そうなんだ(驚)!?
加藤 「本当に没頭して一生懸命やっていたから」と話していましたけど、かをりは心の中に抱えているものがあって、それを誰にも言わず明るく気丈に振る舞って、むしろみんなを引っ張っていく役どころ。感情のコントロールはきっと大変だろうと思います。
――フランク・ワイルドホーンの楽曲はどれも魅力的ですが、歌うのは難しい?
加藤 初演キャストのみなさん、本当にすごいと思います。聴いている分には楽しいけど、歌ってみると、めちゃめちゃスタミナを求められるんです。
岡宮 公生の曲を1曲歌うだけで、2キロぐらい痩せたような気がしました(苦笑)。
加藤 プロデューサーの白石(朋子)さんが、日本的な美しさ、日本に住む人の琴線にふれる歌詞が多いけれど、曲は明るくキャッチーでポップなのが魅力では、と話されていたのを聞いて、すごく納得できたんです。
岡宮 日本の4月、爽やかな日本の春を彷彿とさせる楽曲を、(アメリカ人である)ワイルドホーンさんが作られているのがすごいです。ただし、メロディーラインがきれいな分、歌っている自分に酔いしれないようにしないと。
加藤 歌いあげちゃうとね。
岡宮 危ないです(笑)。
――入り込みすぎないで、少し客観的にとらえるように?
加藤 言葉が伝わっているか、ちゃんと考えながら歌わないといけない。
岡宮 ストーリーが歌で進んでいく部分が多いので、心情もそこで表現されますから、丁寧にやっていきたいと思います。
――改めて、「この作品はここがすごい!」というイチ推しポイントを教えていただけますか?
岡宮 演者のみなさんのエネルギーとお芝居の素晴らしさ、楽曲の素晴らしさはもちろんなんですが、僕は初演を拝見し、これまで観たミュージカルのなかで一番泣きました。
――どのシーンで涙腺が決壊したか、覚えていますか?
岡宮 二幕はほとんど泣いていました……。人間誰しも生きていくうえで、自分で選択するしかない瞬間がおとずれると思います。僕も含めてそういう瞬間の記憶を呼び覚ましてくれる何かがこの作品にはありますし、その瞬間、涙腺が崩壊するんです、きっと。
加藤 楽曲の素晴らしさはもちろん、すごく辛かった経験も、悲しかったことも、もちろん楽しかったことも、ちゃんと自分で受け入れたうえで一歩踏み出せる。そんな勇気をもらえる瞬間がたくさんあります。ですから、ずっと感動しっぱなしです。

――ところで、お気に入りのキャラクターというか、注目してほしい人物はいますか?
岡宮 登場人物全員ですが、一つ挙げるとすると、「The Beautiful Game」のシーンの渡(亮太)。
加藤 わかる! あそこのシーン、いいですよね。
――サッカー部の場面ですね。
岡宮 ステージ後方から光が差して、すごくきれいだったのをよく覚えています。
加藤 「眩しい!」って、嬉しくなるよね。
岡宮 ラスト近く、ピアノがステージの真ん中にあって、上から白いライトが当たっているシーンも信じられないくらい美しくて、上田一豪さんの演出が本当に素敵なんです。
――最後にみなさんへのお誘いのメッセージをお願いします。
岡宮 フレッシュなキャストでお送りするエネルギーが満ちあふれたカンパニー、そして作品になると思います。カンパニーの中心に立って、お客さまに感動と勇気をお届けできるようしっかり準備していきます。ぜひ劇場で私たちのエネルギーを体感してください!
加藤 いま高校生のみなさんも、かつてそんな時代を過ごしたみなさんも、その時のエネルギーやキラメキを劇場で感じていただけるように。そして、宮園かをりとして、客席も巻き込みながら有馬公生を振り回していけるように。そんなパワーをもって精一杯頑張りたいと思いますので、ぜひたくさんの方に見ていただけたら嬉しいです。

取材・文/金井まゆみ
撮影/荒川 潤
岡宮来夢)スタイリング:深澤勇太/ヘアメイク:Ayane(Lomalia)
加藤梨里香)スタイリング:小西明日香/ヘアメイク:加藤かおり/アクセサリー:ABISTE
<公演情報>
ミュージカル『四月は君の噓』
【東京公演】
日程:2025年8月23日(土)〜9月5日(金)
会場:昭和女子大学人見記念講堂
★ぴあ半館貸切公演実施 8月29日(金) 13:00
【愛知公演】
日程:2025年9月12日(金)〜14日(日)
会場:Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホール
【大阪公演】
日程:2025年9月19日(金)・20日(土)
会場:梅田芸術劇場メインホール
【富山公演】
日程:2025年10月4日(土)・5日(日)
会場:オーバード・ホール 大ホール
【神奈川公演】
日程:2025年10月12日(日)・13日(月・祝)
会場:厚木市文化会館 大ホール
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/kimiuso-musical/
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