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旗揚げ390周年の節目を迎えた江戸糸あやつり人形 結城座 佐藤信の脚本・演出で新作『奢りの都市』を上演

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江戸糸あやつり人形結城座『奢りの都市』稽古風景

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江戸糸あやつり人形 結城座が、新作『奢(おご)りの都市(まち)』を上演する。寛永12(1635)年に初代結城孫三郎が江戸の葺屋町(現在の日本橋人形町周辺)で旗揚げ、今年390周年という節目の年を迎える彼ら。その記念公演の第一弾として届けるのは、劇作家・演出家の佐藤信との20年ぶりとなるタッグだ。原作は世阿弥の『融』、客演に能役者の清水寛二を迎え、その伝統と革新の舞台に新たな一頁を加える。

国の記録選択無形民俗文化財および東京都の無形文化財に指定され、日本唯一の伝統的な江戸糸操り人形の劇団として知られる結城座。現在、三代目両川船遊(元十二代目結城孫三郎)と、その長男で座長を務める十三代目結城孫三郎をはじめとする座員たちが、歌舞伎や文楽、能、狂言などでお馴染みの古典のみならず、古今東西の物語を上演している。現代の演劇界をリードする作家・演出家を招き、そのたびに独特の世界観を立ち上げ、最近ではシライケイタ脚本・演出によるフランツ・カフカの『変身』、ラサール石井脚本、流山児祥演出の『瞼の母』、渡辺えりが脚本・演出を手がけた渡辺えり版『星の王子さま』などの作品が話題に。伝統芸能の誇りを大事にしながら、さまざまな才能とのコラボレーションを通して、いまの私たちの心をしかと捉えている。

今回演出を手がける佐藤は、アンダーグラウンドシアター自由劇場、黒色テント68/71などで活躍、1997年の開場時より世田谷パブリックシアターの劇場監督を務めたことでも知られるが、結城座との初タッグが実現したのは1975年、唐十郎の『少女仮面』だった。2004年までに合わせて14作品を演出したが、たとえば山口小夜子の客演、串田和美が人形デザインを手がけた『ペレアスとメリザンド』(1992)の強烈なインパクトは、もはや伝説。今回の佐藤とのタッグは、古くからのファンにとっても若い世代の観客にとっても、また結城座にとっても、待ちに待った新作だ。

15作目という節目の公演で、佐藤が新たに結城座とともに手がけるのは、世阿弥の名作『融』を下敷きとした物語。主人公は「源氏物語」のモデルになったともいわれる源融だが、舞台は平安時代にあらず。近未来の「ミヤコ」で、都市という場所とそこに生きる人びとの栄枯盛衰を描く。源融を演じるのは、能役者の清水寛二。江戸糸あやつり人形と能の融合を試みるというが、きっと結城座でしか実現できない舞台の美しさ、奥深さをもって、客席を魅了する予感。現在放送中のNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」に結城座の人形が登場した瞬間も、その妖しげな美しさをたたえる独特のオーラが世間を賑わせたが、この節目の年、あらためて結城座の伝統と革新の舞台を、劇場で、ダイレクトに体感したい。


文:加藤智子

■両川船遊 メッセージ

何と20年、待ち続けてやっと佐藤信さんとの舞台が幕を開けます。
20代の頃、確か1973年草月会館でやった斎藤憐 作・演出『傀儡戯戀江戸染 八百町お七』で、レンさんが「マコトが来てるぞ!」と楽屋で叫んでいたのを強烈に思い出します。
当時の信さんは、新進気鋭の若手演出家で、巷を沸かせていました。
そんな信さんと結城座の処女作は、1975年の唐十郎作『少女仮面』です。会場は、当時吉祥寺にあった結城座の稽古場を芝居小屋に仕立て、連日大盛況の中、名作舞台の一つとして、結城座の長い歴史に名を刻みました。
それから30年にわたり、“信さん×結城座”は新作から古典まで拡がり、14本もの作品を創りあげました。そして2004年以来、20年待って待って……、ついに『奢りの都市』のお披露目となります。「昔は信さんとのタッグはよく観たわ」と仰る方も、また初めての皆様も、どうぞ賑々しい御来場を心よりお待ち申し上げます。乞うご期待を!

<あらすじ>
ある日、ぼくが目覚めるとそこは「ミヤコ」と呼ばれる見知らぬ場所だった。人気のない町をさまよい途方にくれたぼく(結城孫三郎)の前に、「汐汲みの老人」と名乗る老人(両川船遊)があらわれる。「汐汲みの老人」に誘われて、ぼくは「ミヤコ」の千年の時を旅する。いくつかの不思議な経験を重ねたあと、最後にぼくは「河原院」と呼ばれる豪華な屋敷の廃墟にたどり着く。そこはかつて河原左大臣と呼ばれた源融が、陸奥千賀の景色をそのままに移し、豪奢な暮らしを営んだ場所だという。夜のおとずれとともに、いまは荒れ果てた浜辺を模した「河原院」の庭に、微かな潮の香りがただよい、この屋敷の主だった源融(清水寛二)が姿をあらわす。


<公演情報>
結城座旗揚げ390周年記念公演第一弾
江戸糸あやつり人形結城座『奢りの都市』

原作:世阿弥『融』による
脚本・演出、舞台装置、人形美術:佐藤信
出演:三代目両川船遊、十三代目結城孫三郎、結城育子、湯本アキ、小貫泰明、大浦恵
実、中村つぐみ、安藤光
客演:清水寛二(能役者)

2025年6月11日(水)〜6月15日(日)
会場:東京・中野ザ・ポケット

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2507159

公式サイト:
https://youkiza.jp

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