鼓童が迫力溢れる演奏を披露 6月の公演を前に、門付で浅草の街を盛り上げる
音楽
インタビュー

(撮影/吉田沙奈)
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すべて見る1981年にベルリン芸術祭でデビューして以来、世界中で公演を行なっている太鼓芸能集団・鼓童。これまでに50ヶ国以上で公演を行い、国内外で高い評価を得ている。2013年からは浅草公会堂での公演を開始し、今年13回目の開催を迎える。2025年6月25日(水)~29日(日) に行われる浅草公演2025「とこしえ -Everlasting-」を前に、浅草エリアの店舗などを周り、門口で演奏を披露する門付が行われた。
この日は約2時間にわたって浅草の街を回り、多くの店先で力強い演奏を披露。長年にわたって鼓童を応援している街の人々の温かい声援や歓迎の声、初めて鼓童のパフォーマンスを見たと思われる方々の驚きや興奮の声のもと、短い時間ながら魅力溢れる演奏を見せてくれる。街の人々はもちろん観光客も足を止め、鼓童が奏でる音、至近距離で見る生演奏の迫力を楽しんでいるのが印象的だった。
さらに、この日最後の門付場所となる浅草公会堂では、呼び込みの演奏に誘われて多くのオーディエンスが。和太鼓とじゃんがら、笛のアンサンブルに大きな歓声が起き、演奏にも熱が入る。「上で大事なリハーサルをしているそうなので、音量は少し下げます。鼓童の爆音を体感したい方はぜひ来月(公演で)お待ちしています」という挨拶に笑い声と一際大きな拍手が上がり、ラスト1曲を奏者・観客が一体となって楽しんでいた。
ここでしか見られない、特別感ある公演を楽しんで
門付の合間に浅草公演に出演予定の北林玲央と、プロデューサーの川村真悟に話を聞いた。
――浅草公演2025「とこしえ -Everlasting-」に対する意気込みを教えてください。
北林 「とこしえ」という本公演のタイトルの通り、これからもずっと続いていく鼓童の歴史や浅草の歴史、世界の流れの中で、今自分たちがここにいて、この場で音を出すということを改めて強く感じながら作品に向かっている最中です。
川村 元々「とこしえ」は「永遠に続く営み」といったニュアンスを持つ言葉。世代やかたちが変わっても受け継がれる「かたち」と、目には見えない「心や雰囲気」が継承されながら浅草という街が在るように、自分たちの活動を重ね合わせ、鼓童も浅草のようになっていきたいなという願いを込めています。一昨年つけたタイトルですが、言葉自体が素敵ですし、浅草の皆さんからも「いい言葉だね」とお認めいただいたので、それならばということで。演出も引き続き前田順康が担います。浅草の街のように、年を重ねるごとに変化しつつも、良い部分は踏襲しながら舞台で表現できたらというテーマで、上演内容は変えて作っています。

――現時点で、お稽古の進み具合はいかがでしょう。
北林 通しを行うところまで来て、ここからさらにブラッシュアップしていきます。
――新曲もあるということです。今回ならではの見どころ、注目ポイントを教えてください。
北林 個人的な話になりますが、僕も新曲に携わらせていただいています。昨年も1曲作り、1年間やってきた中で、また今年もやりたいという気持ちを今年用の曲に込め、絶賛稽古中。また浅草でお披露目できるのがとても楽しみです。また、浅草公演は私たちにとってもすごく特別です。この公演だけのキャストや演目もあり、東京においても浅草でしか見られない特別感も設えています。色々な方に楽しんでいただけるように展開しますので、そこも注目していただけると嬉しいです。

――本日は浅草のお店を回っての門付でした。
北林 僕らは普段ホールなどで演奏することが多いんですが、今回は浅草の皆さんへの感謝の気持ちを第一に、かつ来月の公演のPRも兼ねて門付の演奏をさせていただきました。まず、やらせていただけることがすごくありがたいですし、外で音を出すと、ホールよりも直で人と人との出会い、音が響き渡っている感覚が分かりやすい。それを楽しみながら演奏させていただきました。
川村 この街ならではですよね。特に鼓童が浅草で公演を行うときは、浅草の皆さんがすごく力を尽くし、色々な形で応援してくださっています。その感謝を込めて皆様のもとに赴くんですが、「おかえり」と温かく迎えてくださるのがすごく嬉しいですし、お店の旦那さんやおかみさんが、その場にいるお客様に「一緒に楽しんでいってよ」と声をかけてくださるのが有り難い。こうやって街が盛り上がっているんだと感じられます。この時間は、鼓童にとってもすごく大切なのではと感じながら毎年取り組ませていただいています。

――チケットの売れ行きが好調とのことなので、記事公開のタイミングによっては売り切れてしまっている可能性もありますが、興味を持った方へのお誘いのメッセージをお願いします。
北林 僕は、今この場で、今いるメンバーで作り上げる音を大切に作品を作っています。お客様も、「聞きにくる」というよりは、「この場でこの舞台を楽しむ」「この空間を一緒に楽しむ」という感覚で来ていただけるとすごく嬉しいです。
川村 補足すると、この環境、私たちの公演を取り巻く皆さんのお店も大きな魅力です。面白い雑貨が売っていたり、美味しいご飯が食べられたりと、楽しいオプションがたくさん付けられる。朝からいても飽きませんし、夜の公演を見た後にお茶をしたりお土産を買ったり、観光したり。色々なスポットがあるので自由に楽しんでいただけたら嬉しいです。
北林 曲に関しても、鼓童が今まで大事にしてきた曲、今のメンバーで作った新しい曲など幅広くありますし、若いメンバーと鼓童を作ってきてくださったメンバーが一緒に音を出せる特別な機会になっています。ぜひ楽しんでいただけたらと思っています。

取材・文・撮影/吉田沙奈
<公演情報>
鼓童 浅草公演 2025 「とこしえ」-Everlasting-
日程:2025年6月25日(水)~29日(日)
会場:浅草公会堂
チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2446327
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