妻夫木聡、広瀬すずらが沖縄訪問 映画『宝島』全国キャラバン第1弾で舞台挨拶&那覇中学校をサプライズ訪問
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映画『宝島』沖縄プレミア試写会舞台挨拶 左より)広瀬すず、妻夫木聡、大友啓史監督 (C)真藤順丈/講談社 (C)2025「宝島」製作委員会
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すべて見る映画『宝島』を宣伝する全国キャラバンの第1弾として、主演の妻夫木聡、広瀬すず、大友啓史監督が物語の舞台となる沖縄を訪問。6月7日には、沖縄・シネマQにて行われた映画『宝島』の沖縄プレミア試写会で舞台挨拶に登壇した。
舞台挨拶では、一番最初に沖縄の人々に映画を観てもらえることに対して妻夫木は「感無量です。2度の延期を乗り越えて、戦後80年という節目に公開されることになったのは、もしかしたら、時間をかけて練り上げる時間を神様がくださったのではないかと思う」と運命的な出来事として語った。さらに、鑑賞後の観客に「映画はどうでしたか?」と自ら問いかけ、大きな拍手をもらった。
広瀬は沖縄の歴史を演じることについて「授業で習ったことしか知らなかったが、実際に撮影前にいろいろと沖縄の地を回ってみると肌の感覚が変わり、血が騒ぐ感じがした。今の時代に生きている自分たちはどういうふうに受け止めるべきなのか?」とコメント。そして「この映画が皆さんにどのように届くのか、どういう景色として残るのかと思いながら撮影していたのですが、少しでも皆様の希望になる作品になったらいいなと思います。この映画がとても大きな輪になることを願っております」と語った。
大友監督は「アメリカ統治下の沖縄を再現するのは難しく、美術的なことだけでなく、予算的なことも含め覚悟を決めないと作れなかった」「調べるにつれ、伝えなければならない想いが募り覚悟を持って撮影した」と当時の状況を述懐。キャスティングについては「ふたりの顔が自然に出てきたのと同時に、この歴史を背負える俳優というのは、キャリアとか考え方とかを共有して託せる人じゃなければいけないと思って役者を決めた」と語った。
イベントの最後に、妻夫木は「この映画を通して過去を描くことは未来への問いかけだと思いました。過去は無かったことにはできないし、いろいろな思いを背負って僕たちは生きています。だからこそ精一杯に生きていかなくちゃいけないし、今を生きる僕たちは、未来を生きる子どもたちのために、何を託せるのかを、今一度考える時なのかなと思っています。 今こそ手と手を取り合って共に歩む、そういう力を持った映画になったと僕は思っています」と作品への想いを語った。
上映後には、妻夫木が“宝島宣伝アンバサダー”として沖縄への感謝の想いを込め、来場した340名全員に宣伝アンバサダーの名刺を自ら手渡しするイベントも実施。名刺を配る中、映画の感動を直接聞いて涙ぐむ場面もあった妻夫木は、「映画を観たお客様としっかりと向き合い、時間を共有できたことはとても貴重な体験だった。この想いを持ち全国に向かいたい」と今後のキャラバンへの決意を語った。
日付は変わって6月8日には、妻夫木ら一同が那覇市立那覇中学校をサプライズ訪問し、『宝島』特別交流会を実施。映画の感想や、未来に向けての大切な思いを子どもたちと語りあった。
まずは、MCの「映画を観た人は?」という問いかけに、前日のプレミア試写に招待された約20名が挙手し、さらに「映画が面白かった人は?」という問いには、鑑賞した生徒全員が力強く手を上げ、それを見た3人は嬉しそうな表情でお互い顔を見合わせた。
妻夫木は「今日はサプライズってことをすっかり忘れていて、昨日のプレミア会場で名刺を渡した際に那覇中の子どもだとわかったから、『明日ねー』と言ってしまった」と冒頭からお詫びし、場を和ませた。イベントでは、妻夫木から子どもたちへ質問が。「知らない時代を描いた作品だが、時代の変化をどう感じましたか? 自分たちの未来がどうあるべきか?」という質問に対して、生徒からは「自分たちは生まれた時から当たり前に米軍基地があって、映画の中では当たり前ではなく、米軍に反発していたことを知り、戦争の憎しみとか悲しみが風化しつつあることを知り、これからの未来を作る若い世代がこういうことを知り、映画を観て実際にどんなことがあったかを知り、これからどうするべきかを考えることが大事だと思う」という返答があり、3人で顔を見合わせて頷き合うひと幕も。
さらに、妻夫木は「映画に出てきた人と私たちを比べると、どちらが幸せか?」と少し難しい質問を投げかげるが、それについても積極的に手があがり、今の時代の方がもちろん資源も豊かで幸せだと思うが、過去にあった思いを残していくことも大切であることや、大変な状況ではあったと思うが、アメリカに負けないという一致団結する強い気持ちを持った当時の熱い思いを考えると、単純にどっちが幸せなのか? 簡単には判断できないなど、様々な意見が語られた。
それを受けて妻夫木は「基地があるから生きていけた人もいる。ただの憎しみだけじゃないと思う」と、当時のことを取材した経験を語る。「実際当時を知る人は、怒りだけじゃなかったと言っていた。アメリカに対して怒りを持った人もいたけど、アメリカがいるからこそ生きられた人もいたと思う。幸せの価値観はとても難しい。幸せの価値観はとても難しい。何が正義なのかわからない時代なので、私たちは先人たちの思いを胸に生きていかなければならない。過去に戦った人がいたからこそ、今がある。そういう思いが届いていたら嬉しいなと思って、あえて難しい質問をさせてもらった」と、思いを明かした。
反対に、生徒たちから登壇した3人への質問も。「沖縄の忘れてはいけない大切な物語はなんだと思いますか?」という質問に対して大友監督は、『ちゅらさん』から長く沖縄のことを考えてきた話や、ひとりひとり価値観が違うことを語り、「映画としてメッセージを押し付けるようなことはしたくないと思った。「宝の島」の、この宝は何なのか?ということを皆さんの言葉で考えてもらいたいと思って作った」とコメント。
「演技力について、どうやってそこまで入り込める演技ができるのか?」という質問に広瀬は、「こんな大先輩の前で語ることは難しい」と恥ずかしそうに妻夫木を振り返りながらも、「役を演じるにあたり知らなかったことが多く、映画というコンテンツを使って伝えていきたいと思いながら演じた。そして、その中で生まれたものを大切に演じた」と、真摯に答えた。
「さまざまな方言が出てきますが、難しかった言葉、残したいなと思った言葉は?」という質問に対し妻夫木は、感情を入れていくとアクセントが変わってしまうことがある難しさを語り、一番心に響いたセリフは「打ち返したら戦争じゃあらに」という永山瑛太が演じたオンのセリフをあげ、「じゃあどうすれば良い?というのはわからないけど、これを考えるのが日本の未来につながるのではないか」と熱く語った。
イベントの最後に大友監督は「アメリカに統治された時代の物語だが、その時代を生きた人がどういうことを考え生きたのかを調べて、感じたことを伝えようと思って作った。この作品を観ていろんなことを感じて、もしこの想いを伝えたいと思ってくれたなら、ぜひ広めてほしい。この作品に込めたメッセージを沖縄にとどまらず、日本全国、そして世界へ届けたい」と語り、「今日の子どもたちの言葉に勇気づけられた」と感謝の言葉で締めくくった。
なお、特別交流会終了後にも“宣伝アンバサダー”妻夫木による名刺配布会が急遽行われることに。妻夫木は、生徒たちとハグも交わすなど、熱い交流を交わしていた。
<作品情報>
『宝島』
9月19日(金) 公開
公式サイト:
https://www.takarajima-movie.jp
(C)真藤順丈/講談社 (C)2025「宝島」製作委員会
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