『藤田嗣治 絵画と写真』東京ステーションギャラリーで 自画像やポートレートのほか、画家自身が撮影した写真資料を過去最大規模で展示
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ドラ・カルムス《藤田》1927年 東京藝術大学所蔵
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すべて見る2025年7月5日(土)より、東京ステーションギャラリーでは、『藤田嗣治 絵画と写真』を開催する。エコール・ド・パリを代表する画家、藤田嗣治(1886~1968)の芸術を、「写真」をキーワードに再考する展覧会だ。
1920年代、乳白色の下地に描いた絵画で一躍パリ画壇の寵児となった藤田嗣治。面相筆による細い輪郭線で描かれた真珠のような肌を持つ裸婦像とともに彼の存在を世間に知らしめたのが、おかっぱ頭に丸めがね、口元の髭に時々傍に猫という、一度見たら忘れられないアイコニックな容姿だった。フジタ自身「私程又肖像を写された人も多くあるまい」と言っているように、その独特な風貌は何度となく撮影され、また自画像を描くことで世に広められた。それは極東からパリにやってきた無名の画家が、世界の第一線に躍り出るための強力な「メディア戦略」だったということができる。同展では、まず自画像とポートレート写真を一挙に展示することで、フジタの巧みなセルフブランディングについて考える。

またフジタは同時代の画家たちと同様、写真を絵画制作に活用した芸術家だった。彼は旅先であらゆる対象にカメラを向け、スケッチ代わりにシャッターを切っている。そしてそこに映った様々なモチーフを、いくつもの絵画作品に転用した。今回は彼の代表作とその素材となった写真を併せて展示し、徹底比較することで、傑作がどのように生まれたかを検証する。

さらにフジタが愛機・ライカで撮影した数千枚の写真資料の中から、珠玉の写真を過去最大級のボリュームで紹介する。華やかなパリ、情緒漂うラテンアメリカ、活気あふれる北京、そして祖国・日本。モノクロ、カラーにかかわらず、フジタの写真は、彼の絵画作品に勝るとも劣らない、独特な魅力を放っている。画家の目を通して見た世界はどのようなものだったのか? 彼の「眼の軌跡」を追うことは、フジタの感性の瑞々しさをあらためて知る、この上ない機会となるだろう。

<開催概要>
『藤田嗣治 絵画と写真』
会期:2025年7月5日(土)〜8月31日(日)
会場:東京ステーションギャラリー
時間:10:00~18:00、金曜は20:00まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜(7月21日、8月11日,8月25日は開館)、7月22日(火)、8月12日(火)
料金:一般1,500円、大高1,300円
公式サイト:
https://www.ejrcf.or.jp/gallery/
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