収容所の窓から見える景色に自由を見つけたハートフルコメディ『アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓』
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イラストレーション:高松啓二
映画・音楽・舞台など各ジャンルのエンタメ通=水先案内人が、いまみるべき公演を紹介します。
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1948年ソ連統治下のアルメニア。移住したアメリカから帰還したアルメニア人のチャーリーは、ふとしたことから子供を助け母親のソナに感謝される。お礼に夫で軍人のドミトリーと共にレストランで食事することになるが……。
チャーリーを演じるのは監督、脚本のマイケル・グールジャン。ただレストランで軽く歌っただけなのに翌日逮捕され収容所に送られてしまう。過酷な強制労働と毎金曜日に「ポンチク」という意味のない拷問を受ける。こんなにも悲惨で理不尽にもかかわらず本作は深刻に描かれず、むしろハートフルコメディに仕上っている。
チャーリーは抵抗を諦め、収容所生活に順応していく。そして鉄格子から見える塀の向こうのアパートの夫婦の様子をTVドラマのように夢中になり、生きる糧にまでになってしまう。コウノトリやアララト山の絵など細かい伏線が回収され、すがすがしい気分になる。チャーリーの災難は小役人気質のドミトリーが発端だが、なんとなく顔がプーチンに似ているのも意味深だ。
<作品情報>
『アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓』
公開中
監督・脚本:マイケル・グールジャン
出演:マイケル・グールジャン、ホヴィク・ケウチケリアン
公式サイト:
https://amerikatsi.ayapro.ne.jp/
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