藤井直樹、岡﨑彪太郎ら出演　コロナ禍と戦時中をつなぐ舞台『あの夏、君と出会えて〜幻の甲子園で見た景色〜』取材会レポート到着

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25/6/17(火) 18:10

左から）木村弥寿彦、宮地真緒、岡﨑彪太郎、藤井直樹、前島亜美、永井大

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舞台『あの夏、君と出会えて〜幻の甲子園で見た景色〜』が、2025年8月23日(土) から31日(日) に東京・サンシャイン劇場、9月6日(土) から14日(日) に大阪・大阪松竹座、9月20日(土) に石川・金沢市文化ホール、9月23日(火･祝) に広島・広島国際会議場フェニックスホール、9月26日(金) から28日(日) に愛知・御園座で上演される。6月16日に実施された取材会には、藤井直樹、岡﨑彪太郎、前島亜美、宮地真緒、永井大と演出の木村弥寿彦が登壇。このたび、そのレポートが到着した。

コロナ禍で甲子園出場の夢を絶たれた元球児の大学生が、令和7年から太平洋戦争中の昭和17年にタイムスリップし、当時の球児たちとともに苦境を乗り越えながら“幻の甲子園”出場を目指す姿を描き出す本作。“幻の甲子園”とは昭和17年8月、戦意高揚のために文部省主催で一度だけ甲子園で開催された大会で、公式の記録としては認められず“幻の甲子園”と呼ばれている。

脚本は、NHK朝の連続テレビ小説『ちむどんどん』や映画『パッチギ！』、『トリリオンゲーム』などで知られる羽原大介の書き下ろし。演出は、関西テレビで数々のドラマを監督し、『大阪環状線』シリーズで舞台も手がける木村弥寿彦。戦後80年、さらに高校野球110年の節目となる今年、突然夢の舞台が消え、涙した全国の球児たちにとって、決して「幻」ではなかったであろう実在の大会を背景に、「幻の甲子園」出場を夢見て、人生を新たに生き直そうとする人々の物語を届ける。

令和の大学生・森下令児役で主演を務める藤井は、今作のオファーが来て驚いたという。「野球経験がないのですが、元エースという設定があるので、気合いを入れて、野球練習の方から頑張って行きたいなと思っております」と意気込む。一方、令児がタイムスリップした先で出会う津田昭夫役の岡﨑は、昭和の球児の役作りのために髪の毛をバッサリ切ったことも話題に。「意外と、雰囲気があるんじゃないかなと個人的に思っていて。舞台期間中は短いままだと思いますが、今しかできないし、こういうきっかけがないとしない髪型だったので、楽しめると思います」と新たな自分を発見した様子だった。

令児の恋人である菊地礼子役の前島は「個人的に約3年ぶりの舞台出演になるので緊張もしているんですが、今回は劇中で状況をナレーションするような役割をしていまして、現在私は声優のお仕事もやらせていただいているので、声優の現場で学んだことも生かして頑張れたらなと思っております」と、自身の経験を掛け合わせる舞台に。昭和17年の高校球児たちを応援する教師・高柳節子役の宮地は「今年、戦後80年ということで、台本を読ませていただいて“これはやりたいな”と思ってお受けいたしました。私自身、甲子園の某番組が本当に大好きで。夏は毎晩録画しているくらい好きなんです。甲子園ファンとして、皆さんをサポートできればと思っております」とすでに球児たちへのあたたかい目線を見せていた。

野球部の監督・山本浩一役の永井は「戦後80年、高校野球が始まって110年という節目の年にこのような作品に携われることができて、非常に光栄に思っております」と作品に参加する心境を明かし、「“まだ80年しか経っていないんだ”と思います。今、世界でも戦争をやっている国がありますし、日本は現在恵まれた国になっているなと、改めて思います。観劇してくださる皆さんにメッセージとして届けられるようなお芝居を作っていきたいなと思っています」と平和への思いを語った。

演出の木村は「“戦後80年をテーマに作品を作りたい”と、お話をいただきまして。僕自身は大阪に住んでおり、夏といえば甲子園という地域。第二次大戦中に甲子園が中断された時期があったという話と、2020年のコロナ禍で甲子園が開催されなかったという話が自分の中で重なり合いました」と企画の成り立ちを明かす。「コロナで甲子園という夢や希望がなくなり、青春を味わえなかった若者がタイムスリップして、戦争で甲子園を体験できなかった若者たちと、戦争中にたった一度だけ開催された“幻の甲子園”と言われている大会を目指すという物語は、今の若者にとっても共感してもらえるのではないかと思いました」と作品で目指すところを伝えた。

戦争をテーマにした物語に、藤井は「生まれた時にはすでに平和な日本で育ってきたのですが、そういう時代があったということは絶対に忘れてはいけないことだと思います。以前舞台でやっていた作品の中でも、戦争の恐ろしさを伝える場面がありましたし、今は平和な日本ですけれども、戦争の恐ろしさを伝えていければいいなと思っております」と決意を新たにした。

また岡﨑も「僕は小学校6年生の時、修学旅行でリニューアル前の広島平和記念資料館に行きまして、その時に見た資料がすごく衝撃でした。その翌年ぐらいに、戦争を経験していたひいおじいさんが亡くなって、実際に話を聞けなかったことを後悔しているんです。コロナ禍とリンクしていて感情移入しやすい作品なので、物語を通して、今の若い方たちにも戦争のことを知っていただけたらと思っています」と語った。

フォトセッションでは、作中に登場する「江戸川実業高校」にちなみ、登壇者陣が、藤井＆岡﨑考案の“江戸実ポーズ”を披露する一幕もあり、熱い夏へのスタートを切った。