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田中圭を突き動かすもの「僕のアンテナはいつも面白そうという興味だけ」

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田中圭 (撮影/梁瀬玉実)

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田中圭が、また規格破りの挑戦を果たした。

6月29日(日)に放送・配信されるドラマW 三谷幸喜『おい、太宰』は、三谷幸喜脚本と監督による、一度もカメラを止めない「完全ワンシーンワンカットドラマ」。NGが許されない中、約100分にわたって、田中圭がカメラの前でフルスロットルの演技を見せる。

演じるのは、太宰治を愛し、作家を夢見るも、自分には才能がないと悟り、テレビ番組の構成作家に落ち着いた平凡な男・小室健作。知人の結婚式の帰り、偶然太宰ゆかりの地に迷い込んだ健作は、時空を超え、憧れの太宰と遭遇する。

なぜ田中圭は人が尻込みするような難題に挑み続けるのか。そこには、面白そうと思うものに誰より素直な彼独自のアンテナがあった。

今回の一番の壁は、潮の満ち引きでした

――本作は「完全ワンシーンワンカットドラマ」です。通常のドラマとはつくり方がまったく違うと思うのですが、どういうプロセスを経て完成に至ったのか聞かせていただけますか。

まず本読みと稽古をスタジオで8日間やって。その後、現場でリハーサルをして、本番という流れでした。三谷さんは過去に2回、ワンシーンワンカットドラマをやっていて、僕はその現場を知らないので実際のところどうだったかはわからないんですけど、今回の特徴としては現場が海なんですね。だから、時間帯によって潮が満ちていたりして。リハーサルで現場に行っても、満ち潮で芝居エリアになる浜辺がなかったりするんですよ。

本番も6日間やったんですけど、朝8時から撮影の日もあれば、11時からの日もあって。そうすると昨日はここで芝居ができたのに、今日はここではできないみたいなことが起きる。しかも、途中で雨が降ってきたり。次の日は前日の雨のせいで今までなかったところに川ができていたり。そのたびにスタッフさんが芝居エリアをつくるために作業をしてくれて。

――この作品、演者さんもすごいですけど、スタッフさんがすごいですよね。

そうなんです。普通、カメラマンさんの後ろにスタッフさんがいるんですけど、この作品はワンカットなので、カメラが向きを変えたら、見切れないように後ろにいるスタッフさんもサササッと移動する。芝居してる僕らにはそれが見えてるから、そこはちょっと面白かったですね。

基本的に何かトラブルが起きない限り止めないんですけど、唯一NGで止めたのは、初日に(カメラマンの)山本(英夫)さんが海の中を歩きながら撮るシーンがあって、そこで山本さんが転んでしまったんですよ。で、カメラが水没しちゃってNGになりました。

――大変……!

ちゃんと事前にリハーサルはしていたんですけどね。それでも時間の経過とともに潮の状態が変化して、海の深さも変わるから、なかなかリハーサル通りにはいかなくなる。みなさん、本当に大変だったろうなと思います。

三谷さんの描く人物は、みんな変なところが面白い

――本作を通して改めて感じた三谷作品の面白さについて伺えますか。

台詞のテンポの良さとかさりげない言い回しの面白さとか、やっぱり三谷ワールドだなと思いましたし、この作品に関して言うと、みんな変なんですよね(笑)。僕の演じる健作はテレビ番組の構成作家で、『はじめてのおつかい』のパロディで『さいごのおつかい』という企画を考えていたりして。いや、絶対ダメじゃんというような企画なんですけど、それを(小池栄子演じる)トミ子にうれしそうに話しているところとか、普通の人のようで、ちょっとズレている。その変な感じが面白いというか。

言ってしまえば、健作と(宮澤エマ演じる)美代子の関係も変なんです。夫婦仲が冷え切っているのか冷え切っていないのか微妙なところから始まって、(松山ケンイチ演じる)太宰に出会って、美代子はどんどん女になっていく。なんじゃこりゃっていう夫婦なんですけど、それを成立させているところが三谷さんの力なんでしょうね。

――確かに癖のある人物だらけです。

太宰とトミ子は強烈だし、美代子もどんどん壊れていくし、(3役を演じる梶原)善さんに至っては、よくわからないけど、すごいじゃないですか(笑)。その中でドタバタしているのが僕の役で。健作が過去と現在を行き来しながら、お話がどんどん転がっていく。ある種、ナビゲーターの役なので、作品の軸となるテンションは僕がつくることになる。高くなりすぎたらウザいし、普通にやっても絶対につまらない。その匙加減をどうするかが、今回の難しいところでした。

松山さんはいきなり無茶をするところが可愛らしい

――同世代である松山ケンイチさんとの共演は、お芝居好きにとっては注目のポイントです。

松山さんとは、がっつりお芝居をするのは初めてで。それこそ若い頃、直接顔を合わせたことはないですけど、同じオーディションを受けていて、受かったのが松山さんだったということもありました。

――そうなんですね。

一緒にやってみて思ったのは、彼は役への向き合い方やお芝居のアプローチが僕とは全然違うんです。太宰が方言で喋っているのは、彼のアイデアで。おかげで本を読んだときとは全然違う太宰になった。そこが太宰のあのよくわからない感じに拍車をかけていて、素敵だなと思いました。

本番でもいい意味で何を仕掛けてくるかわからないワクワク感がある。突然急に走り出したりして、そういう無茶が可愛らしくて、一緒にやっていてすごく楽しかったです。

――ちなみに健作にとって太宰は憧れの人。健作みたいに、田中さんも憧れの人に会ってみたいと思いますか。

難しいですね。憧れの人と言ったら、そりゃいろんな人に憧れますし、会えるものなら会ってみたいですけど。実際、タイムスリップして会えるみたいなことはないじゃないですか。

――一旦できるとして、過去の偉人で会いたい人はいますか。

イエス・キリストかな。憧れというよりは、単にちょっと見てみたいだけですけど。

――そんな感じで会えた憧れの人が最低なやつだったらどうしましょう。

「最低!」って言います(笑)。やっぱりがっかりしちゃうと思うので、そう考えたら憧れの人は会えないほうがいいのかもしれない(笑)。

芝居をしている自分に飽きることはない

――今回の作品もそうですが、『田中圭24時間テレビ』だったり、田中さんは人がやらなさそうな企画を面白がってやっているイメージがあります。

たぶんそういうのにワクワクしちゃう人間なんでしょうね。僕のアンテナはいつも面白そうという興味だけ。『田中圭24時間テレビ』も自分からやりたいと言ったわけではなくて。そういう話をいただいて、最初は「いやいや」と言ってるんですけど、詳しく話を聞いているうちに気づいたら「やってみます」と返事してたんですよね。で、実際にやってみたらやっぱり面白かった。やってみないとわからないことっていっぱいあるから、チャレンジできるのであれば、自分からブレーキをかける必要はないんじゃないかと思っています。

――クリエイターのみなさんが「これを田中圭でやったら面白いんじゃないか」と差し出してくれたアイデアに乗っかるのが好きなんですね。

乗っかってしまいますね。バラエティもそうだし、音楽番組のMCもそう。お声かけいただくと、やったことないし楽しそうだね、やってみようってなる。

――そこで未知への恐怖に足をとられないのが田中さんらしいというか。

楽しそう、が勝っちゃうんですよね。

――年齢を重ねると、どうしても新しいことを始めるのに億劫になりがちです。好奇心が失われそうになっている自分を感じることはないですか。

プライベートに関しては完全にそれですね。「面倒くさい」「やだやだ」しかない(笑)。

――そこで、じゃあ新しい趣味を増やそうとしたりとか。

ないない(笑)。全然ないです。でも不思議と仕事に関しては、どんどんやりたいことが増えていっています。何かつくってみたいなとか。

――つくりたいというのは、ご自身が監督やプロデュースに回るということですか。

プロデュースですね。もう頭の中で構想はあって。暗いものがやりたいんですよ。少しずつ準備をしている段階で、いつか皆さんに観てもらえる日が来たらいいなと思っています。

――楽しみです。そのバイタリティがすごいなと思っていて。田中さんは、自分自身に飽きることはないですか。

僕自身にはとっくに飽きています(笑)。でも、お芝居をしていると、自分じゃない自分になれるんで。だから飽きないんでしょうね。

エンタメに携わる人間として、自分たちのつくったものを通して、人が笑ってくれたり、心が動いたりするのがいちばん幸せ。そういう楽しいものをつくりたい、魅せていきたいという思いが、僕のバイタリティの源泉です。

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<放送・配信情報>
ドラマW 三谷幸喜 『おい、太宰』

6月29日(日)、WOWOWにて放送&配信
夜10時〜11時50分
https://www.wowow.co.jp/drama/original/oidazai/

撮影/梁瀬玉実、取材・文/横川良明
ヘアメイク/岩根あやの、スタイリング/荒木大輔

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