田中圭らがタイムスリップするとしたら? 三谷幸喜のワンシーンワンカットドラマ『おい、太宰』完成報告会レポートが到着
映画
ニュース

ドラマW 三谷幸喜『おい、太宰』完成報告会より
続きを読むフォトギャラリー(2件)
すべて見る6月29日(日) よりWOWOWで放送・配信される、ドラマW 三谷幸喜『おい、太宰』。このたび、脚本と監督を務めた三谷幸喜、主演の田中圭、そして共演の小池栄子、宮澤エマが登壇した完成報告会のレポートが到着した。
本作は、三谷によるオリジナル脚本と自ら監督を務める“完全ワンシーンワンカットドラマ”シリーズの第3弾。太宰治を敬愛する男が、時代を超えて奮闘するタイムスリップコメディだ。
ステージに登壇した三谷は、「WOWOWさんの、ワンシーンワンカットの長回しドラマも第3弾になるんですが、ここでやっと手応えというか。やりたいことができたという感じがしています。楽しみにしてください」とあいさつ。続けて田中も「元々三谷さんの完全ワンシーンワンカットドラマシリーズが大好きで。携わることができて幸せです」と完成した思いを語る。
完全ワンシーンワンカットドラマシリーズは、2011年の『short cut』、2013年の『大空港2013』以来12年ぶりの復活となる。「第1作目が山の中、2作目が空港、3作目は何にしようかというときに、撮影監督の山本英夫さんから、海がいいんじゃないかと。しかもタイムスリップものはどうかというアイデアがあって。浜辺なら、現代も過去もそんなに景色も変わらないんじゃないかというところから始まった企画だったんですけど、実際にやったら海は大変で。今までと比べると、何よりも大変で。でもそれだけの苦労をした甲斐があったというか。見たことのない映像が続きますので、ぜひそれを楽しみにしていただけたら」と本作の生まれた経緯を語った。
三谷作品初主演となる田中は、「実は三谷さんとは、プライベートでよくジムで会うことがありまして。そこで三谷さんに、このシリーズがすごく好きで、もし次、何かやる機会があったらぜひ参加させてくださいという話をして。ご一緒させてくださいという話はしていたんですけど、本当に実現するとは思っていなかったので、すごくうれしかった」とコメント。
太宰の恋人・トミ子を演じる小池は、「三谷さんは、若いフレッシュ感のようなもの、当時の女性の中でもまっすぐに信じる強さ、たくましさみたいなものは意識してほしいんだろうなと。だから普通のドラマよりは、声は高めに出して。それで少女っぽい感じを意識しましたね」と語ると、三谷も「大丈夫、(19歳に)見えましたよ」と笑いながらコメントした。
本作の撮影は1日1回限りで、6日かけて6テイクを撮ったという。「前の日と浜辺の様子が違うと、それに合わせて臨機応変に芝居をしなきゃいけないから、そういう違いをどうしようかと相談する時間もないし、そのタイミングで、お互いの目線でお互いを意識しあいながら、ぶっつけでやっていくという。まさに皆さんの力が集結した作品でしたね」と三谷監督が語ると、小池も「本来、芝居ってこういうものなんだろうなと。初心に返るというか。条件が変わって、相手の呼吸が変わったら、こっちの芝居が変わるというのが普通なのに、たとえば舞台なんかでも長時間やっていくと芝居が固まってきちゃったりするので。それは反省したりしましたね」と、しみじみ語った。
主人公・健作の妻・美代子を演じるのは、三谷組常連の宮澤。「最初に三谷さんとご一緒したのが映画作品で、その後は舞台が多かったんですけど、どの作品でも、その場で思いついた面白いことがあって。今日はこれをやってみて、というのは変わらないけど、今回は実際現場に行ってみないと分からないことがすごく多かった。なので、序盤ではまったく予定になかったはずの、海にどんどん入っていく、みたいなことを急にお願いされたり。急にこのタイミングで、このセリフを言ってほしいと。とにかく最後まで行きつくことを目標に無事に終わらせられるようにとみんな必死でやっているところでこれをやってくださいというオーダーが日に日に増えていく。わたしの役なんて、稽古場で最初にやっていたのと、最終日ではまったく別人のように仕上がっていたので。三谷さんからも、こうやってつくるのが俺たちのスタイルだよねと言われたんですけど、いや、こっちもけっこう大変だったんですけどと思いました」と笑いながら語った。
三谷は「言えば何でもやってくれるんですよ。やはり海を見ていると、入ってほしいなと思いますし、ずぶ濡れになって面白い俳優さんと、悲壮感が増す俳優さんと2種類あるんですけど、やはり僕はずぶ濡れになると面白くなる俳優さんに集まっていただいたので。そういう意味で宮澤さんには、水に入っていただいたというわけです」とコメントした。
本作がタイムスリップコメディであることを踏まえ、「もしタイムスリップをするとしたらどの時代に行きたい?」という質問も。それにはまず宮澤が「わたしは、50年代くらいの祖父母に会ってみたい。戦後間もなくのドラマを見たことがあったんですが、祖父の若い頃という設定で不思議な気持ちになりました。おじいちゃんおばあちゃんの若い頃って想像がつかないので。あの頃の祖父に会ってみたい」とコメント。
続く小池が「わたしは小学生くらいが人生の華やかさのピークだった。商売をやってる家でいちばんイケイケでした。本当に生意気で、お山の大将でした。そこから社会に出て、挫折することになるんですが、その時はなんでもできるんだと思っていたので」と明かすと、田中が「ぼくはジュラ紀、白亜紀に行って。恐竜を見てみたい」とコメント。そこで三谷監督が「僕は父にあまり会ったことがないので父ですかね。それより皆さん歴史上の人物に会いたくないですか? 北条政子とか」と『鎌倉殿の13人』で北条政子を演じた小池に問いかけると、「ごあいさつはしたいですけどね」と返し、会場を笑わせた。
三谷幸喜「これだけたくさんの時間、田中圭を観られる作品はない」
そんな会見もいよいよ終盤。最後のコメントを求められた宮澤が、「ワンシーンワンカットというのは、頭の中でコンセプトとしては理解できていても、この作品がまさかこういう手法で撮られているように思わないというか、そんなことを忘れてしまうような作品に仕上がっているというのが、試写を観た時にビックリしたことでした。今まで三谷さんとはいろんな作品をやってきて、これまでも平清盛役でハゲヅラをかぶらせられたりと、本当にヒドい格好をしてきたんですけど、ようやく普通の格好をすることができました。そこも見ていただけたら」とあいさつ。
続く小池も「カット割りをしてないからこその温度というか、熱は確実に観ている方に伝わると思うんです。たとえばふたりで掛けあいをしているシーンでも、カメラがこちらを向いている時は、相手の後頭部しか映らない時もあって。やっている側としてはそのときの顔も観てもらいたいなと思うんですが、後頭部しか見えないからこそ想像するしかないし、それが面白い。ワンカットというものを、同じように味わっていただいて、作品の楽しさを感じていただけたら」とメッセージを送った。
田中は「過去の作品でも思いましたし、今回もそうですが、ワンカットで撮ってるのを忘れてのめり込んで観てしまうんです。それが本当に面白くて、途中から感動に変わってくるんです。すごいことをやってるなと。今回プレッシャーはありましたが、すごくおもしろくて。ワンカットであることを忘れるし、単純にエンタテインメントとして楽しいものができたと思うので、楽しんでいただけたら」と語った。
最後に三谷が「田中さんがおっしゃったとおり、ワンシーンワンカットドラマをつくるときは止めることができないのでスタッフも苦労するけど、できたものを観た時に、むしろ気付かれない方が成功だったと思う。映像に関わってる方はこれがどれだけ大変なことか分かると思いますが、一般の方は分からないでしょうし、それでいいと思う。特に田中さんは出ずっぱりだったので大変だったと思いますけど、これだけたくさんの時間、田中圭を観られる作品もないと思います」と語ると、小池も「本当にチャーミングだった」と続けた。

<作品情報>
ドラマW 三谷幸喜『おい、太宰』
WOWOWプライム/WOWOWオンデマンドで6月29日(日) 22:00より放送・配信
フォトギャラリー(2件)
すべて見る