海宝直人、デビュー30周年コンサート開催中! タイトル“ever”に込めた感謝と未来
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海宝直人 (撮影:岩村美佳)
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すべて見る海宝直人の舞台芸能活動30周年を記念したコンサート『ever』が、2025年6月16日に東京・日比谷のシアタークリエで幕を開けた。開幕を前にした前日には会場で会見が行われ、海宝自身がこれまでの歩みと作品への思いを語った。
小学1年生で『美女と野獣』のチップ役として舞台デビューして以来30年、『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』『アラジン』『ライオンキング』『ノートルダムの鐘』『アナスタシア』『アリージャンス』『イリュージョニスト』など、さまざまなミュージカルに出演し活躍し続けている海宝が、今作では構成・演出も自ら出がけている。

今の思いを「あまり実感がないんですけれども、思い返すと、小学校1年生の時の初舞台『美女と野獣』から本当にたくさんの作品に出会わせていただいてきました。その中でのお一人おひとりとの出会いが一番大きいです。その出会いが繋がっていって、ここに辿り着けたなという感じが強いので、今回のコンサートでフィーチャーしていきたいところです」と語った。

構成については、「タイトルを『ever』と付けさせていただきましたが、これまでとこれからみたいなものを感じていただけるコンサートにできたらいいなと。今まで応援してくださった方には、年齢的にも今後やれることのない役との再会を楽しんでいただけるでしょうし、最近僕を知ってくださった方や、ゲストのファンの方には、観ていただいたことのない声や表現というものと、出会っていただけるような機会になるんじゃないか」と紹介した。

これまで海宝が開催してきたコンサートは、その絶品の歌声だけでなく、さまざまな趣向を凝らしてきたのも見どころだった。今回もかなりこだわったという内容について、「クリエイターの皆さんとさまざまにお話しさせていただき、僕のいろんなアイディアを拙いながら伝えると、皆さんがさらに立体的にしてくださる作業ができたので刺激的でした。大変でしたけど楽しかったです」と目を輝かせた。「劇場に入ってセットを見ていただくと、いわゆるコンサートとは違う世界観なんだろうなというのは、まず感じていただけるんじゃないかなと。物語性のある、語り部的な形からお客さんを導いていって、音楽の中でこれまでの30年、そしてこれからを表現していけたら」とその意図を紐解いた。

“オタク気質”全開。物語性ある唯一無二の構成に
自身の“オタク気質”を長所でもあり短所でもあると自己分析する海宝だが、今回もその凝り性を存分に発揮。「やりたいことが次々浮かんで膨らんでしまい、これまで出演してきた作品のメドレーもかなりのボリュームになっていて、それが結構な分量で。しかも連日お客様に楽しんでいただけるような構成にしているので、一緒に作ってくれている皆にはとんでもない負担をかけているだろうなと。ただ、本当に素晴らしいスキルを持っている方たちなので、食らいついてみんなで作ってきたので、きっと楽しんでいただけるんじゃないかと。僕ら演者が大変な思いをして、苦しめば苦しむほど、お客様は楽しんでいただけると思うので、みんなで一致団結して頑張っていきたいと思います」と力強くアピールした。

本作の会場であるシアタークリエは、アンサンブル時代から自身の主演作まで、これまでさまざまな作品に出演してきた。“ホーム”のひとつともいえる劇場で自身の30周年コンサートが開催されることについて「やっぱり嬉しいです。本当にたくさんの思い出がある劇場なので、折々でいろんなことを経験させてもらってきました。楽屋や舞台裏を歩いていても、いろんなことを思い出します。例えば、舞台階から上に上がっていく階段があるんですが、『RENT』で自分の出番を待っている時に、ここに座って曲を聴いていたなとか。そういったことがある劇場で30周年を迎えられるのは、すごく幸せで嬉しいです。だからこそ、やっぱりお客様に最大に楽しんでいただけるショーができたら」と、微笑みながら感慨深げに話した。

豪華ゲストと共に、一夜限りの再会と発見を
各回に登場するゲストも多彩。これまでの作品で共演した仲間や、初共演のキャストまで、その回でしか観られないコラボレーションやトークも見どころだ。初舞台時のキャストも駆けつける。「子供時代はすごくヤンチャだったので、本当に大人の人たちに怒られながら、でも可愛がってもらいながらやっていていました。その中でウエンツ(瑛士)君とも一緒にいて。当時『美女と野獣』でビーストをされていた鈴木壮麻さんや、ベルをされていた堀内敬子さんもいらっしゃるので、トークではそんな思い出話にできたらなと思います」と話した。
30年を振り返る質問に対しては、子役時代の可愛いヤンチャなエピソードを披露しつつ、はじめて大人の俳優として『ミス・サイゴン』にアンサンブルで出演したことをターニングポイントとして挙げた。「自分で役に名前をつけて、どんな親たちで、どういう家族構成で、なぜこのベトナムに辿り着いたのか。みんなのことを自分たちで作っていくという作業だったので、大人の俳優というのは自分で構築していかなければいけないことも学びました。約1年のロングラン公演の中で、大人の俳優としてのいろんなことを学びました」と当時を振り返った。

ハードな毎日を、健康管理に最大限に留意しつつ、まずは『ever』をやり遂げる意気込み十分。大切な食事については、「普段はそれなりに節制はしながらも、我慢しすぎると良くないと思うので、やっぱり定期的に好きなラーメンをぶち込むっていうのはありますね 」と笑う。『ever』グッズとして、オリジナルラーメン「みそのたから」やラーメンどんぶり&れんげも発売するというほどラーメンへの熱の入れようだ。
今後の活躍にも益々期待が高まるが、やりたいことを聞かれ、その胸の内を明かした。「今回は演出・構成もやらせていただいて出演もあるので、とても大変なところもあって、なかなか寝られない日々を過ごしているんですが、やっぱりみんなで何かを作ることがすごく楽しいし、やりがいを感じています。先々に物を作っていくという演出的なこと、お芝居とかもできたら楽しいだろうなと感じているので、いずれ挑戦できたら」としみじみと語った。「30年さまざまな作品、さまざまな人と巡り合ってここまで来られましたが、ここからまた新たに、貪欲にいろんな作品やいろんな人と出会いながら、ここ何年かは新しい作品に挑戦したいと思って初演作品にもチャレンジしてきました。先日韓国作品がトニー賞を獲りましたが、すごく大きな刺激になっています。日本から発信している作品に関わっていったり、クリエイトしていく人になれたらいいなと思っています」と締めくくった。

初日公演を観劇したが、“そう来たか!”と驚くような構成がこれでもかと続き、珠玉の歌声と緻密な演出が一体となったエンターテインメントの連続に感嘆させられた。海宝がボーカルを務めるバンド、CYANOTYPE(シアノタイプ)のメンバー小山将平、西間木陽も出演していて、彼らと奏でるここでしか聴けないミュージカル曲も絶品。細部にまでこだわり抜いた音楽にも注目しながら、唯一無二のコンサートを堪能してほしい。
取材・文・撮影:岩村美佳
<公演情報>
『Naoto Kaiho Stage Entertainment Activities 30th Concert "ever"』
構成・演出:海宝直人
振付・演出補佐:港ゆりか
音楽監督:紺野紗衣
編曲:森亮平/紺野紗衣
出演:
海宝直人
斎藤准一郎 村井成仁 清水彩花 感音 磯部杏莉 井上花菜
小山将平(CYANOTYPE) 西間木陽(CYANOTYPE)
スペシャルゲスト:
6月16日(月) 愛希れいか ※終了
6月18日(水) 石川禅/葵わかな ※終了
6月19日(木) ウエンツ瑛士
6月20日(金) 島田歌穂
6月21日(土) 蟹々々エミ/田中俊太郎/加島茜/菅谷真理恵/Ema/松出直也
6月22日(日) 鈴木壮麻/堀内敬子
6月23日(月) 小林唯
6月25日(水) チョ・サンウン/昆夏美
6月26(木)・27日(金) 木下晴香
6月28日(金) ルミーナ
6月29日(土) 矢崎広/村井良大
6月30日(日) 村井良大/平間壮一
7月2日(月) 屋比久知奈/豊原江理佳
7月3日(火) 安寿ミラ/東山義久
7月4日(水) ※貸切公演 昼公演:山野さと子/夜公演:岡宮来夢
7月5日(木) 実咲凜音/華優希
7月6日(金) 山寺宏一
7月7日(土) 廣瀬友祐
※7月5日公演に出演を予定していた実咲凜音は体調不良のため休演。
日程:2025年6月16日(月)~7月7日(月)
会場:東京・シアタークリエ
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