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誰もが見やすいメルヘンなハッピーエンド イオランタ役・梶田真未に聞く『くるみ割り人形とイオランタ』の魅力

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イオランタ役梶田真未

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ウィーン・フォルクスオーパー芸術監督ロッテ・デ・ベアのアイデアで、チャイコフスキーの名作オペラ『イオランタ』と同じくチャイコフスキーの名作バレエ『くるみ割り人形』を融合させた『くるみ割り人形とイオランタ』。盲目の王女の物語を描いた『イオランタ』と、彼女が内なる目で見る幻想世界『くるみ割り人形』が交錯していくという作品はウィーンでも絶賛を集めた。オペラ、バレエ、それぞれのファンを魅了し、幅広い年齢のかたでも楽しめるという画期的な作品で主演・イオランタをWキャストで務める梶田真未に、その魅力を語ってもらった。

――タイトルロールに決まった時の思いはいかがでしたか?

梶田 嬉しかったです。チャイコフスキーのオペラで思い出されるのは、第19回東京音楽コンクールで優勝した時に歌わせていただいた曲が、チャイコフスキーのオペラ、『エフゲニー・オネーギン』の中でタチアーナが手紙をしたためる時のアリア、「破滅してもいいわ」でした。半音での動きなど、複雑な音色が使われていますが、思春期の恋心や複雑な気持ちが表現されていてグッとくる楽曲です。
『イオランタ』のアリアは個人的に勉強したことがあり、チャイコフスキーのオペラへの理解をより深めたいと思っていましたときに、『イオランタ』のオーディションの機会をいただき、運命的なものを感じましたし、選んでいただけて嬉しかったです。

ウィーン・フォルクスオーパー舞台写真 (C)BarbaraPálffy

――タチアーナとイオランタの女性像は近しい部分がありそうですね。

梶田 はい。どちらも人生の中で初めての経験をたくさんしていく役です。王女様のイオランタは目が見えず、目が何かを見るものだということも教えられずに生きてきました。というのも、王様の父親が「目は見るためのものだと知ったら、娘がショックを受けるのではないか」と考え、真実を告げずにお城の中で大切に育てていましたから。そんな彼女に「見るためのものだよ」と教えくれる青年が現れすごく衝撃を受けます。さらにそのことを告げてくれた青年に恋のような思いを抱く。そんな初めてづくしの気持ちが微妙な音遣いに現れていますので、イオランタの揺れる心の動きを丁寧に歌わせていただきお客様にお届けしたいです。

――イオランタというキャラクターを表現するうえでのポイントは?

梶田 音を正確に歌うことはもちろん大切ですが、そのことだけに気持ちを取られていると、その姿勢が歌に出てしまいます。ですから、チャイコフスキーがその音や旋律を書いた意味を想像して歌うことを大切にしています。そうすることで気持ちが自然と音に現れると教えていただいてきましたし、イオランタの思いをしっかり歌に込めていきたいと思っています。

ウィーン・フォルクスオーパー舞台写真 (C)AshleyTaylor

――楽曲の聞きどころについても教えてください。

梶田 『イオランタ』と『くるみ割り人形』、どちらもチャイコフスキーなので共通していると感じる部分はありますが、言葉のないバレエと歌主体のオペラでは成り立ちが異なるように感じます。『イオランタ』はやはり言葉のイントネーションを軸に音楽が作られていますので、『くるみ割り人形』の人気曲のように、キャッチーなメロディが次々と現れることはありません。
ですが、『くるみ割り人形』と組み合わせることで、お客様も「あ、聞いたことがある曲だ」と感じてくださるだけでなく、同じチャイコフスキー作品であっても、性格の異なるメロディで構成していくことで生まれる新たな魅力は、きっとお客様にも届くと思います。

――映像でご覧になったウィーン公演からはどんな印象を?

梶田 くるみ割り人形』はおとぎ話のような物語で、イオランタは目が見えないことも手伝って想像力が豊か。彼女は眠っている時、いつもくるみ割り人形の夢を見ているのですが、いろんな人との出会いや関わりを経て、夢もどんどん変化していきます。このような演出は、イオランタの成長をより分かりやすくしてくれていると思いました。

ウィーン・フォルクスオーパー舞台写真 (C)BarbaraPálffy

――二つの物語の融合が新しい物語を生み出すんですね。

梶田 この作品はおとぎ話の絵本のような起承転結のあるハッピーエンドですから、とてもわかりやすいと思います。さらに今回はバレエが組み合わさり、場面の切り替わりが生まれることで、短時間で異なる音楽のバリエーションを楽しんでいただけますし、ほどよいテンポ感とダイナミックな展開が見どころになると思います。

――オペラの公演では、お子さんはあまり多くないと思いますが、今作ではその様子は一変しそうです。

梶田 そうなるといいな。と思っています(笑)。もし来てもらえたら、お子さんからは素直な反応がいただけそうな気がしますね。お子さんは心に響かないことには反応を示してくれないので、技術的なことだけを考えているとどこかでバレてしまうんですよね(笑)。難しい曲ですが、お届けしたい本当の思いを真っ直ぐに表現していくしかありません。
私が初めて生のオペラを拝見したのは高校生の頃。もっと若い頃に扉を開くことができたらという思いがありますので、この機会にぜひ劇場にお越しいただけたら。マイクを通さない歌の魅力にも触れていただけると嬉しいです。

ウィーン・フォルクスオーパー舞台写真 (C)BarbaraPálffy

――オペラへの誘いにも本作はおすすめですね。

梶田 学生料金やU-39チケットもありますのでお得感はかなり(笑)。オペラは敷居が高いと思われている方は少なくないと思いますが、素敵なバレエシーンやビジュアルともあいまって、今作はそういったオペラのイメージをきっと変えてくれると思います。まったく新しい、そして最良のエンターテインメントにどうぞご期待ください。

ウィーン・フォルクスオーパー舞台写真 (C)AshleyTaylor

取材・文/吉田沙奈

<公演情報>
ウィーン・フォルクスオーパーとウィーン国立バレエ団との共同制作公演
『くるみ割り人形とイオランタ』

【東京公演】
日程:2025年7月18日(金)〜21日(月・祝)
会場:東京文化会館 大ホール

【愛知公演】
日程:2025年7月26日(土)
会場:愛知県芸術劇場大ホール

【大分公演】
日程:2025年8月2日(土)
会場:iichiko総合文化センター iichikoグランシアタ

[指揮] マキシム・パスカル(東京公演)
川瀬賢太郎(愛知・大分公演))
[演出] ロッテ・デ・ベア
[振付] アンドレイ・カイダノフスキー
[出演] イオランタ:梶田真未・川越未晴(Wキャスト)
ルネ:狩野賢一・北川辰彦(Wキャスト)
ヴォデモン伯爵:伊藤達人・岸浪愛学(Wキャスト)
ロベルト:大川 博・菅原洋平(Wキャスト)
エブン=ハキア:小林啓倫・宮本益光(Wキャスト)
アルメリック:大槻孝志・濱松孝行(Wキャスト)
ベルトラン:水島正樹・ジョン ハオ(Wキャスト)
マルタ:小野綾香・一條翠葉(Wキャスト)
ブリギッタ:清野友香莉・田崎美香(Wキャスト)
ラウラ:郷家暁子・川合ひとみ(Wキャスト)
[バレエ] 東京シティ・バレエ団
[オーケストラ] 東京フィルハーモニー交響楽団(東京)
名古屋フィルハーモニー交響楽団(愛知・大分)

【演奏曲】
前半
『くるみ割り人形』序曲
『イオランタ』序曲
イオランタのアリオーン「なぜ以前は知らなかったのかしら?」
『イオランタ』より No.3「ブリギッタ、あなたなの?」
『くるみ割り人形』より No.13「花のワルツ」
『イオランタ』より No.4 ルネ王のアリオーン「神よ、もし私に罪があるならば」
『くるみ割り人形』より No.4「雪片のワルツ」
『イオランタ』より No.5 エブン=ハキアのアリオーン「肉体の精神の二つの世界は」
『くるみ割り人形』より ヴァリエーションンII「金平糖の精の踊り」
『イオランタ』より No.6「急ぐな、ここはとても暗い」
『イオランタ』より No.7「ところで我々はどこにいるのだ?」
『くるみ割り人形』より No.14 パ・ド・ドゥ【金平糖の精と王子のパ・ド・ドゥ】

後半
『イオランタ』より No.7 二重唱「神の創られたる素晴らしき最初のもの」
『くるみ割り人形』より No.7 くるみ割り人形とネズミの王様の戦い
『イオランタ』より No.8「イオランタさま! どちらに?」
『くるみ割り人形』より No.13【アラビアの踊り】
『イオランタ』より No.9 フィナーレ「ゴットフリート、お前を助けに来たぞ」
『くるみ割り人形』より No.15 終幕のワルツとアポテオーズ

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2456118

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