『罪人たち』日本でも高評価続出。スクリーンあたりの興収も高水準。
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20日から公開をスタートした映画『罪人たち』が映画ファンから好評を集めている。すでに全世界で527億円超の興収を叩き出しているヒット作で、“期待大”で劇場に向かった映画ファンが多かったようだ。
本作の舞台は、1930年代のアメリカ南部の田舎町。双子のスモークとスタックの兄弟は、故郷に戻り、当時は禁じられていた酒や音楽で人々を楽しませるダンスホールのオープンを準備する。物件を借り、かつての仲間と再会し、ついにオープンの夜を迎え、店は大盛況。熱狂の空間が生まれるが、そこへ“招かれざる客”がやってくる。
日本では全国30の劇場で公開になり、22日(日)までの3日間で観客動員11,859人、興行収入2,396万円を超える成績を残した。ポイントはスクリーンあたりの興行収入が高いこと。集まった観客は本作に大きな期待を寄せ、「少し料金が高くなっても良い環境で観たい」と思ったようだ。
『クリード』や『ブラックパンサー』で知られるライアン・クーグラー監督が手がけた『罪人たち』は、ホラー、サスペンス、アクションが満載の作品だが、その背後にある1930年代のアメリカの状況や空気感、登場人物たちの想い、彼らが日常的に感じている“まとわりつくような緊張感”が映像で見事に表現されている。
本作はシリーズの続編や原作の映画化ではない完全オリジナル作品だが、制作体制は豪華&気合い十分。マイケル・B・ジョーダンが主演を務め、双子の兄弟をどちらも演じるほか、『ブラックパンサー』で架空の国ワカンダを出現させたプロダクション・デザイナーのハンナ・ビーチラーが本作でもデザインを担当。史実に基づきながら、ある夜に出現する“異形の空間”を見事に描き出している。
そして最大のこだわりが撮影だ。本作の撮影はすべて65ミリフィルムで行われ、撮影監督のオータム・デュラルドはIMAXフィルムカメラとウルトラ・パナビジョンカメラを駆使して全編を撮影した。その映像はアクションやサスペンスの迫力を追求するだけでなく、1930年代南部アメリカの空間の広がりや、俳優の表情の細かな変化を丁寧に映し出す。
本作の後半は“招かれざる客”の出現によってスモーク&スタックの店が人知を超えた境地に突入するが、カメラは夕暮れから夜明けまで(from dusk till dawn)の光の変化を余すことなく捉えている。夕暮れの淡い暖色の光、夜のしんと冷えたような寒色系の空と人間が灯す光のコントラスト、人間の汗と血の質感、そしてすべての影が消える日の出の鮮烈な光。本作ではそのすべてが粒子感のあるフィルムの映像で克明に描き出される。
物語の行方やアクションだけでなく、映像の質感や空気感、色に淡さやにじみ、時間の経過も『罪人たち』の大きな見どころだ。日本の観客も監督たちの想いに応えるようにIMAXやDolby Cinemaなどの劇場に足を運んでおり、結果としてスクリーンあたりの興行収入が高くなっている。

なお、SNSでは本作を絶賛する声が相次いでおり、期待した通り/期待以上と感じた観客が多かったことが伺える。ちょっと多めに払っても良い環境で観たい映画、大きなスクリーンで細部まで楽しんで観たい映画として『罪人たち』は今後も動員を増やしそうだ。
『罪人たち』
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