佐々木蔵之介ひとり芝居『ヨナ-Jonah』シビウ国際演劇祭で上演 ウォーク・オブ・フェイムも受賞
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佐々木蔵之介ひとり芝居『ヨナ-Jonah』ルーマニア/シビウ国際演劇祭 2025年6月26日 2公演 ラドゥ・スタンカ国立劇場 カーテンコールの様子 (撮影:齋藤千春)
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すべて見る東京芸術劇場とルーマニア/ラドゥ・スタンカ国立劇場の共同制作による新作、佐々木蔵之介ひとり芝居『ヨナーJonah』のシビウ国際演劇祭公演が、現地時間2025年6月26日15時と20時に、ルーマニア・シビウ市のラドゥ・スタンカ国立劇場で上演。満場の観客から総立ちのカーテンコールで惜しみない拍手を送られた。
『ヨナ』は、ルーマニアの国民的詩人マリン・ソレスクの代表作で、旧約聖書の聖人ヨナの逸話を題材としている。漁師で預言者であるヨナは神に背いてクジラに飲み込まれ、3日後にその腹から生還した人物。この戯曲を、シビウ国際演劇祭で数々のヒット作を放つシルヴィウ・プルカレーテが演出した。
佐々木とプルカレーテは、2017年『リチャード三世』、2022年『守銭奴』(いずれも東京芸術劇場制作)でタッグを組み、人間の暗部に深く迫りつつもユーモアにあふれる優れた舞台成果を残した。佐々木はプルカレーテとの作業を「今までの演劇体験の中で最も楽しかった」と振り返り、プルカレーテも佐々木の発想の豊かさと身体能力の高さに刺激を受けたという。東京芸術劇場とラドゥ・スタンカ国立劇場は、佐々木とプルカレーテの信頼関係をさらに発展させ、国際ツアーに出せる作品の共同制作に取り組むことで合意。日本、ルーマニア双方の国の戯曲を検討したところ、プルカレーテより、敬愛するソレスクの作品『ヨナ』の提案があったことにより、本作の上演が実現した。
佐々木は4月末にシビウに単身乗り込んで4週間の稽古に臨み、5月21日のシビウでの世界初演を成功させた後、ブダペスト(ハンガリー)、クルージュ・ナポカ(ルーマニア)、ブカレスト(ルーマニア)、キシナウ(モルドバ)、ソフィア(ブルガリア)の東欧諸国をツアーし、各地で売り切れの盛況を記録してきた。そして、ツアーのハイライトとなるシビウ国際演劇祭での公演では、看板演出家プルカレーテの新作、佐々木の登場とあって、チケットは発売10分後にソールドアウトし、急遽追加公演を昼に行うことになった。

佐々木は、「『ヨナ』はシビウでの1カ月の稽古を経て、5月21日にプレミア公演の初日を開け、その後、東欧5都市ツアーを経て、今日シビウ国際演劇祭での公演を行いました。不思議なことにプレミア公演初日の方が気楽な気分で、ツアー公演を経ての今日の公演の方がしっかり伝えなくてはという緊張感が高かったです」とコメントした。
また、この舞台とこれまでのプルカレーテらとの舞台成果により、佐々木はシビウ国際演劇祭が毎年世界を代表するアーティストを表彰している「ウォーク・オブ・フェイム」を、キャサリン・ターナーやビル・マーレイといった著名俳優と並んで受賞。市の中心地には受賞者の名前が刻まれた星の形のプレートを埋め込んだ歩道があり、今年からは佐々木の名前もそこに加わる。
日本公演は、舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」芸劇オータムセレクションとして、10月1日(水) のプレビュー公演を経て13日(月・祝) まで東京・東京芸術劇場 シアターウエストで上演。その後、石川・長野・茨城・山口・大阪を巡る。
■佐々木蔵之介 コメント全文
『ヨナ』はシビウでの1カ月の稽古を経て、5月21日にプレミア公演の初日を開け、その後、東欧5都市ツアーを経て、今日シビウ国際演劇祭での公演を行いました。国際フェスティバルはさまざまな演目に触れることができて本当に楽しいです。シビウ国際演劇祭には2回目の参加になりますが、今回は1カ月現地で生活したので、前回とは全く違う経験になりました。家族のように迎えてもらい、送り出してもらったという感じです。不思議なことにプレミア公演初日の方が気楽な気分で、ツアー公演を経ての今日の公演の方がしっかり伝えなくてはという緊張感が高かったです。ツアーを通じて、声のトーンなど芝居や静寂な瞬間の生かし方等について試行錯誤を重ねました。お客様が、理解できない日本語に耳を澄ませ、音のない瞬間にも何かを聞き、闇に何かを見ようとしてくださる力を今日もとても強く感じました。お客様の集中力に支えられ、物語のうねりを作ることができたと思います。ヨーロッパツアーの締めくくりであるシビウ国際演劇祭公演を、ルーマニアの仲間と祝福を分かち合えることを願っていましたが、無事に公演を終えていまは感謝しかありません。10月~11月に日本公演を行いますが、どのように受け止めてもらえるかとドキドキしています。日本ではあまり出会わないような作品ですので、新鮮に楽しんでいただけると思います。どうぞご覧ください。
<日本公演情報>
舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」芸劇オータムセレクション
佐々木蔵之介ひとり芝居『ヨナ-Jonah』
作:マリン・ソレスク
翻訳・修辞:ドリアン助川
演出:シルヴィウ・プルカレーテ
舞台美術・照明・衣裳:ドラゴッシュ・ブハジャール
音楽:ヴァシル・シリー
出演:佐々木蔵之介
【東京公演】
2025年10月1日(水) プレビュー公演/10月2日(木)~13日(月・祝)
会場:東京芸術劇場 シアターウエスト
【金沢(石川)公演】
2025年10月18日(土)
会場:北國新聞赤羽ホール
【松本(長野)公演】
2025年10月25日(土)・26日(日)
会場:まつもと市民芸術館 小ホール
【水戸(茨城)公演】
2025年11月1日(土)・2日(日)
会場:水戸芸術館ACM劇場
【山口公演】
2025年11月8日(土)・9日(日)
会場:山口情報芸術センタースタジオA
【大阪公演】
2025年11月22日(土)~24日(月・休)
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
詳細はこちら:
https://www.geigeki.jp/performance/theater377/
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