『つくるよろこび 生きるための DIY』東京都美術館で 7組のアーティスト・建築家の作品から、自分なりの方法で「よりよく生きる」ことを考える
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若木くるみ 《キャンベルスープ》 2024年 空き缶を用いた版画 作家蔵
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すべて見る「DIY (Do It Yourself/自分でやってみる)」をキーワードに、誰もがもつ創造性に目を向け、自分なりの方法で「よりよく生きる」ことを考えるという趣旨のもとで企画された展覧会が、7月24日(木)から10月8日(水)まで、上野の東京都美術館で開催される。
「DIY」とは、目の前の問題を自分自身の工夫で解決していくアプローチのことで、日曜大工や住民主体のまちづくりなど、私たちの身近な場面で実践されている。私たちがよりよく生きるための方法であると同時に、不便や困難を乗り越えるための手段でもある。その過程では、自ら手を動かすことで得られる気づきや達成感といった「つくるよろこび」も味わえるのではないか——同展は、こうした考えを出発点に、DIY の手法や考え方に関心を寄せる5 組の現代作家と2組の建築家を紹介する。

今回は、身近な素材から新しいイメージを生み出す実験的な版画作品を発表する若木くるみ、災禍の記憶を胸に生きる人々の営みを捉えたドローイング、絵画、文章などを展示する瀬尾夏美、日本の都市の片隅で生きる人々の姿を写真と映像で捉えた野口健吾、ロンドンをベースにインスタレーションを制作するダンヒル&オブライエン、手芸による「着られる彫刻」や、既製品を装飾として取り込んだレディメイドの作品を展示する久村卓の5組が出品し、来場者が本展のテーマについて考えるためのプラットフォームを伊藤聡宏設計考作所とスタジオメガネ建築設計事務所の2組が構想する。
DIYの手法や考え方に関心を寄せるこれら7組の出品作は、版画、ドローイング、言葉、写真、映像、インスタレーションなど多岐にわたる。多彩な作品と多様な表現で空間がつくりあげられているのが同展の魅力のひとつだ。展示のなかには参加型の作品もあり、来場者自身でDIYについて考え、実際に手を動かしてつくる体験もできる。
同展ではまた、震災や経済的な事情によって、多くのものを失った人々の切実な営みにも焦点を当てている。アーティスト、建築家、路上生活者、災禍を経験した人々など、それぞれのDIYの実践にふれることを通じて、誰もがもつ創造性と「つくるよろこび」、そしてDIYと「生きること」のつながりに迫る展覧会となっている。

<開催概要>
『つくるよろこび 生きるための DIY』
会期:2025年7月24日(木)~10月8日(水)
会場:東京都美術館 ギャラリーA・B・C
時間:9:30~17:30、金曜は20:00まで(入室は閉室の30分前まで)
休室日:月曜(8月11日、9月15日、9月22日は開室)、9月16日(火)
料金:一般1,100円、大学700円、65歳以上800円
公式サイト:https://www.tobikan.jp/diy
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