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中村勘九郎「今だからこそ、やる意味がある」 歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」第三部『野田版 研辰の討たれ』で勘三郎さん演じた辰次を初役で

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歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」『野田版 研辰の討たれ』囲み取材より、左から)中村七之助、中村長三郎、中村勘太郎、中村勘九郎、野田秀樹氏、松本幸四郎、市川染五郎

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東京・歌舞伎座の令和7(2025)年8月興行を盛り上げる松竹創業百三十周年「八月納涼歌舞伎」第三部で上演される『野田版 研辰の討たれ』の囲み取材が都内で行われ、脚本・演出を手がける野田秀樹をはじめ、出演する中村勘九郎、松本幸四郎、中村七之助、市川染五郎、中村勘太郎、中村長三郎が意気込みを語った。

十八世中村勘三郎とのタッグで新しい歌舞伎を生み出してきた野田秀樹の脚本・演出による、野田版歌舞伎の第一弾として平成13(2001)年8月の歌舞伎座「納涼歌舞伎」で初演され、大きな話題になった『野田版 研辰の討たれ』。その後、平成17(2005)年5月歌舞伎座、7月大阪松竹座において、十八代目中村勘三郎襲名披露狂言として再演され、その舞台はシネマ歌舞伎でも平成20(2008)年を皮切りに上映された。

野田氏は「当時、十八代目勘三郎さんとやっていたので、今回の稽古でも呪縛というか、彼の面影を追っています。でも、(稽古が)進むうちに、新しいものになっている気がして。新鮮な舞台になっていると思います」と、新たな配役での公演に思いを語り、「遺伝子があるから、(勘九郎の)声を聞けば勘三郎じゃないかって思うときもあって、ここ(幸四郎と染五郎)もそう。世代交代して、自分だけ生き残っちゃって。歴史的なものが見られると思う」と期待を寄せた。

今回は、主役・守山辰次を十八世中村勘三郎の長男・中村勘九郎が初役で演じるほか、平井九市郎を市川染五郎、平井才次郎を中村勘太郎、八見伝内を市川中車、粟津の奥方萩の江/姉娘およしを中村七之助、家老平井市郎右衛門を松本幸四郎、僧良観を中村扇雀が演じる。

勘九郎は「ぶっちゃけ、自分は『研辰』はやらないかなと思っていた。父は辰次なのか、勘三郎なのか分からないくらい憑依していたので、手が付けられないと思っていた」と告白。「革新的な舞台をできることがうれしい」と喜びを語り、「群衆の怖さがより濃くなっている今だからこそ、やる意味がある」と力説した。

七之助は「初演の稽古場で、父に死ぬほど怒られたことを鮮明に覚えている。野田さんが止めてくださった」と振り返ると、野田氏は「勘三郎さんが、七之助君にダメ出ししているから、稽古を止めて『演出家は僕だから』って(笑)」と真相を明かした。「お稽古を毎日、楽しくやっています」(勘太郎)、「新しいお役で緊張しているけれど、憧れの作品に出させてもらうのは、ありがたいです」(長三郎)と、新世代も開幕を心待ちにしていた。

初演で九市郎を演じた幸四郎は、「少し若返らないとと思っていたら、家老の役だった」と思わず苦笑い。当時を「見たこともないものを生み出すんだっていうパワーがあった」と懐かしみ、今回、九市郎を勤める染五郎について「再演のときですら生まれていない」と語ると、染五郎は「2005年生まれなので、生まれています」と“訂正”。報道陣の笑いを誘っていた。

【あらすじ】
守山辰次は元は刀の研屋で、殿様の刀を研いだ縁で侍に取り立てられたものの、武芸はまったく駄目。家中の侍に打ちのめされた辰次は家老へ意趣返しをしようとする。ところが、仕返しのために仕掛けたからくりが元で家老は死んでしまい、辰次は家老を殺した敵として追われる身に。仇討ちの旅に出た家老の息子ふたりに追われて、諸国を逃げ回る辰次だったが……。

取材・文:内田凉


<公演情報>
歌舞伎座 松竹創業百三十周年「八月納涼歌舞伎」第三部
『野田版 研辰の討たれ』

作:木村錦花
脚色:平田兼三郎
脚本・演出:野田秀樹

【出演】
守山辰次:中村勘九郎
平井九市郎:市川染五郎
平井才次郎:中村勘太郎
粟津の奥方萩の江/姉娘およし:中村七之助
八見伝内/番頭友七:市川中車
役人町田定助 巳之助
妹娘おみね 坂東新悟
湯崎幸一郎 中村橋之助
蔦屋長三郎 中村長三郎
小平権十郎 中村吉之丞
女中お駒 中村歌女之丞
お酌の太郎 澤村宗之助
高橋三左衛門 大谷廣太郎
宮田新左衛門 市川猿弥
からくり人形/番人番五郎 片岡亀蔵
家老平井市郎右衛門:松本幸四郎
僧良観:中村扇雀

2025年8月3日(日)~26日(火)
会場:東京・歌舞伎座
8月12日(火)、20日(水) は休演

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2560825

公式サイト:
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/936

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