現実と空想の入り混じる父と娘の物語をたったひとりで立ち上げる『キャプテン・アメイジング』今週末より
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(撮影:木村塁)
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すべて見る英国出身の作家、アリスター・マクドーウォルによる『キャプテン・アメイジング』が7月26日(土)~8月3日(日)、東京・シアタートラムにて上演される。
『キャプテン・アメイジング』は2013年に英国で初演が行われた作品。スーパーヒーローに扮する男とその娘の6年間の記憶の物語が、一人芝居で描かれる。日本初演となる今作に挑むのは近藤公園、田代万里生、松尾諭の3人の俳優。『ライカムで待っとく』で2022年、第30回読売演劇大賞作品賞を受賞した田中麻衣子が演出を務める。
一人芝居では客席に語りかける形のものも多いが、本作ではいくつもの役をひとりの役者が演じ、登場人物同士の対話を中心に物語が進行する。メインとなる登場人物は、時にスーパーヒーローに扮する、娘・エミリーの父・マークだが、脚本には役名が明記されておらず、発せられているセリフが誰のものか、演出家と俳優に、あるいは観客に委ねられている箇所もある。もっと言えば、描かれているシーンが現実か、それとも記憶の中のものかさえ、複数の受け取り方ができる部分も。

トリプルキャストの近藤、田代、松尾はいずれも一人芝居初挑戦。「公園さんのマークはどの瞬間もエミリーが側にいるような……、万里生さんのマークはエミリーのことをいつも探しているような……、松尾さんのマークはエミリーの遊び相手でいることを強く願っているような……、今の時点ではそんな印象を受けています」と演出の田中が語るように、それぞれに稽古を重ねていくうち、三者三様の色が生まれている様子。同じ脚本、同じ演出家でありながら、三つの異なる作品が立ち上がっているといってもいいだろう。
「たったひとり舞台に立っているだけで、こんなにもドラマを、人生を体験できるのだと伝えられたら」と田中が意気込む今作。「スーパーヒーロー、キャプテン・アメイジングの物語」と聞けば、まずは強く逞しい存在を思い浮かべるし、明るく希望に溢れた展開が待っているのかと思ってしまう。けれどもこの作品は、そんな画一的なイメージを覆すような、演じる人によって、また観る人によってもそれぞれ違う印象を残すものになりそうだ。
文:釣木文恵
■演出・田中麻衣子さんから稽古を重ねてのコメントが到着!

稽古場での通し稽古も残すところ2回ずつという時期になりました。
稽古を重ね改めて思うのは、人間の想像力は逞しいのだなということです。一人で何役も演じたとしても観ている側は意識することなく瞬時に関係を捉えることができるんですものね。
公園さんのマークはどの瞬間もエミリーが側にいるような......、万里生さんのマークはエミリーのことをいつも探しているような……、松尾さんのマークはエミリーの遊び相手でいることを強く願っているような......、今の時点ではそんな印象を受けています。
初日が開くとあっという間に駆け抜けて終わってしまいますので、何かがちょっとでも気になっている方は、どうか是非劇場に足を運んでください。お待ちしています。
<公演情報>
せたがやアートファーム2025
『キャプテン・アメイジング』
作:アリスター・マクドウォール
翻訳:永田景子
演出:田中麻衣子
出演:
近藤公園/田代万里生/松尾諭(トリプルキャスト・五十音順)
2025年7月26日(土)~8月3日(日)
会場:東京・シアタートラム
【愛知公演】
2025年8月23日(土)・24日(日)
会場:春日井市東部市民センター
※近藤公園(8月24日(日) 出演)/松尾諭(8月23日(土) 出演)のダブルキャスト(五十音順)で上演
チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2559042
公式サイト:
https://setagaya-pt.jp/stage/25010/
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