「クリスチャン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル2025」世界最高峰のピアニズムがここに
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すべて見る“世界最高峰のピアニスト”クリスチャン・ツィメルマンがやってくる。それにしても、7月26日からチケット販売が開始されるにもかかわらず、コンサートを選ぶ基準の重要な要素のひとつであるプログラムがまだ決まっていないことにびっくりだ(決まり次第web等で発表予定)。
そこが世界最高峰のピアニストたる所以なのだろう。何を弾こうが聴いてみたいピアニストの筆頭。それこそがツィメルマンの存在感を如実に表しているに違いない。
折しも今年2025年は、ツィメルマンの存在を世に知らしめた「ショパン国際コンクール」の開催年だ。ショパンの祖国ポーランドの首都ワルシャワで、ショパン(1810-49)の命日である10月17日の前後に5年に一度開催される「ショパン国際ピアノ・コンクール(以下ショパン・コンクール)」は、現存する世界最古の国際コンクールにして、“クラシック界屈指の登竜門”だ。
人気と評価の高さの理由は、綺羅星のように並ぶ過去の優勝者にある。マウリツィオ・ポリーニ、マルタ・アルゲリッチ、クリスチャン・ツィメルマン、スタニスラフ・ブーニンなど、クラシック界のスーパースターたちを輩出してきた実績は、他の国際コンクールとは段違い。2005年の第15回以降は、インターネットでの動画配信もスタートし、さらなるファン層拡大に成功している。2021年の第18回は、オリンピック同様、コロナ禍によって当初の開催予定2020年から1年ずれ込み、本公演のソリスト、ブルース・リウが、6年ぶりの優勝者となったほか、反田恭平が2位入賞に輝いたことも大きな話題となっている。
その成り立ちは、19世紀から20世紀初頭にかけて著しく歪められたショパン作品の演奏と解釈を、本来あるべきスタイルに戻すことを意図した、ワルシャワ音楽院ピアノ科教授イェジ・ジュルヴレフの提唱がきっかけとされる。記念すべき第1回は、1927年1月23日から30日までの8日間、ワルシャワ・フィルハーモニーの大ホールで、予選・本選の2段階方式で開催されている。参加者は8カ国26名(第18回は18カ国87名が参加)というこぢんまりとしたもので、優勝者はソ連のレフ・オボーリン。参加者の中には後に20世紀を代表する作曲家となるショスタコーヴィチの名が刻まれているのも印象的だ。
ツィメルマンが優勝したのは、1975年の第9回。第2位となったディーナ・ヨッフェの評価も極めて高く、ツィメルマンの優勝を疑問視する声も多数あったことが思い出される。コンクール開催から半世紀を過ぎた現在、世界最高のピアニストとして君臨するツィメルマンの姿こそは、まさにコンクールの理想系といえそうだ。
さてさて、今年のツォメルマンは一体何を披露してくれるのだろう。ショパン・コンクールの開催年だけに、様々な思いが頭をよぎる。
「クリスチャン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル」

■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2559714
11月21日(金)
兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
11月23日(日・祝)
愛知県芸術劇場 コンサートホール
11月26日(水)
ミューザ川崎シンフォニーホール
12月3日(水)、12月8日(月)
サントリーホール 大ホール
12月18日(木)
東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアル
クリスチャン・ツィメルマン Krystian Zimerman (ピアノ, Piano)

ツィメルマンの初舞台は1962年の7歳の少年時代まで遡る。18歳で「ショパン国際ピアノコンクール」で優勝。翌年、レコード・デビューして以降、ヘルベルト・フォン・カラヤン、小澤征爾ら多くの巨匠と共演。指揮者で作曲家のレナード・バーンスタインとは15年以上にわたる交流があった。ショパン没後150周年(1999年)の前年には、ポーランド出身の音楽家で編成した「ポーランド祝祭管弦楽団」を結成。ベートーヴェン生誕250周年(2020年)には、この楽聖のピアノ協奏曲を全曲再録音した。
1978年以来、たびたび来日し、2021年12月のサントリーホールの公演が日本での275回目の公演となった。2003年には東京にも自宅を構えたほどの親日家。「ピアニストは楽器に興味をもつべきだ」が持論。自ら調律し、組み立てるなどピアノのメカニズムや音響学に精通し、作品解釈を極めることが、精緻で繊細な演奏を支えている。
フランスのレジョン・ド・ヌール勲章受賞(2005年)、ポーランドにおける民間人の最高勲章である、星付きコマンドルスキ十字勲章”Polonia Restitua Commandeur Cross with Star”(2013年)など、栄誉ある名誉博士号や勲章を受賞。2022年には第33回高松宮殿下記念世界文化賞音楽部門を受賞。2023年英『グラモフォン賞2023』「録音賞(ピアノ部門)」を「シマノフスキ:ピアノ作品集」で受賞。
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