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音を20以上重ねて描く緊迫感! ブラジル映画初の快挙を達成した『アイム・スティル・ヒア』本編映像公開

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『アイム・スティル・ヒア』 (C)2024 VIDEOFILMES / RT FEATURES / GLOBOPLAY / CONSPIRAÇÃO / MACT PRODUCTIONS / ARTE FRANCE CINÉMA

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8月8日(金)に公開される映画『アイム・スティル・ヒア』より、本編映像が公開された。

本作は、第97回アカデミー賞でブラジル映画初の国際⻑編映画賞を獲得したほか、主演女優賞、作品賞にもノミネートされたウォルター・サレス監督(『セントラル・ステーション』『モーターサイクル・ダイアリーズ』)の最新作。1970年代の軍事独裁政権下のブラジルを舞台に、政治的弾圧で行方不明になった元連邦下院議員ルーベンス・パイヴァと、その夫を必死に探しながら家族を守り続けた妻エウニセの実話をもとに、家族の苦悩と再生、そして抵抗の物語を描く。

公開されたのは、夫の帰りを待ち続けていた妻エウニセ(フェルナンダ・トーレス)が拘束され、尋問を受ける緊迫したシーン。突如として軍に連行され消息を絶った夫ルーベンスの帰りを待ち続けていたエウニセだったが、彼女自身も娘とともに軍に拘束され頭巾で視界を奪われたまま、“どこか”へと連れていかれる。そしてその場所で、容赦ない尋問を受けるエウニセ。「彼は当時から共産主義者と関係が?」「なぜ今もテロリストと関係が?」執拗に続く問いかけと暗闇から響く正体の見えない叫び声。映像は、身体的な暴力を超えて、精神がじわじわと追い詰められていく心理的恐怖を静けさと同時に生々しくあぶり出す強烈なシーンとなっている。

近年のブラジル映画では、拷問シーンを直接的に描く作品も少なくないが、本作では暴力を視覚的に「見せる」のではなく、“音”によってその不在を際立たせる手法が取られている。こうした演出には、実際に父の失踪を経験した原作者マルセロ・ルーベンス・パイヴァの「拷問を描かないでほしい」という強い要望が反映されているという。サレス監督はその想いを尊重し、「見せないものが、しばしば最も強い印象を残す」という信念のもと、拷問の現場を映さず、暗闇に響く暴力の音だけで観客に伝える構成を選んだ。

その“音”の演出を最大限に引き出すため、音響チームによって重ねられた音声レイヤーは20以上。観る者の想像力を介して恐怖と不条理を深く浸透させることに成功した。「この映画を形にする7年の間に、ブラジル社会は再び過去の暗い影へと危うく傾いた。まさにその現実が、この物語を“今”語らねばならないという切迫感を、私にいっそう強く抱かせた」と語るサレス監督は、「同じ過ちを繰り返さないための作品が必要だ」とも言葉を寄せている。

『アイム・スティル・ヒア』本編映像

<作品情報>
『アイム・スティル・ヒア』

8月8日(金)公開

公式サイト:
https://klockworx.com/movies/imstillhere/

(C)2024 VIDEOFILMES / RT FEATURES / GLOBOPLAY / CONSPIRAÇÃO / MACT PRODUCTIONS / ARTE FRANCE CINÉMA