Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > セイジ・オザワ 松本フェスティバル「夏の夜の夢」記者懇親会レポート

セイジ・オザワ 松本フェスティバル「夏の夜の夢」記者懇親会レポート

クラシック

ニュース

チケットぴあ

続きを読む

フォトギャラリー(8件)

すべて見る

長野県松本市で8月11日に開幕する「2025セイジ・オザワ 松本フェスティバル」において上演されるオペラ「夏の夜の夢」の指揮を務める沖澤のどか(OMF首席客演指揮者)と演出・装置・衣裳を担当するロラン・ペリーが東京オペラシティ(東京・初台)にて行われた記者懇親会に出席。本作への思いや松本での上演への期待を語った。

沖澤は本作について「パロディやオマージュ的な要素が散りばめられていて、知れば知るほど面白いですし、そうした細かいネタを知らなくとも幻想的な音楽やコミカルな音楽がてんこ盛りで魅力的なオペラです」と語り、さらに「ブリテンの英国的なユーモアセンスを感じます 演出を付ける前の段階の音楽で、私たち昭和生まれとしてはドリフ的な笑い、吉本新喜劇的なお決まりのところもあって、オペラに対して『敷居が高い』と感じてらっしゃる方も、喜劇として楽しめると思います」とその魅力を強調。

ペリーの演出に関しても「幕が上がった瞬間に『夏の夜の夢』の世界に誘ってくれる魔法のような演出で、特別な仕掛けがあるわけじゃないのにとにかく美しく、音楽に合っていて齟齬がない――それは、言うのは簡単ですが、実は最近はあまりないと思います」と称える。

この取材会の前日には、職人たちのシーンの立ち稽古を行なったことを明かし「みなさん、芸達者で歌もうまいし、自分たちからアイディアもどんどん出てくる楽しい現場です。妖精のシーンでは、松本の合唱団のかわいらしい子どもたちが一生懸命取り組んでいます。サイトウ・キネン・オーケストラは、3年前の『フィガロの結婚』の序曲の音が出た瞬間、度肝を抜かれたスーパーオーケストラです。ブリテンの機微を徹底的に表現してくれると思います」と充実した表情で語った。

ペリーは松本フェスティバルでは、2008年に小澤征爾指揮によるヤナーチェク「利口な女狐の物語」の演出を務め、2013年にはラヴェル「こどもと魔法」、「スペインの時」、そして2022年にはモーツァルト「フィガロの結婚」を演出。しかし、22年はコロナ禍で来日がかなわず、今回、久々に松本を訪れることに。ペリーは「忘れがたい思い出がたくさんある松本をまた訪れることができるのは大きな喜びです」と笑顔を見せる。

この「夏の夜の夢」についてペリーは「ほかのシェイクスピア作品と比べて、シェイクスピアの言葉に重きを置き、忠実に作られているところが特徴的です。詩的で暴力的でもあるし 深い愛――究極の煮えたぎるような愛を求めていく欲望の世界を見事に近代的に表している点にいまでも驚愕しています」と語り、音楽に関しても「ブリテンの音楽がシェイクスピアの素晴らしい作品の滑稽さ面白さ、詩的な情緒をさらに高めてくれている」とその魅力を熱く語った。

演出にあたっては「大きなテーマである欲望――なぜ人は人を愛するのか? なぜ人は人を愛さなくなるのか? そこには美しさもミステリアスな部分もあり、それに留意した演出をしたいと思っています。音楽の持つ魔法の力と欲望のミステリアスな要素をどう融合させるかを考えた時、タイトルにもある“夢”の部分にフォーカスをあてることにしました。物語は非現実的な世界から出発します。もうひとつのポイントは“闇”です。私はすべてを見せるのではなく、隠すところにこそ真意があると思っています。観客に見せていない部分に想像力を持って見ていただけるようにすることが大事であり、そんなシーンがたくさん織り交ぜられています。観客のみなさんを『ここはどこなのか?』『自分が見ているものは現実なのか?』と迷わせたいと思っています」と語り、舞台装置は可動式の鏡張りとなっていることも明かしてくれた。

沖澤とペリーは、松本という地で上演することの意義についても強調。沖澤は「まず、セイジ・オザワ 松本フェスティバルに来れば、日本で一番優れたオペラが見られるというのが、このフェスティバルの大きな意義だと思います。リハーサル期間が長く、ひとつの家族のように同じ街で過ごし、作品をつくり上げていく影響も大きいです。自然豊かという意味で言うと松本は、朝晩は涼しいですし『夏の夜の夢』の世界観とも近いと思います」と語り、ペリーも沖澤の言葉に「同感です」と深く同意。「これだけ稽古期間が長いというのは、世界中を見てもなかなかないと思います。裏方も含めチームのレベルが高いです。私は世界中の大都市のオペラ座で仕事をしてきましたが、それとは打って変わって、松本という大自然の中の小さな街で、ソリストたちがホテルから歩いて劇場に来るというのは特別な環境だと思います。みんなリラックスしていて、長い時間を共に過ごすのでチームワークも素晴らしく、特に今回の『夏の夜の夢』は非常にチームワークが大切なので、松本でこの作品を上演できることに大きな意義を感じています」と語った。

オペラ「夏の夜の夢」は8月17日、20日、24日、まつもと市民芸術館・主ホールにて上演。

2025セイジ・オザワ 松本フェスティバル
オペラ
ブリテン:《夏の夜の夢》

©Simon Gosselin

■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2559543

8月17日(日) 開演15:00
8月20日(水) 開演17:00
8月24日(日) 開演15:00
まつもと市民芸術館・主ホール

演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮:沖澤のどか(OMF首席客演指揮者)
演出・装置・衣裳:ロラン・ペリー
装置補:マッシモ・トロンカネッティ
衣裳補:ジャン=ジャック・デルモット
照明:ミシェル・ル・ボーニュ

出演:
オーベロン:ニルス・ヴァンダラー
タイターニア:シドニー・マンカソーラ
パック:フェイス・プレンダーガスト
シーシアス:ディングル・ヤンデル
ヒポリタ:クレア・プレスランド
ライサンダー:デイヴィッド・ポルティーヨ
ディミートリアス:サミュエル・デール・ジョンソン
ハーミア:ニーナ・ヴァン・エッセン
ヘレナ:ルイーズ・クメニー
ボトム:デイヴィッド・アイルランド
クインス:バーナビー・レア
フルート:グレン・カニンガム
スナッグ:パトリック・グェッティ
スナウト:アレスデア・エリオット
スターヴリング:アレックス・オッターバーン
児童合唱:OMF児童合唱団

フォトギャラリー(8件)

すべて見る