「俺たちは絶対にOrganic Callを辞めない」新章突入したOrganic Callの全国6大都市ツアーファイナルをレポート
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Organic Call『 New Chapter Tour 2025 』7月18日 神戸・太陽と虎 (Photo:長井桃子)
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すべて見るText:梶原由紀子 Photo:長井桃子
Organic Call の6大都市ツアー『New Chapter Tour 2025』のファイナル公演が7月18日神戸太陽と虎で、Bye-Bye-Handの方程式とEVE OF THE LAINを迎えて行われた。
2025年の年頭にOrganic Callは所属事務所が決まり、新しい体制のもとでツアーが発表され新曲のリリースなどバンドを巡る動きは活発だ。ツアータイトルに掲げた「New Chapter(新章)」へと突入した彼らを体感すべく、ライブ会場へ向かったが、驚くことに彼らがこのツアーで伝えたかった「New Chapter」は予想外のものだった。だが、それこそが彼らがOrganic Callを愛する一人ひとりと分かち合いたかったものであることは間違いない。分かち合い、ともに新しい扉を開け新章へ踏み出そうーーそんな未来へのささやかな希望が見えた特別な夜だった。
トッパーを任されたのはBye-Bye-Handの方程式。いきなり「ロックンロール・スーパーノヴァ」「darling rolling」を投下し、汐田泰輝(vo/g)が「頭の上で手拍子!」と呼びかけるとすぐさまリアクションがあり一気に会場の熱が高まる。そうかと思えば泰輝がハンドマイクで歌った「夏風サンセット」はメロウな旋律がハートを揺らす。「俺らOrganic Callのツアーのお誘いを断ったことない。舐められてる(笑)。それぐらい呼んでくれてうれしいです!」と愛あるイジりをし、8月から始まる『MODEL ANSWER TOUR』の仙台公演にOrganic Callの出演が決まっていることも紹介。「逆オファーっていうか、『どこでもいいから呼んでくれ』って連絡あって(笑)」と仲の良さがわかるエピソードを明かす。清弘陽哉(ds)が7月24日のライブを持ってバンドを卒業することを伝えた後に歌った「風街突風倶楽部」の「どこまでも続いてゆけ/僕らの物語」の一節はいつも以上に強く響いた。

登場SEが聞こえるのとほぼ同時に手拍子が起き真っ赤な照明が照らす中、EVE OF THE LAINのステージが始まった。「Organic Callのツアーファイナルおめでたい! 僕らも新曲持ってきました!」と披露した「ワンダーランド」は、惣田航平(vo/g)が「バンド最大のキラーチューン!」と呼ぶ大自信作。続く「BANG!BANG!BANG!」では、「次はOrganic Callだけど、その前にみんなの喉と体力と汗を全部出し切って終わりましょう(笑)」と先のBye-Bye-Handの方程式同様に、本日の主役をイジる。ライブのオープニングアクト募集をきっかけに2023年にOrganic Callと出会ったことを振り返り、リスペクトの思いと今日この場所で出会うことのできたフロアのみんなに感謝の思いを言葉にして伝える。ギターロックを軸に四つ打ちやメタル、パンクなど豊富な引き出しを見せつけつつ、最後まで賑やかで楽しいステージを繰り広げた。

「当たり前だけど今までで一番いいライブをしにきた。from東京、Organic Callです。やろうぜ」というヒラタナオヤ(vo/g)の雄叫びのような第一声が口火を切り、「ハッピーエンドロール」が始まると、会場中に熱い手拍子が鳴り響いた。1曲目にして早くもクライマックスのような盛り上がり。
新曲「トーキョーフライデーナイト」はこれまで知らなかった彼らの一面がフィーチャーされた、ダンスチューンといってしまいたい曲で、軽快なリズムに特大のハンドクラップが押し寄せる。街にもネットの中にも人は溢れているけれど、大勢の中にいる時にこそ孤独を感じる瞬間は多い。そんな時に、この曲は隣にいてくれるのかもしれない。

「関西でツアーファイナルをやるのは初めて」と言い、ゲストの2組はOrganic Callにとって「めっちゃ仲が良いいバンド」とヒラタは話す。たしかにこの日、前の2バンドはヒラタやカワカミトモキ(g)を愛情たっぷりに容赦なくいじっていた。
理想と現実の間でジタバタするみたいに身をよじり、ありったけの想いを放出するように歌い演奏された「大人になんて」。「今日は特別な夜だから」とゲストボーカルのナナジュウハチを迎えた「Night Forever」ではヒラタはギターを置いてハンドマイクで。

後半のMCでは、「普段はあまり言わないけど」と前置きしてヒラタがOrganic Callのこれまでについて語り始めた。20歳の時に始まって今年で8年。メンバーチェンジ以外にもいろんな変化がある中で、ある時いよいよカワカミとふたりになった。自分は音楽をひとりで始めたはずだけど、やっているうちにメンバーの顔と同じぐらい、自分たちや自分たちの音楽を応援してくれる人の顔が浮かぶようになっていた。

4人でバンドをやりたかったけどふたりになり、「辞めてもいいかな」と1ミリぐらい思ったかもしれない。メンバーの脱退が決まった日、帰りの電車でトモキと「ふたりになるね、どうする?」と話したら、カワカミが「いや、やろう」と言った。その一言に諦めるわけにいかねえと思い今の今まで自分は走ってきた。それからタカハシシモン(b)が加わって3人になった──そこで一瞬の間があっただろうか。改まって、「本日をもってドラマーのオオシロユイはサポートが終了し、正式に加入。3年半ぶりにメンバー全員揃ってのスタートです」と発表した。オオシロはドラムの位置で立ち上がって一礼した。


思いがけないニュースに目尻を拭う人もいれば、ほとんどの人が歓喜の拍手。さらにヒラタは、「メンバーがひとり抜けた2021年からずっと時が止まってるような感覚があって。俺ずっと4人でバンドやりたいって思ってて、やっと第2章って言えます。どうしようもなくて辞めてもいいかなと思った時に支えてくれたのは友達のバンドマンで、ずっと聴いてくれるリスナーで、良いと言ってくれるライブハウスだった」と言葉を継いだ。今日この場を共に作ったゲストバンドも、フロアを埋めた一人ひとりも、誰ひとり欠けることなくこの場に必要な人達だったのだ、次に歌った「さよならユートピア」は、ヒラタやカワカミを含む一番最初のメンバーでスタジオに入り最初に合わせた曲だ。歌い終え、「約束をしよう、俺は絶対にOrganic Callを辞めない」と叫ぶように言い切った。

隣でフロントマンがどんなアグレッシブなパフォーマンスをしようと動じることのないタカハシを「俺の友達」とヒラタは紹介した。最後の「アワーソング」でヒラタはギターを投げるようにステージに残し、マイクを手にフロアへ降りてオーディエンスの中で絶唱した。歌い終える瞬間まで、命の脈動を感じさせる声だった。
アンコールを求める声がやまない中、ヒラタがふらりとステージにやってきて言った。「アンコールはいつかワンマンをやる時までとっておきます。また会いましょう」と。
さっきライブが終わってステージを去る時、一番最後になったオオシロが深々とフロアに向かって頭を下げていた。Organic Callの新章突入の瞬間はしかと見届けた。この先に広がる未来に期待が膨らんでいる。

<公演情報>
『New Chapter Tour 2025』
2025年7月18日 兵庫・神戸太陽と虎'
出演:Organic Call / Bye-Bye-Handの方程式 / EVE OF THE LAIN
<次回公演情報>
Organic Call pre. 日輪音楽祭
2026年2月8日(日) 神奈川・川崎CLUB CITTA'
開場 12:15 / 開演 13:00
出演:Organic Call ほか
料金:スタンディング5,400円
▼7月31日(木) 23:59まで先着先行受付実施中
Organic Call 公式サイト:
https://organiccall.com/
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