市川崑監督『野火〈4K版〉』船越英二が渾身の役作りで挑んだシーンを切り取った本編映像&場面写真公開
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『野火〈4K版〉』 (C)KADOKAWA 1959
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8月1日(金)から公開される『野火〈4K版〉』より、市川崑監督こだわりのシーンを切り取った本編映像と場面写真が公開された。
『野火』は市川崑監督による1959年の作品。第二次大戦下のフィリピン・レイテ島を舞台に、病魔に蝕まれた兵士が目の当たりにした陰惨な戦場を描いている。今年、終戦80年企画として『ジョニーは戦場へ行った〈4K版〉』とともに角川シネマ有楽町ほかにて4K版が全国公開される。
主演の船越英二は、本作のために絶食し頬がゲッソリするまで体重を激減させ、爪も伸ばしっぱなしで主人公・田村を演じた。ロバート・デ・ニーロが肉体・頭脳を強烈に役に近づける“デ・ニーロ アプローチ”を最初に取り入れたのが1970年代なので、それよりもずっと前のことになる。当時二枚目俳優として和製マルチェロ・マストロヤンニと呼ばれた船越が、イケメンを封印した役作りで出演している。
公開されたのは、日本軍の敗戦が濃厚となり、生き残った兵士たちが皆、集結地のパロンポンへ向かう途中を切り取った本編映像。終戦間近で体力も気力も絶え絶えとなり、もう一歩も動けない主人公の一等兵・田村(船越英二)に、ある兵士が話しかけてくる。「長い雨季ですねぇ」と言いながら田村の前で膝をつくと同時に倒れ込みそのまま息を引き取った男を、空虚な表情で眺める田村。どんなに美しい島であろうとも、戦争がすべての感情を奪い何も感じなくなることを映像美で表現した、市川崑監督渾身の悲痛なシーンとなっている。

また、岩井俊二(映画監督)、樋口泰人(映画批評家)、塚本晋也(映画監督)からコメントが到着。さらに、2014年に制作された塚本版『野火』も毎年夏に上映されることもあり、角川シネマ有楽町で行われるトークショーに塚本監督が登壇することも決定。そのほか、映画評論家の町山智浩や樋口泰人(ジョニー)、日本映画史研究家の春日太一(野火)のトークイベントも開催される。
<コメント>
■岩井俊二(映画監督)
戦場に送られる者たちに敵も味方もない。理不尽な戦闘を強いられる犠牲者だ。
時代は21世紀になったが、今もなお戦争は止まない。
■樋口泰人(映画批評家)
デヴィッド・リンチがこの世を去った同じ年にこの2本を観ることができる偶然は果たして偶然なのか?
ジャンルとしての「戦争映画」からははるかに遠い戦争映画が描き出す究極の人間の姿は、しかし今ここを生きるわれわれの姿にも見えないか?
■塚本晋也(映画監督)
一兵士の真実の内面に迫った『野火』『ジョニーは戦場へ行った』。戦争への足音が近づく世界の状況で、戦争を始める人たちの目線でなく、一般人の目線で戦争の恐怖を描ききったこの2作品を観ることはとても重要なことだ。
『野火〈4K版〉』本編映像
<イベント情報>
「終戦80年企画上映トークショー in 角川シネマ有楽町」
1.『ジョニーは戦場へ行った〈4K版〉』
8月2日(土)10:30の回(上映後リモート登壇)
ゲスト:町山智浩(映画評論家)
MC:松崎健夫(映画評論家)
2.『野火〈4K版〉』
8月3日(日)17:30の回(上映後登壇)
ゲスト:春日太一(映画史・時代劇研究家)
3.『ジョニーは戦場へ行った〈4K版〉』
8月6日(水)19:40の回(上映後登壇)
ゲスト:樋口泰人(映画批評家)
MC:松崎健夫(映画評論家)
4.『野火〈4K版〉』
8月9日(土)10:30の回(上映後登壇)
ゲスト:塚本晋也(映画監督)
MC:松崎健夫(映画評論家)
詳細はこちら:
https://www.kadokawa-cinema.jp/theaters/yurakucho/news/170/
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