香川照之主演の連続ドラマW『災』を劇場用映画としてリビルド 第73回サン・セバスティアン国際映画祭のコンペティション部門に正式招待
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斬新な映像表現が国内外で注目を集める関友太郎・平瀬謙太朗(監督集団5月)が監督・脚本を務める最新作『災 劇場版』が2026年に公開される。
WOWOWで放送された連続ドラマW『災』を劇場用映画としてリビルドした本作は、交わることのない“6人”とそれぞれの日常に、いつの間にか紛れこんでいるひとりの“男”が描かれる。その異質さに気づく者は誰もいない中、唯一すべてを見渡している観客だけが、男の存在に底知れぬ恐怖を抱くことになる。そして6人の人生には、何の前触れもなく"災い"が降りかかる──。各話完結する全6話の物語を、時系列や展開を大胆に再構築することで、世界観やテーマ性を引き継ぎながらもまったく新しい新作映画として生まれ変わらせた。
災いをもたらす名もなき男を演じるのは、両監督の前作『宮松と山下』でも主演を務め、本作で再タッグを果たした香川照之。また、男を追う刑事役を中村アンが演じるほか、竹原ピストル、宮近海斗、中島セナ、松田龍平、じろう(シソンヌ)、内田慈、藤原季節、坂井真紀、安達祐実、井之脇海といった俳優陣が集結した。
また、現地時間9月19日(金)から27日(土)に開催される第73回サン・セバスティアン国際映画祭のコンペティション部門に正式招待され、日本での公開に先駆けて同映画祭でワールドプレミア上映されることが決定。同映画祭はスペイン語圏最大の映画祭であり、ヨーロッパで重要視される映画祭のひとつ。近年では『百花』で川村元気監督が監督賞、『大いなる不在』で藤竜也が最優秀俳優賞を、ともに日本人初となる受賞を果たし話題となった。関・平瀬は、これまでに短編映画2作がカンヌ国際映画祭に正式招待され、長編デビュー作『宮松と山下』ではサン・セバスティアン国際映画祭のNew Directors部門に正式招待された。今回、両監督は2作連続でのサン・セバスティアン国際映画祭への招待となり、コンペティション部門へのステップアップを果たした。
香川は「5月組の監督たちと初めて組んだ『宮松と山下』も充分に狂った作品だったが、今作『災』は6話連続だった長尺のドラマ版でさえ難解奇妙な物語だったものを、三分の一の尺の2時間の映画に編集し直してさらに混迷を極め、理解不能が大前提のような狂作へとぶっ返り、それを二作連続で自身の映画祭に、しかも今回は猛者たちが群雄割拠するコンペティション部門へ招いたというサン・セバスティアンの勇猛果敢さには心底頭が下がる」とコメントしている。
また関は「ドラマから産声をあげた風変わりな映画が、サン・セバスティアンという世界的な舞台に呼んでもらえたこと、本当にうれしく思います。8人の男をさも当たり前のように怪演してくださった香川さんをはじめ、『災』の世界を作り上げた俳優・スタッフの全仕事がただただ誇らしいです」と喜びのコメントを寄せた。
平瀬は「意味もなく、前触れもなく、慈悲もなく、悪意すらなく私たちの人生を壊すものを、人は“災い”と呼びました。その“目に見えぬ恐怖”を“今までにない形”で描こうと試み、この『災』という作品が生まれました」と作品への思いを明かし、「まずは世界に問うことになりましたが、2026年にはこの“恐怖”と“形”を皆様にもお届けします」とコメントした。
■香川照之 コメント全文
「5月」組の監督たちと初めて組んだ『宮松と山下』も充分に狂った作品だったが、今作『災』は6話連続だった長尺のドラマ版でさえ難解奇妙な物語だったものを、三分の一の尺の2時間の映画に編集し直してさらに混迷を極め、理解不能が大前提のような狂作へとぶっ返り、それを二作連続で自身の映画祭に、しかも今回は猛者たちが群雄割拠するコンペティション部門へ招いたというサン・セバスティアンの勇猛果敢さには心底頭が下がる。シーンの順番は滅茶苦茶、私が演じる多岐にわたる人物像がさらにそれを混沌とさせ、一体現地の人たちはどこまでこれを理解するというのだろう。
そして来年、本作は劇場公開されると聞いた。もととなったドラマ版をその後でも見ることができる我々は、まだ筋の答え合わせをする機会があるだけ恵まれている。
世界屈指の美食の街サン・セバスティアン。何はともあれ、そこから黒船は出発する。心配である。
■関友太郎 コメント全文
ドラマから産声をあげた風変わりな映画が、サン・セバスティアンという世界的な舞台に呼んでもらえたこと、本当にうれしく思います。8人の男をさも当たり前のように怪演してくださった香川さんをはじめ、『災』の世界を作り上げた俳優・スタッフの全仕事がただただ誇らしいです。映画愛が溢れかえっているあの街で、この得体の知れぬ作品がどう受け止められるのか……。緊張と興奮が渦巻いたまま上映当日を迎えることになりそうです。
■平瀬謙太朗 コメント全文
意味もなく、前触れもなく、慈悲もなく、悪意すらなく私たちの人生を壊すものを、人は「災い」と呼びました。それは、恐ろしいほど乱暴な現象にも関わらず、いざ相対するまで、一体、どこに潜んでいるのか感じ取ることすらできません。その“目に見えぬ恐怖”を“今までにない形”で描こうと試み、この『災』という作品が生まれました。
“今までにない形”ということを大切にしたので、結果、ドラマと映画、それぞれまったく違う作品になりました。映画『災』は、映画にしかできない形で、観る人の胸中に“目に見えぬ恐怖”を静かに呼び起こします。
この試みが世界に届いたことをうれしく思うのと同時に、世界中から集まった映画を愛する観客が、この映画から何を受け取り、何を感じるのか、すこしだけ緊張しています。
そして、まずは世界に問うことになりましたが、2026年にはこの“恐怖”と“形”を皆様にもお届けします。
<作品情報>
『災 劇場版』
2026年公開
(C)WOWOW