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高杉真宙、29歳の所信表明「影響を与えられる作品に関わっていきたい」

映画

インタビュー

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高杉真宙 (撮影/梁瀬玉実)

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僕、取材を受けるの好きなんですよね、と屈託なく彼は言った。

「人から質問をされることって普段の生活ではあまり多くないじゃないですか。聞かれることで自分を振り返ることができる。そこが面白くて、好きです」

俳優・高杉真宙。7月で29歳になった。デビューは13歳のとき。人生の半分以上を芸能界というちょっと不思議な場所で過ごしている。人見知りが激しかったという彼も、気づけばよく話し、よく笑うようになった。

20代の出口に立った高杉真宙は今どんなことを考えているのだろうか。

独立から5年、高杉真宙は何が変わったか

かつて26歳になったばかりの高杉真宙に取材したとき、自らのフェーズについて人生の第3部くらいと位置付け、「第1部が初心者編、第2部が第1次成長編とするなら、第3部は“冒険編”。漫画で言うといちばん熱い展開ですよね。盛り上がれ〜(笑)」と笑って話していた。あれから3年。“冒険編”の成果について水を向けると、「今も冒険の最中です」と充実した表情を浮かべる。

「独り立ちしたのが24歳のとき。やっぱりそこからずいぶん変わった気がします。自分でも実感するのが、見えるものが多くなった。昔はもっと自分のことばかりだったんですよ。でも今は、関わる作品に対して自分はどう影響を与えられるかということを考えるようになったし、後輩だったり、さらにその下の世代にも興味が向くようになった。年齢がすべてとは思わないですけど、年をとるごとに経験は増えていく。だから、年齢を重ねるって素晴らしいことだなと思いますね」

自らの仕事が社会にどんな影響を及ぼすかについても深く意識を傾けるようになった。

「今って何に時間を使うかに、みなさんすごくシビアになっていますよね。腰が重い中、映画なら2時間、ドラマなら1時間という時間を、作品を観るために使っている。その重大さを、年々強く感じるようになりました」

ゲームにYouTube、音楽、本などのエンターテインメントから、旅や食などライフスタイルにまつわるものまで、何に可処分時間を費やすかは人それぞれ。無数の選択肢があるからこそ、自分の関わる作品を選んでくれた人に対して背負うものは大きい。

「だから僕は、どんな作品も観る前と観た後で何か変化があるべきだと考えているんです。その変化自体はポジティブなものでもネガティブなものでも、どちらでも良くて。観た後に思わず気持ちが重くなるような作品だったとしても、そこで描かれている現実そのものは、この世界のどこかで起きているかもしれないこと。フィクションを通じて、知ること自体に意味がある。僕自身もちゃんと影響を与えられる作品に関わっていきたいなと思っています」

映画の中で背負った、常盤拓の役割とは

そんな高杉真宙が次なる挑戦のステージとして臨んだのが、劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』だ。2021年に連ドラが放送。決して死者を出さないというミッションを胸に、危険を顧みず患者の命を救うチーフドクター・喜多見幸太(鈴木亮平)らTOKYO MERの活躍は多くの視聴者に勇気と感動を与えた。

2023年には初の劇場版が公開、興行収入45.3億円という大ヒットを記録した。本作はそれに続く劇場版第2作。南の離島を舞台に、TOKYO MERも経験したことのない、大規模医療事案に南海MERと喜多見たちが立ち向かう。

「亮平さんをはじめ、みなさんの中にここまで積み上げてきた歴史がある。出来上がったチームに入ることに対して、自分に務まるだろうかという緊張が最初はありました」

高杉が演じるのは、南海MERの一員・常盤拓。看護師として現場の最前線に立つだけでなく、操舵士として船の舵を取るなど、大海原を拠点とした南海MERの機動力を担うポジションだ。

「常盤をはじめ、南海MERのメンバーはTOKYO MERの活躍を見て、自分もあんなヒーローになりたいと憧れ、努力をしてきた人たち。だから気合いはすごく入っているんです。でも、現実は思い描いていたものとまったく違っていて、フラストレーションが溜まっている状態から物語は始まる。この映画における常盤の役割は、ヒーローになりたいという憧れから脱却して、変わっていくことなんです」

憧れは、時に目を曇らせる。憧れることをやめることで、人は自分自身と向き合えるようになるのだ。

「喜多見先生も、TOKYO MERの人たちも、みんなヒーローになりたくて、MERの仕事をやっているわけじゃないんですよね。医療従事者として、目の前の命を助けたくてやっているだけ。そこに気づくことで、常盤は変わっていく。人にはみんなそれぞれの役割がある。それは、TOKYO MERと南海MERについても同じです。そういう作品のメッセージを体現する一人として、常盤もいられたらという思いで演じました」

高杉真宙が、撮影の空き時間に台詞を練習する理由

撮影の空き時間は、次のシーンに向けて一心に台詞を暗唱して過ごした。芝居に対する真面目な姿勢はキャリアを重ねても変わらない。

「家で練習していないわけじゃないんですよ(笑)。ちゃんと家でも練習してきた上で、さらに何かできることはあるんじゃないかと思って、ひとりでブツブツ言っちゃうんですよね」

共演の江口洋介からは、「そんなに練習しなくてもいいんだよ」とアドバイスをもらったと言う。

「『ちゃんとやれるんだから、やりすぎなくていい』と言ってくださって、そのカッコよさが胸に染み渡りました。江口さんは長年いろんな現場を背負ってきた方。その経験値があるから、現場の居方がすごくフラットなんです。あのマインドは、僕にはないもの。僕はずっと緊張してるし、どこかでそんなふうに“現場に振り回されたい”自分も感じています」

本番を前に、臆病な自分。裏返すと、それは高杉真宙のストイックさの表れでもある。だが、当の本人は照れ隠しのようにこう本音を明かす。

「単に椅子に座って余裕こいた結果、本番でできなかったときの自分が恥ずかしくて、やってるだけだと思います。もっとこんなふうにできたらいいなというイメージが自分の中にあって、そこに近づくためにとにかく練習する。真面目というより、結局はただ落ち着くから、ずっとブツブツ(台詞を)言ってるんでしょうね」

芝居という正解のない世界。何万回素振りをしたところで、狙い通りの球が来るかなんてわからないし、ホームランを打てるとも限らない。それでも、その精度を少しでも高めたくて、高杉真宙は黙々とバットを振る。なぜなら、彼は信じているからだ。本気で演じれば、見てくれる人が必ずいると。

「『ライフ・イン・ザ・シアター』という舞台をやったときに、観てくださった方からお手紙をいただいて。『このときのこの間(ま)でこういうことを思ったのかな』というようなことが書かれていたんですけど、それが僕がこうしたいと思っていたこととまったく同じだったんです」

会話のテンポ感。かすかな語尾のニュアンス。ほんの一瞬の表情の変化。それらは、物語という大きな布を編む1本の糸に過ぎない。見落としても、物語の素晴らしさが損なわれることはない。あくまで、役に嘘のない命を吹き込むための、俳優のささやかなこだわりだ。

「僕自身、別に伝わらなくてもいいという気持ちでやっていました。でも、ちゃんと伝わった。きっとそれは、僕の考えに気づくくらいその方が真剣に観てくださっていたからだと思うんですね。そう考えたら、やっぱり手は抜けない。自分のできる全部を注いで本番に挑むことが、僕なりの責任なんです」

そして話は序盤の「影響を与えること」に戻る。高杉真宙が作品の与える影響について真剣に考えるようになったのも、自分のつくったものがちゃんと届いているのだという実感を得られたからだった。

「昔の僕は、作品が与える影響なんて特に必要ないと思っていました。だって、いくらそこについて考えても、与えた影響に対して僕が責任をとれるわけではないから。今ももちろん責任がとれるとは思っていません。だけど、影響を与えられることの喜びや素晴らしさを知ってしまった以上、そこをもっと追求していきたい。むしろ影響を与えたいと思ってやったのに与えられなかったことに対して、ちゃんと責任を感じなくちゃいけないんじゃないかなと今は考えています」

数多の冒険をくぐり抜けた高杉真宙の顔つきは、昔よりもずっと凛々しくたくましくなった。“冒険編”を終え、次なる章に向かうとき、彼はどんな顔をしているだろうか。本人は否定するかもしれないけれど、やっぱりこう思う。

高杉真宙は、ストイックで、真面目で、信頼のできる俳優だ。

高杉真宙のプチ素顔をお届け!

――ではここからはライトな感じで、作品にちなんで高杉さんの素顔を伺います。映画の中で南海MERの行く手にさまざまなピンチが立ち塞がりますが、高杉さんが最近経験したピンチな出来事を教えてください。

なんだろうなあ。思いもよらぬ日差しで、ちょっと焼けました。

――ピンチのスケールが小さい(笑)。

いやいやいや、重大ですよ! ちょっと焼けると、すぐ事務所の人にチクチク言われますからね(笑)。

――日焼け止め塗らなかったんですか。

それが雨予報だったんですよ。で、油断してたら、めっちゃピーカンでやられたっていう。そもそも家から出ない人間なんですけどね。珍しくその日はゲーム友達と2年ぶりくらいに会う約束があって出かけたら、これです。やっぱり家の中にいるのが一番だなと思いました。

――UV対策って普段からどんなことをしてますか。

まったくしていないです。本当、日焼け止めを塗るくらいで。

――日傘とか。

持ってないんですよ。でも、いいらしいですよね。持ってるのと持ってないのじゃ、全然涼しさが違うじゃないですか。だからほしいなとは思っているんですけど……重い(笑)。

――非力か(笑)。

あはは。絶対持ち歩くのを面倒くさいと思っちゃう気がするんですよね。でも、ちょっとこの夏は考えてみようと思います!

――ではもう一つ。1ヶ月くらい沖縄でロケをされていたと聞いています。空いている時間は何をして過ごしましたか。

お気に入りのお店を見つけて、ずっとタコライスを食べていました。たぶん週2〜3回は通っていたと思う。昼にタコライスを食べて、夜はそのお店でテイクアウトしたタコスを食べるというのが、僕のルーティンでした。ホテルから徒歩15分くらいのところにあって、場所的にもちょうど良かったんですよね。

――ずっとタコライスばっかり食べてたんですか。

そうですね。もう一店舗、別のところにタコライス屋さんがあって、最終日にそっちのお店にも行ってみたんですよ。そしたらずっと通っていたお店のほうが断然僕の好みの味で。最後に好きなほうのタコライスで食べ締めできなかったことが、今回の心残りの一つです。いつか沖縄に行く機会があったら、また行きたいですね。

――一応聞きますけど、観光地的なものを巡ったりとかは……?

ずっと部屋でしたね……。あ! 沖縄に来て2日目に亮平さんに誘っていただいて、宮澤(エマ)さんと一緒に美ら海水族館に行きました。それ以外はもうずっと部屋の中。なので、亮平さんに誘ってもらって良かったです(笑)。


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<作品情報>
劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』

2025年8月1日(金)全国東宝系にてロードショー

©2025 劇場版『TOKYO MER』製作委員会

監督:松木 彩(『半沢直樹』『テセウスの船』ほか)
脚本:黒岩 勉(ドラマ『グランメゾン東京』『マイファミリー』、
映画『キングダム』シリーズ、『ONE PIECE FILM RED』)
出演:
鈴木亮平 賀来賢人 高杉真宙 生見愛瑠 宮澤エマ / 菜々緒
中条あやみ 小手伸也 佐野勇斗 ジェシー(SixTONES) フォンチー
江口洋介 / 玉山鉄二 橋本さとし 渡辺真起子 鶴見辰吾 石田ゆり子


撮影/梁瀬玉実、取材・文/横川良明

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