自分らしく、後悔をしないように―ISSEIの新たな挑戦「今すごく楽しくて前向きな気持ちでいます」
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すべて見るもしも世界に恋愛感情というものが存在しなかったら――? マジョリティとマイノリティが逆転した世界の中で生きる主人公を描く『もしもこの世界に「レンアイ」がなかったら』がこの夏ドラマ化。ISSEIが演じるのは、恋愛のない世界で、特定の一人を愛する“レンアイ”で恋愛感情を隠しているハレ。もがきながら、自分らしく生きていくための一歩を踏み出そうとする登場人物たちの姿は自身も深く共感できるという。後悔しないように生きたいから自分を信じて突き進むISSEIの今の想いに触れてみた。
普通って怖いなと思いました

――『もしもこの世界に「レンアイ」がなかったら』はヤチナツさんの漫画が原作です。恋愛することが普通じゃないという独自の世界観で描かれる物語は、大変話題になりました。ドラマのほうは、等身大の恋愛観を斬新な切り口で見せるラブストーリーですが、脚本を読んだ感想から教えて下さい。
恋愛の感情がない世界を描くラブストーリーで、僕にとっては新境地を開拓する内容だったのですが、今までにない世界観で面白い作品だなと思いました。恋愛に限らず、人間関係の複雑さなども描かれていて、共感できるポイントも結構たくさんあるので、観て下さる人にも刺さると思いました。
――どんなところに共感できましたか。
僕が演じるハレは、特定の一人を愛して、恋愛感情を持つ少数派の人たち「レンアイ」なんです。周りは恋愛感情を持たず、自由に生きる中、「レンアイ」ではないかのように恋愛感情を隠して生きているんですよね。「皆がこうするならこうしよう」って周りに合せる人が多いじゃないですか。本当は、こういうことを言いたいけど、ちょっと言えない……みたいな部分がとてもリアルに描かれているので、共感できました。
――普通は恋愛と性行為が結びつくものですが、この作品では、恋愛感情がないがゆえに相手を決めずにいろんな人と性行為をして、子供も皆で協力して育て合い、男女の嫉妬もない世界がポップに描かれます。こういった世界をどう捉えましたか。
僕らの普段の感覚が「普通じゃない」ことに対して、違和感を覚えましたね。でも、ハレは普通の価値観に近い人間なんです。それでも、恋愛感情がない世界にいるからこそ、周りにちゃんと合わせて生きていて。本当は自分の好きな人とだけ一緒にいたいと思っているんですよね。ハレは「レンアイ」ではないフリをしているけど、周りの意見に流されて自分の意見を変えるタイプではなくて。別に周りにどう思われても、自分がやりたいように決めるってところは自分と結構、近いなと思いました。

――もし本当に恋愛感情がない世界になったら、どうしますか?
本当に好きという感情がなくなっちゃうわけだし、友達との境界線がないのは、考えられないなと思います。もしも世の中全体が恋愛感情ないことが普通の世界だったら、それが当たり前になるんですかね。絶対、ありえないけど、普通って怖いなって。自分が思ってる普通が、普通ではなくなったらどうなるんでしょうね。多数派の考えになるのかな。こっちの世界では当たり前のことが、「レンアイ」がない世界では、違和感になってるんで、このドラマを観て皆さんはどう思うのですかね。
――共感できる部分が多いハレというキャラクターを演じる上で大切にされたことやこだわった部分はありますか。
カフェで初めて会った人に対しては、クールな印象なんですよ。ぶっきらぼうまではいかないですけど、意識的に抑揚をつけないようにしました。きっといろいろな経験をしているからこそ、「レンアイ」じゃない人に対して淡々としているのかなと思いましたね。
――ハレは内に秘めたものがありつつも、自分の想いを発信していくキャラクター?
そこがすごくいいなと思います。僕が自分と1番近いなと思ったのは、多分そこで。僕は小さい頃は、喋るのがあまり得意じゃなかったんですよ。でも、音楽が好きで、ヒップホップのラップのリリックを書くようになって。今はそんなことないですけど、喋らないからこそ、歌詞に吐き出したいという想いがありましたね。何かの形で自分の感情をちゃんと吐き出さないと、ずっと溜まってく一方になるから。勇気はいるけど、自分の想いを伝えようと一歩踏みだすことは大切。結果はどうであろうが、必ず何か発見はあると思います。
自分の素を見せない演技が難しかった

――ハレが友達と「レンアイ」の話をしていたカフェで、乙葉がいきなり恋の話に参戦してくるのがハレと乙葉の出会いです。2人の出会いの場面をどう思いましたか。
最初はお互いに「レンアイ」同士だということに気づかなかったですけど、徐々にハレは、「あれ、この子ももしかしたら自分と一緒かもな」って気づきがあって。徐々に打ち解けて話すうちにお互いの気持ちを理解できるからこそ、唯一の仲間みたいな感じになっていくんですよね。「レンアイ」同士だからこそ話せる話をして、相談相手になっていくので、お互いにとって、大切な存在になっていきそうだなと思いました。
――カフェで恋愛について語る場面もありますけど、ご自身は友達と恋愛観を話したり、恋の悩み相談したりすることはあるんでしょうか?
僕は恋愛の話をすることってあまりないかもしれません。恋愛の相談を周りにしたこともない(かもしれない)です。
――「レンアイ」の乙葉は、周りと違うことで息苦しさを感じています。ハレはそんな不器用でピュアな乙葉をどう思っていそうですか。
ハレも不器用なんですけど、乙葉はもっと不器用だからこそ、「助けてあげなきゃ」みたいな気持ちが芽生えたと思うんです。お互いレンアイ同士と分かってからは、二人で協力し合って、お互いの恋の力になりたいと思っているんでしょうね。ちょっとほっとけない存在というか、気になる存在ではあると思います。
――恋愛観や友情を語るシーンも多いですが、撮影現場の雰囲気はいかがでしたか。
スタッフさんのチームワークが良くて、明るい現場でした。共演者の皆さん全員とも話すことができましたし、スタッフさんともコミュニケーションが取れていたので、アドバイスもたくさんいただきました。ドラマの現場は2年ぶりぐらいでしたけど、緊張せずにリラックスして挑めたと思います。
――監督からはどんなアドバイスがありましたか。
僕自身、普段は明るいので、「落ち着いたトーンで喋るように」とアドバイスをいただきました。普段よりワントーン声を落として初めて会った人からすると、ハレはクールでちょっと怖い印象だけど、しっかり話してみたら、じつはそんなことないっていうギャップを出すように演技をしました。ハレは、人のことに興味なさそうですけど、自分の気持ちが動く人に対しては、本心を見せるというか。そんなに簡単に自分の素を見せないという雰囲気を出すのが難しかったですね。
――乙葉役の島崎遥香さんは、すごくナチュラルに乙葉を演じていましたが、現場での印象は?
クランクインの大事なシーンから役に入られていて、孤独を抱えている乙葉そのものでした。結構もの静かな感じの方なのかなと思っていたら、普段は、すごく明るく話してくださって話しやすく、僕が言うのもなんですが、不思議ちゃんでした(笑)
少しずつソロアーティストとしての自分を追求している

――乙葉のように自分の本心を打ち明けられない人にアドバイスするなら?
最初は自分の気持ちを伝えられなかった乙葉が、自分の気持ちを言えるようになったのは、すごいことだと思いました。人によっては、なかなか言えないですよね。恋愛に限らず、自分の思っていることを言いたいけど一歩踏み出せない人っていると思います。どちらかというと僕もそんなにコミュニケーションが得意ではなく、10代の頃は言いたいことが言えなかった経験があります。発言した結果どうなるかとか、周りにどう思われるかって気になりますからね。
ですが、相手に言葉でちゃんと伝えないと分からないことってたくさんありますし、自分の意見を言ったことで相手に理解されないこともあるかもしれないけど、「こいつ、変だな」って嫌われてもいいし、別にどう思われてもいいから、まずは発言しないと、相手には伝わらないと前向きに思うようになりました。
勇気を出して1歩踏み出してみて、発信してみてとアドバイスしたいです。
――久しぶりのドラマ出演を経験して、役者としては今後どんな活動をしたいと思ったか、教えてください。
今まで演じたことのないような役だったので、すごくいい経験になりましたし、これからもっとお芝居をやりたいという気持ちになりました。自分の長所が活かせるようなジャンルにも挑戦してみたいです。僕は趣味で格闘技をやっているので、アクションシーンがある作品に興味があります。
――音楽活動ではどんなことをやっていきたいですか?
やっぱり自分は本当に音楽が純粋に好きなんです。昨年末からISEEIとしてスタートラインに立ったばかりですが、今の活動を楽しめています。自分でいい曲をたくさん作って、1人でワンマンライブをやりたいっていう思いが強いです。表現力を磨くためにいろんなものを見て、聞いて、どんどん作りたいですね。アンテナを広げて、どうやったらいい曲が作れるのか考える時間は大事にしたいです。

――ライブもたくさん足を運ばれたり?
そうですね。僕はヒップホップが好きなんですけど、ヒップホップに限らずいろんなアーティストさんのライブを観に行きます。特にソロのアーティストさんのライブを観に行って勉強することが多いです。最近ではG-DRAGONさんやNissyさんのライブを観ました。見せ方が本当に上手で、勉強になりました。ソロになったことで、1人での魅せ方をもっと研究しないといけないと思いましたし、ダンスを中心に魅せるアーティストではないのですが、歌う時の表現力や見せ方の部分のアプローチを鏡の前でイメージしたり、動画やライブ映像をたくさん観たりして勉強しています。
――ソロアーティストとして自分らしさはみつけられそうですか。
ちょっとずつですかね。最初のステージがTOBEアーティストが集結するライブだったので、その時も、どのように振る舞ったらカッコ良く堂々と見えるのか、いろいろな角度から追求しました。
自分がやろうと決めたことはやり抜きたい

――ハルが恋に悩む乙葉に「悔やみながら生きていくのは嫌。傷ついてもいいから後悔しないようにした方がいい」とアドバイスするシーンもありますけど、ご自身も後悔しない生き方っていうのは、心掛けていることなんでしょうか。
そこもハルと近いなと思いました。大きな決断をして、自分はこうしようって覚悟を決めたら、突き進むのみ。自分が決めたことなので、周りにもそんなに相談しなかったです。もちろん、どうなっていくのか結果は誰にも分らないことですけど。自分がやりたいこと、こうしたいって決めたことは、やっぱりやらないと後悔すると思います。
――一度きりの人生だから、自分が想い描く夢を叶えたい?
そうですね。純粋に僕を応援してくれるファンのみなさんをIsYouと呼ばせていただいておりますが、Is Youが求めることに応えて自分らしく活動をしていけたらと思います。今回のドラマもそうですし、いろいろな一面を見せて、ちょっとでもISSEIを覚えてもらえるきっかけになったら。それで音楽も聴いてもらえるように頑張りたいと思います。
――楽しんで音楽と向き合っているんですね。
はい、そうですね。今、ホントにすごく楽しくて、前向きな気持ちでいるので、ワクワクできています。ここからもっともっと上に上がっていこうっていう気持ちで。やらなくちゃいけないこともいっぱいありますし。常に忙しくいなきゃダメですね(笑)。
――そんな多忙な中、ちゃんとプライベートで大事にしている時間はありますか。
美味しいご飯を食べることですかね。どんなに仕事が忙しくても、美味しいご飯を食べたいなっていうのがこだわりです。ドラマ現場期間中も撮影終わりにマネージャーさんとかと一緒にご飯を食べに行ってましたし、頑張るモチベーションになっています。だから、結構お店は詳しいですよ。これからもいろいろなお店を開拓したいですね。
取材・文:福田恵子

<作品情報>
もしも世界に「レンアイ」がなかったら
【放送曜日・時間】
木曜 深夜0時58分
※初回は7月31日(木)放送予定
※地上波放送後はTVerでも視聴可能
【放送エリア】
CBCテレビローカルエリア放送(ほか調整中)
【製作】
API/CBCテレビ
【製作著作】
『もしも世界に「レンアイ」がなかったら』製作委員会
【演出】
今和紀
【公式SNS】
公式 X:
@cbc_dramatrip
公式 Instagram:
@cbc_dramatrip
公式TikTok:
@cbc_dramatrip
ハッシュタグ #もしレン
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