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笠置シヅ子の半生を歌と芝居で描く『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』満を持しての東京公演開幕 神野美伽「私が授かったお役」

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左から)九条ジョー、加藤虎ノ介、小原孝、神野美伽、白井晃、鈴木杏樹、福本雄樹

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2025年8月1日、東京・IMM THEATERにて、『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』が開幕した。ブギの女王、笠置シヅ子の一生を、歌と芝居と生バンドで描き出す“トリビュート音楽劇”。服部良一による数々の名曲が詰まった舞台は、マキノノゾミ作、白井晃の演出、演歌歌手の神野美伽主演で2019年に大阪で初演、コロナ禍を挟んでようやく東京公演が実現した。開幕前日のゲネプロ前に実施された囲み取材で、演出の白井、主演の神野をはじめとする俳優たち、音楽監督・ピアノの小原孝らが、舞台への熱い思いを語った。

囲み取材の冒頭、「やっと実現できました」と東京公演実現の喜びを明かした白井は、「いまの、ちょっと元気をなくしている日本に元気と勇気を与えられるような作品に仕上がっていると思います」と挨拶。

中央)白井晃(演出)

続いて舞台への思いを問われた神野は、「6年近く、待ちました」と、笠置のトレードマークの長いつけまつげで強調された、キラキラの瞳でコメントした。

神野美伽

6年前の初演の千秋楽からほどなくしてコロナ禍の波が忍び寄り、再演の計画は進まなかった。「どうしてももう一度取り組んでみたいと、ずっと思い続けていました。当初は“なんで私?”、というところからのスタートでしたが、笠置さんのことを知れば知るほど、“私がやりたい”、“私が授かったお役なんだ”と思うように」と、胸の内を明かす。初演ののち、本作で歌ったナンバーから選ばれた曲で構成されるアルバム「SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE」を神野美伽 with ALL STAR JAZZ BANとしてリリースした。

『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』ゲネプロより

「この6年間があってよかったと、今は思っています。思いもしなかったのは、一昨年に『ブギウギ』(NHK連続テレビ小説)の放送があったこと。より多くの方が笠置さんのことを知ってくださったあとに、再度この作品に取り組むということは、とても意義のあることのように思いました。今年はたまたま戦後80年の年で、終戦の日が近い8月1日からの上演に。お話の中では“使命”という言葉が何遍も何遍も出てきますが、やはり何か、この作品が持つ役割というものがあるのではないか──6年前には感じなかったことを感じながらやっています。舞台では、笠置さんの言葉を笠置シヅ子として喋りますが、私の言葉としても、皆さんに伝わればいいなと思っています」(神野)

共演の鈴木杏樹は、笠置が交流を温めていた“夜の女”の装い。

『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』ゲネプロより 左から)神野美伽、鈴木杏樹

「神野さんと一緒に笠置さんのお墓参りにも行き、 “なんとかこれを再演させてください”とお願いもしました。今回、きっと笠置さんも観てくださっているのでは。心をこめて、お芝居させていただけたらなと思います」。

鈴木杏樹

服部良一ほかを演じる加藤虎ノ介は、「白井さんの演出がすごく楽しく、火をつけていただいています。全力を尽くします」と初参加に意欲的。

加藤虎ノ介
『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』ゲネプロより 左から)福本雄樹、加藤虎ノ介

シヅ子の弟、シヅ子の恋人などを爽やかに演じる福本雄樹は「パワフルな曲に負けないように、神野さんを中心に皆で盛り上げて、楽しい舞台になればなと思います」。

福本雄樹
『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』ゲネプロより 前)神野美伽 後)福本雄樹

マネージャー役などで活躍の九条ジョーは、「僕も加藤さんと同じく初参加。老若男女全員が楽しめる、炊き込みご飯のような舞台になりました。ミュージシャン、俳優、芸人といろんなアベンジャーズ(笑)が集まり、ひとつのものを作り出す。本当に素晴らしい舞台です」と興奮気味だ。

九条ジョー
『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』ゲネプロより 左から)九条ジョー、神野美伽

今回の出演者について問われた白井が、「面白い方々が多く、いろんな意味で楽しんでいます(笑)。わかってくれているのかいないのか、3歩進んで2歩下がったり、5歩進んだと思ったら6歩くらい下がったり」と苦笑いを見せると、横から「それ、私だわ」「僕のことです」と嘆きの声。「──だからといって、放っておいたら10歩くらい先に行っていたり(笑)! 楽しい俳優さんたちを、小原さんを中心としたミュージシャンがしっかりと支えてくださって、本当にありがたいです」。

ポップな装置が組まれた舞台で、笠置を演じつつ、数々の楽曲を次々と歌い客席を引き込んでいく神野の姿は実にパワフル。彼女が振り返る自身の半生は、誕生から松竹楽劇部への入団、上京、服部良一との出会い、吉本穎右との恋と死別、出産──と波乱万丈だ。

『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』ゲネプロより
『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』ゲネプロより 左から)加藤虎ノ介、九条ジョー、神野美伽

音楽監督の小原は、「服部良一さんの音楽、それから白井先生の音楽の使い方に、刺激を受けております。役者とミュージシャンとセットとが一体化していて、我々も劇の中に入り込んでいる気持ちになれる。画期的だと思います。そして、『大空の弟』という曲。2019年の舞台の時に、いろいろ相談している中で発見された楽譜です。とても重要なポイントとなる曲ですので、ぜひ聴いていただきたいと思います」。

『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』ゲネプロより

笠置という人物を演じながら、歌い手だからこその表現力もこれでもかと見せつける神野。出征し、命を落とした弟・八郎のために書かれた『大空の弟』は、エネルギッシュで溌剌とした笠置のイメージとはまた違う、心の奥底からの叫びのような歌唱で迫ってくる。

『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』ゲネプロより

「『大空の弟』は、これまでに触ったことのない音楽。こういうことがあって、今、私たちが存在しているんだと思わせてくれる曲です。まさかこういう作品を歌手として歌うことになるとは、という思いでした。それでも、私のところに来てくれた作品です。
近年はテレビ番組でも笠置さんの歌を歌わせていただくようになり、『ラッパの娘』などは、最近は自分の歌のように図々しく歌っていますが、アレンジを変えて歌う面白さもあり、勉強になりました。劇中ではピアノ1本で歌うシーンもありますが、これが歌、なんだなと──リハーサルのたびに、いろんな発見があります。あの時代によく、こんな作品を作られたなと感じます。びっくりするような発想ですが、その1曲1曲を、ご堪能いただきたく思います」(神野)

舞台上で歌う神野は、歌い手の神野なのか、笠置を演じる俳優・神野なのか、それとも──? 「芝居をしながら歌っていると、普段歌っているのと違う声が出てきて、すごく新鮮なんです。笠置さんのモノマネをしようという思いは全くないのですが、これをテレビで歌いなさいと言われても、お芝居でしかできない。お芝居ってすごいなって思います」。

『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』ゲネプロより

公演は8月11日(月・祝) まで。公演期間中はアフタートークショー実施の回もあり、8月4日(月) に服部良一の孫にあたる服部隆之とのトークに臨む白井は、「良一先生の書かれた曲をこういう形にしたのを観ていただいて、どういう印象を持たれるか、楽しみです」と語った。そのほか、2日(土)には脚本のマキノノゾミと白井、5日(火) には俳優の國村隼とキムラ緑子、7日(水) には鈴木杏樹と藤井隆、9日(土) には福本雄樹、九条ジョー、加藤虎ノ介のトークが予定されている。

取材・文:加藤智子


<公演情報>
『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』

脚本:マキノノゾミ
演出:白井晃
音楽監督:小原孝

出演:
神野美伽 / 加藤虎ノ介 / 福本雄樹 / 九条ジョー / 鈴木杏樹

〈ミュージシャン〉
小原孝(Piano)
ASA-CHANG(Drums)
竹中俊二(Guitar)
小松悠人(Trumpet) 8/1~7出演
河原真彩(Trumpet) 8/8~11出演
宮崎佳彦(Saxophone)
西村健司(Trombone)

2025年8月1日(金)~8月11日(月・祝)
会場:MM THEATER(東京ドームシティ内)

【アフタートーク開催!】
8月2日(土) マキノノゾミ× 白井晃
8月4日(月) 白井晃×服部隆之
8月5日(火) 國村隼×キムラ緑子
8月7日(木) 鈴木杏樹×藤井隆
8月9日(土) 福本雄樹×九条ジョー×加藤虎ノ介

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2559549

公式サイト:
https://sizukoboogie.yoshimoto.co.jp/

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