『ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ』東京都写真美術館で ポルトガルを代表する映画監督による日本では最大規模の個展
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ペドロ・コスタ《少年という男、少女という女》2005年 東京都写真美術館蔵
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すべて見る『コロッサル・ユース』『ヴィタリナ』などで知られる、ポルトガルを代表する映画監督ペドロ・コスタの展覧会『ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ』が、8月28日(木)〜12月7日(日)、総合開館30周年の東京都写真美術館で開催される。日本最大規模、東京では初めてとなる美術館での個展だ。
コスタは1959年ポルトガル・リスボン生まれ。1989年の長編デビュー作『血』がヴェネチア国際映画祭で注目を集め、『骨』(1997)や『ヴァンダの部屋』(2000)で国際的評価を確立。『ホース・マネー』(2014)でロカルノ国際映画祭最優秀監督賞、《ヴィタリナ》(2019)で同映画祭の金豹賞など多数の受賞歴がある。

暗闇と光の強いコントラスト、静謐かつ緻密な画面構成の中に、現実の断片をすくい上げながら社会構造に斬り込み、新たな視座をもたらしてきたコスタ。2022〜23年にスペイン各地を巡回した『The Song of Pedro Costa』展など、近年では映画だけでなく展覧会という形でも発表しているため、同展も楽しみだ。展覧会タイトルは、10代の頃に影響を受けたスティーヴィー・ワンダーのアルバム『インナーヴィジョンズ』(1973)から付けられた。音楽を通して社会と個人の関係に迫ろうとしたこのアルバムの精神は、コスタの映像作品の方法論とも深く響き合っている。
今回は、ポルトガルで暮らすアフリカ系移民の歴史を照らし出す『ホース・マネー』(2014)など、コスタ作品で重要な役割を担うヴェントゥーラをはじめとする登場人物たちや、彼らが生きる場所に関わる映像作品に加え、ジェイコブ・リースのドキュメンタリー写真など東京都写真美術館のコレクションも展示。コスタ作品の背景にある歴史的・社会的文脈に触れながら、「インナーヴィジョンズ」というテーマを考察していく。

また、東京都写真美術館1階ホールで、コスタ自ら選定した映画作品を紹介する上映企画「カルトブランシュ」や、代表作の特別上映もある。新たなドキュメンタリー表現としても、移民問題を考える手がかりとしても見ておきたい。
<開催概要>
『総合開館30周年記念 ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ』
会期:2025年8月28日(木)~12月7日(日)
会場:東京都写真美術館 地下1階展示室
時間:10:00~18:00、木金は20:00まで、8月28日~9月26日の木金は21:00まで(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は開館、翌平日休)
料金:一般800円、学生640円、高校・65歳以上400円
※8月28日~9月26日の木金の17時以降はサマーナイトミュージアム割引あり
公式サイト:
https://topmuseum.jp/
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