奈緒、ウエンツ瑛士と初共演で夫婦役「最初から打ち解けた」“戦争花嫁”演じた舞台『WAR BRIDE』開幕

舞台『WAR BRIDE－アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン－』が東京・よみうり大手町ホールで本日8月5日から上演される。原案は、2022年12月にTBSで放映され、翌23年3月にはTBSドキュメンタリー映画祭で上映もされたドキュメンタリー映画『War Bride　91歳の戦争花嫁』（川嶋龍太郎監督）。戦後激動の時代に“真実の愛”で困難に立ち向かった夫婦の物語が描かれる。

“戦争花嫁”として日本に駐留していた敵国の軍人と恋に落ち、結婚・渡米した主人公の桂子を演じるのは、幅広いジャンルで活躍著しい奈緒。そして、桂子と出会う米兵・フランクをウエンツ瑛士が演じている。

東京公演の幕開けに際し、取材に応じた奈緒は「戦後80年を迎えても、私たちは一度戦争があった過去と向き合いながら、これからも生きています。いろんな向き合い方があると思いますが、“愛と向き合う1日”という選択肢として、ぜひ劇場に足を運んでいただければ」と、戦後80年という節目に上演される本作への思いを語る。

ウエンツも「なかなか（戦争経験者の）生の声を聞くことができなくなっている中で、舞台という五感すべてで感じられるエンターテインメントとして、この作品をお届けできることに、意義と責任を感じております」と表情を引き締める。「戦後80年というタイミング、当然戦争が描かれますが、そこで愛というものを通して、新たな視点でこの夫婦の物語を知っていただき、今自分たちが生きている世界を考えるきっかけになればいいなと思います」とアピールした。

“War Bride（戦争花嫁）”とは、第二次世界大戦後、連合国軍占領下の日本に駐留していた兵士と結婚して兵士の国へ渡った日本人女性のことを指し、アメリカへ渡った戦争花嫁の数は約4万5千人いたといわれている。戦争で凄惨な現実を目の当たりにした女性たちは、新たな人生を求めて自らの意思でパートナーを決めアメリカへ渡ったにもかかわらず、当時の報道の影響で、誤解と偏見を世間に植え付けられ、差別を受けていた。

そんな歴史的な背景を背負った本作で、奈緒とウエンツは、実在した夫婦役で、初共演を果たした。夫婦役の役作りについて問われると、「最初から打ち解けた感じでした」（奈緒）、「話し合いは全くないです（笑）。稽古場でも『昨日何食べた？』とか、そういう話ばかりで。イメージもテレビで拝見するそのままで」（ウエンツ）と、息の合ったやり取りを披露した。

奈緒は、今年1月に渡米し、オハイオ州ライマに暮らす桂子さん本人と対面。これまでの人生の歩みを直接聞き、桂子の思いを胸に刻んだ。

「桂子さんとたくさん街を散歩して、お知り合いとお会いすることもあれば、市長さんとお話もして、街の皆さんが桂子さんを大切にされている姿を肌で感じました。ハーンさんのお墓の前では、今でもハーンさんを愛していらっしゃる桂子さんの姿も拝見したので、その思い出と一緒に、舞台に立ちたいです」（奈緒）

そんな桂子とフランクの運命の物語を「劇団チョコレートケーキ」主宰・演出の日澤雄介と、同劇団の脚本家・古川健の強力タッグで舞台化。共演には、桂子とフランクを取材する若きジャーナリストに高野洸、桂子の人生を後押しする両親に占部房子と山口馬木也が名を連ねる。

取材に応じた日澤は、「この（戦後）80年という節目に、このような作品を演出させていただけるというのは、すごく光栄だと思っています。ここにいる俳優さん、スタッフさんと創作できたこともすごく嬉しいです」と喜びを語ると同時に、「皆様に観ていただくのは、すごく勇気がいるし、身の締まる思いで責任を感じております」と背筋を伸ばした。

キーマンともいえる重要な役を担う高野は「強く生きてこられた桂子さんの人生が目の前で進んでいく」と見どころを語り、「戦争という言葉で、作品から遠ざかったり、目を背けたりする方もたくさんいらっしゃると思いますが、そういう方々にぜひ観てほしい作品になっています」と自信のコメント。

桂子の父親を演じる山口は、原案となったドキュメンタリー映画も観ていたといい、「この事実をひとりでも多くの人に伝えなきゃ、伝えたいという思いがありました」と振り返る。その上で、「日澤さんの演出でこのメンバーと稽古を重ね、ちゃんと伝わる作品になったという思いです」とこちらも確かな手応えを示していた。

取材・文・撮影：内田凉

＜公演情報＞
舞台『WAR BRIDE－アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン－』

原案：『War Bride　91歳の戦争花嫁』（TBSテレビ）
脚本：古川健（劇団チョコレートケーキ）
演出：日澤雄介（劇団チョコレートケーキ）
出演：奈緒　ウエンツ瑛士
高野洸　川島鈴遥　渡邉蒼　福山絢水　牧田哲也　岡本篤　占部房子　山口馬木也

【東京公演】
2025年8月5日(火)～8月27日(水)
会場：よみうり大手町ホール

【兵庫公演】
2025年9月6日(土)・7日(日)
会場：兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

【福岡公演】
2025年9月13日(土)・14日(日)
会場：久留米シティプラザ　ザ・グランドホール

チケット情報：
https://w.pia.jp/t/wb2025/

公式サイト：
https://www.warbride-stage.com