湖月わたると柚希礼音が芝居作品で初共演! ダンスと語りで綴る『マイ フレンド ジキル』ビジュアル撮影レポート【前篇】
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すべて見る1886年にイギリスで出版されて以来、映画やミュージカルなどさまざまな形で人々を魅了してきた小説『ジキル博士とハイド氏』(ロバート・ルイス・スティーヴンソン作)。誰の心にも存在する善と悪を巡ってスリリングに展開するこの物語を、“語り”と“踊り”で綴るダンス朗読劇に構成したのが『マイ フレンド ジキル』だ。2019年の初演版は上演台本と演出を瀬戸山美咲、音楽プロデュースは坂井田裕紀が担い、ダンスパフォーマンスグループ「s**t kingz」のshoji(持田将史)とOguri(小栗基裕)が出演と振付を手掛けた。
新バージョンとなる今回は瀬戸山の続投に加え、イギリスを拠点に活動するダンサーで振付家の益井悠紀子が新たに振付を担当。出演は、共に宝塚歌劇団出身で現在は俳優として活躍する湖月わたると柚希礼音がキャスティングされた。元星組トップスター、かつ手練のダンサーという共通項を持ちながら、意外にも退団後の芝居作品では初共演になるというふたり。6月に都内で行われたビジュアル撮影の様子を、湖月と柚希のコメント、そしてとあるサプライズシーンも含めてたっぷりとお届けする。
スタジオに足を踏み入れると、シャツとパンツ、ハットとマントに革手袋まで黒一色に包まれた湖月がすでにスタンバイ。まずはシルエット撮影ということで、逆光の中に立つ湖月。斜めにかぶったハットから時折のぞくダークなメイクと、深淵をじっと見つめるような冷たい眼差しが印象的だ。ビジュアル撮影での姿はあくまで“イメージ”とはいえ、その姿は19世紀末ロンドンの暗い街角をさまようジキル博士かハイド氏か……。スタジオの空気をたちまち作品の世界観に変えてゆく湖月の存在感に、カメラマンやクリエイター陣も思わず興奮の面持ちだ。
次いでカメラマンがマントを翻す瞬間を撮りたいと提案すると、湖月はすぐに長いマントを翻しながら動いてみせる。そのマントのラインすら一瞬一瞬が画になるのは、やはり元男役トップスターとして培ったスキルだろう。2006年に宝塚を退団してすでに19年経つが、俳優として活動しながらも身体パフォーマンスを忘れずに磨いてきた湖月ならではの美しさが際立っていた。
本作は2人芝居で、登場人物は医学博士で法学博士のジキルと、その友人で弁護士のアタスン。物語はジキルとハイドをダンス(身体の動き)で表現する“パフォーマー”と、ジキルを尊敬しながらも彼の不穏な行動に動揺するアタスン視点の“語り手”とで進行する。湖月と柚希はその2役を回替わりで演じるのだが、演出の瀬戸山は骨太な人間ドラマを描く手腕に定評があるだけに、型通りではない役同士のやりとりにも注目だ。
その世界観を支えるため、スタジオにも洋書やペン、インク壺、ノートなどヴィンテージの小道具がたくさん並んでいた。カメラマンとデザイナーが吟味しつついくつか選ぶと、次はデスクに座っての撮影だ。同じ黒だが少し柔らかな印象の衣裳に着替えた湖月は、本を見つめながらも意識は別のところにあるような表情を見せる。続いて薄闇をバックにした立ち姿の撮影に入ると、あえぐような息をして恐怖に苦しむような顔に。今にも何かが起こりそうな緊迫感が伝わる中、湖月のワンショット撮影が終了した。
湖月わたるミニインタビュー~ふたりで作り上げる舞台に運命を感じて~
スタジオの興奮も冷めやらぬまま、早速ワンショット撮影直後の湖月に話を聞く。すでに役に入りこんでいたように見えたことを伝えると、「この作品ならではの世界観があると感じていたので、昨日は関連書籍を読んだり初演の映像を観たりしてイメージしながら、今日のスタジオに入りました」という答えが。
「昨日だけでなく、最近はふとジキルの闇について考えることが増えましたね。それなら自分の闇ってどこにあるんだろうとか、ジキルのように決して踏み込んではいけない、超えてはいけないラインを越えてしまうのはどんな瞬間なんだろうとか。そういう役に寄せた想いがジキルに重なって、うまく表現できていたらいいなと思います」と語る。
湖月が星組トップスターに就任した当時、柚希は入団5年目。さらにトップ期間の作品の新人公演の主演を柚希が多く務めたとあって、柚希の男役としての成長期に湖月が与えた影響は大きいだろう。
「ちえ(柚希)とはずっと、『いつかふたりで作り上げるような舞台をやりたいね』と言っていて、ついに巡り合えたのがこんなに素敵な作品ということに運命を感じています。宝塚退団後はお互いにいろんな経験をさせていただいて、その上でふたりで向き合う作品に取り組めるなんて、こんなに幸せなことはないなって思いますね」と話す湖月。
続けて、「今回はダンスといっても、ヒップホップ、ボールルームラテン、コンテンポラリーダンスなど多彩な要素を含む振付で海外をメインに活動されている益井さんのもの。役のパフォーマンスとして演じることができるかはとてもハードルが高いですが、今はそれも含めてすごく楽しみにしています」と笑顔を見せた。
*後編は、湖月と柚希のツーショット撮影をレポート! サプライズと柚希の撮影の様子、さらに独占コメントもお楽しみに!
取材・文:藤野さくら 撮影:源賀津己
<公演情報>
『マイ フレンド ジキル』

デザイナー: 中野淳仁 カメラマン:角田修一 衣装:十川ヒロコ ヘアメイク:国府田圭
上演台本・演出:瀬戸山美咲
音楽:jin tanaka(back drop bomb) 飛田雅弘 GOTH-TRAD
音楽プロデュース:坂井田裕紀
振付:益井悠紀子
出演:湖月わたる、柚希礼音
【東京公演】
2025年12月16日(火)~12月22日(月)
会場:よみうり大手町ホール
【大阪公演】
2025年12月27日(土)~12月29日(月)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
チケット情報:2025年9月27日(土)10:00より一般発売
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2561266
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