「まずは自分を愛して」ニュー・アルバム『LOVERS』に込めた思いをロックに歌い鳴らす reGretGirl全国ツアー、京都の熱い夜をレポート
音楽
ニュース

『reGretGirl presents ONEMAN TOUR 2025 "for LOVERS"』 8月2日(土) 京都・KYOTO MUSE (Photo:宇都宮勝)
続きを読むフォトギャラリー(9件)
すべて見るText:早川加奈子 Photo:宇都宮勝
蒸し暑い京都の夜を熱狂させたツアー中盤戦
※本レポートには演奏楽曲掲載ありとなりますので今後ツアーにご来場予定のお客様はご注意ください。
6月にスタートした、reGretGirlの全国ワンマンツアー『reGretGirl presents ONEMAN TOUR 2025 "for LOVERS"』。中盤戦に突入した8月2日(土)の舞台は、KYOTO MUSE。サポートメンバーと共に前田将司(ds)と、十九川宗裕(b)、最後に平部雅洋(vo&g)が満員御礼の会場に現れる。すると、久々に帰省した地元のツレを歓迎するような温かい歓声と拍手がフロアから湧き起こる。
平部と十九川のツインボーカル状態で始まったのは、6月にリリースされたニューアルバム『LOVERS』からの1曲、バンドマンとしての平部の原点を歌った「ハンワライナー」だ。大阪の天王寺駅と和歌山駅の間を運行していた「阪和ライナー」。迷いや不安だらけだった頃の思いがパンキッシュなバンドサウンドで歌い鳴らされていくその曲から溢れ出すのは、大阪出身のreGretGirlらしい地元に対する熱い思い。東京が拠点となった今も、全曲の詞曲を手がける平部の魂は関西で生まれ育ったバンドマンの頃のままなのかもしれない。
サビを歌う観客たちのシンガロングが響いた「ピアス」を披露後、平部がフロアに向かって叫ぶ。「年齢、性別、いつからreGretGirlを聴いているとかどこから来たとか関係ない。今日ここに集まったお前ら全員、「KAWAII」!」待望のやつ来た!とばかりに熱狂するフロア。すると、「MCに熱込めすぎて間違えそうになったわ」と、平部が前田にイントロのリズムをもう一度叩くようにリクエスト。ハプニングか演出かわからないMCと力強い演奏で、観客を楽しませながらぐいぐいと自分たちのペースに巻き込んでいく。


世代のリアルを斬る鋭さと、情けなさも吐露できる強さ
「熱過ぎるな」「天候の話?」「今日のフロアの話」「だまされたわ」唐突な平部の言葉にツッコむ十九川を軽く交わす平部。そんなふたりのやりとりを静かに見守る前田。オフステージの3人の姿が想像できる様子に、観客たちも楽しそうに笑い転げている。
関西弁で繰り広げられる気さくでテンポの良いMCも、SNS世代の独りよがり論をズバッと斬る「オトナビゲーション」のような鋭い視点も、reGretGirlの大きな魅力だ。でもやはり、reGretGirl最強の武器は平部が歌い描く赤裸々な”失恋”の心情だろう。
それを痛感したのが、目の前の恋が永遠だと思っていた頃への思慕と後悔がラップのように矢継ぎ早に繰り出されていく「(L)ONLY」。さらに続けて、ニューアルバムの曲順通りに尊い時間と儚い今を歌ったミドルチューン「陽のあたる言葉」と「オレンジ」が披露されると、さっきまで飛び跳ねていた観客も平部の歌声にじっと聞き入り、中には両目を潤ませている人も。失った恋に対する後悔や未練。情けない姿も黒い感情も、包み隠すことなく赤裸々に歌い描かれるreGretGirlの楽曲は、恋を失ったすべての人の心の代弁者なのだと思う。

汗だくタンクトップ姿なのに......「いつも聞いてます」
切ない歌と演奏で観客の心を鷲掴みにした後、「京都は地元やと思ってんねんけど。関西圏のどこでも言ってると思ってるかもしれんけど(笑)」と、京都への親しみと関西愛を語り始める平部。今回は全員前日から京都入りしていたらしく、十九川はツアー中の恒例にしている「ポケモンセンター」巡りを楽しみ、「京都といえばラーメンやん。ラーメン屋を横目にコンビニの天津飯を食べた」と前田。平部は有名店のラーメンを汗だくのタンクトップ姿で堪能した後、「いつも聞いてます」と店員さんから言われ、うれしさと恥ずかしさのあまり超絶早口でお礼を言ったと告白。
会場が爆笑に包まれたタイミングで、今回のアルバム収録曲の中でも特にライブでのパフォーマンスが注目されていた「知らんけど」を披露。コール&レスポンスで盛り上がる観客に向かって、「さすが関西!知らんけどの扱いが上手やわ!」と平部。続けてアップチューンを連発するとフロアの熱気もピーク状態に。さすが関西出身のバンドマン、関西人の盛り上げ方が上手だ。「おかげさまで、ラーメン屋より汗かいてます」と平部が楽しそうに話す。歓声があがるフロアに向かって披露されたのは、「ロスタイム」。人前でも、大人でも、泣きたいときは泣いていい。そう歌う平部の声に寄り添うようにベースが低く響き、力強いドラムが背中を押す。幸せな過去への後悔を歌う「テレフォン」を披露した後、恋も学生生活もバンド活動も、何もかもうまくいかない頃があったからこそ音楽に没頭出来ている今の幸せを歌えた、という3rdアルバム『LOVERS』への思いを語る平部。
「自主活動中によく京都でライブをしていた頃、もっと小さなライブハウスでほぼ観客0人で。良い日々じゃなかったけど、それが今日のソールドアウトに繋がっている」と告げ、当時の自分に語りかけるように「帰り道」を歌う。先日公開されたTHE FIRST TAKEで披露したスペシャルアレンジで始まった「デイドリーム」では、失った恋への未練と嫉妬を、振り絞るように歌う平部。みっともない姿も感情も全部まるごと、力強いバンドサウンドでまっすぐに歌えるこの強さこそ、reGretGirlの真髄だ。


11月にバンド初の東名阪ホール公演開催
本編の最後に披露されたのは、「今いちばん大切にしたい曲」と紹介された、「ブルーアワー」だった。曲を演奏する前、「誰かを愛するにはまずは自分を愛することが大切。そんな思いを込めて『LOVERS』というアルバムを作った」と語っていた平部。エモーショナルなバンドサウンドが鳴り響く中、歌い終えた平部が、自分を愛することの意味を小さくつぶやく。「死ぬなよ......」
鳴り止まない歓声に応えてスタートしたアンコールの最後、「(デビューからの)10年分の思いを込めて歌います」と、「ホワイトアウト」を演奏。熱狂するフロアに向かい、最前列で観ていたガタイのいい男性客の肩を借りながら、平部がギターを鳴らして歌う。全国各地のライブハウスを巡る今回のワンマンツアーのファイナルとして、11月にはreGretGirl初となる東名阪でのホールワンマンライブが開催される。「大阪(NHK大阪ホール)の会場には京都から通えることを僕は!知ってます!僕は!知ってます!」とPRする平部に、場内に大きな笑い声が響く。
「やばかったけど今日は泣かへんかったわ」終演後、会場を後にする女子ふたり組みの楽しそうな声が聞こえてきた。失った恋への後悔を乗り越えられた女の子たちも、初のホール公演という試みに挑むreGretGirlも、もうすでに未来を歩き始めている。

<公演情報>
『reGretGirl presents ONEMAN TOUR 2025 "for LOVERS"』
8月2日(土) 京都・KYOTO MUSE
<ツアー情報>
『reGretGirl presents ONEMAN TOUR 2025 "for LOVERS"』
※終了分は割愛
8月16日(土) 宮城・仙台 Rensa
8月17日(日) 福島・郡山 HIP SHOT JAPAN
8月30日(土) 福岡・福岡 DRUM LOGOS
8月31日(日) 鹿児島・鹿児島 SR HALL
9月20日(土) 北海道・函館 club COCOA
9月22日(月) 北海道・札幌 PENNY LANE24
9月27日(土) 石川・金沢 EIGHT HALL
10月3日(金) 香川・高松 DiME
10月4日(土) 愛媛・松山サロンキティ
【チケット情報】
4,500円(税込/ドリンク代別)
https://w.pia.jp/t/regretgirl-hall-oneman-2025/
『reGretGirl presents ONEMAN TOUR 2025 "for LOVERS"』
東名阪ホールワンマン編
11月7日(金) 大阪・NHK大阪ホール
11月21日(金) 愛知・岡谷鋼機名古屋公会堂 大ホール
11月28日(金) 東京・LINE CUBE SHIBUYA
【チケット情報】
全席指定:6,000円(税込)
https://w.pia.jp/t/regretgirl-hall-oneman-2025/
関連リンク
reGretGirl 公式サイト:
https://www.regretgirl.com/
フォトギャラリー(9件)
すべて見る