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大人たちにこそ見てほしい! 記憶を辿る旅が感動を紡ぐ名作ミュージカル「あんず ~心の扉をあけて~」が25年ぶりに復活!

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(上段左から)清水彩花、皆本麻帆、小此木麻里、(中段左から)柴原紗良、髙山大喜、(下段左から)西川大貴、田村芽実、聖司朗

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シンガーソングライター小椋佳が企画・主宰を務め、1987年から2008年までの21年間、新作オリジナルミュージカルを世に贈り続けてきた、アルゴミュージカル。なかでも傑作と名高かった「あんず~心の扉をあけて~」が25年ぶりにステージへ帰ってくる。演出を務めるのは、アルゴミュージカル在籍経験のある西川大貴。8月上旬、通し稽古の取材後、西川、そしてキャストの田村芽実が本作への思いを語ってくれた。

「青い魚」という童話を手に、学生時代の親友たちと共にかつて住んでいた街を訪れたあんず。彼女が10歳の時に亡くなった兄との記憶をたどり、これまで見つめまいとしてきた過去と向き合っていく姿を物語は描いていく。

稽古場に足を踏み入れると、大人、子ども、男子、女子、スタッフ、キャストなどの垣根なく、しゃべったり、遊んだり、筋トレを競ったり、セリフを合わせていた西川と田村がなぜか突然、踊り出して、そこに子どもたちも大人も加わってラインダンスをしたり……。とにかく笑い声の絶えない、和気あいあいとしたムードが広がる。全員で円陣を組み、西川の「遠慮しないでいいです。失敗してもいいです。まだまだ試せます。良い通しにしましょう!」という言葉と共に通し稽古がスタートする。

稽古場風景(清水彩花×皆本麻帆×小此木麻里) (C)田村良太

子どもの頃に住んでいた街の広場を訪れたあんず(清水彩花)が手にしているのは、「青い魚」という童話。「青い魚」の内容に自分が深く関係している予感を抱えながらも、成長したあんずは、過去と向き合うことに恐怖を感じている。そこへ10歳のあんず(柴原紗良)が現れ、大人のあんずを見つめる――。
そこから、親友の遥香(皆本麻帆)と周子(小此木麻里)にも背中を押され、過去と向き合うあんずの旅が始まる。あんずのことを愛してやまない優しい兄の翔太(髙山大喜)、その友人たち、子どもたちが姉のように慕う真弓(田村)と、その恋人で童話作家を志している哲也(聖司朗※西川とWキャスト)らと過ごした日々の記憶が少しずつ蘇り、あんずが「自分のせいで亡くなった」と思っている兄・翔太の死の真相が解き明かされていく……。

稽古場風景(田村芽実) (C)田村良太
稽古場風景(柴原紗良×髙山大喜) (C)田村良太

作品を通してまず強く心に響くのが、子どもたちの躍動する姿。全力で遊んで、ケンカして、大好きなものに情熱を注ぎ、笑い、涙する姿が、ただただ胸を打つ! 引っ込み思案な少女・あんず、そんな妹を“宝物”であるとみんなの前で公言する兄の翔太。哲也の手による童話「青い魚」誕生の経緯と共に、あんずが当時の記憶を辿っていくさまが描かれるが、同時に本作は子どもたちの成長を描く物語でもある。最初はケンカばかりしていた子どもたちが、歳を重ねる中で様々なことを学び、大人びた姿を見せるようになる。子どもたちが真弓のために「青い魚」を劇として上演するさまは感涙必死! 子どもたちは、大人が考えるよりもずっと早く成長し、そして、大人が思うよりもずっと多くのことを理解していることを改めて気づかされる。

稽古場風景(清水彩花×子どもたち) (C)田村良太

そんな、子どもたちの姿に触発されるかのように、大人キャストたちも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれる。子どもたちを導く真弓役として、透き通るような声で「心の扉をあけて」と優しく歌い上げる田村。そんな彼女に背中を押されながらも将来に悩み、葛藤し、そして本当に大切な“宝物”を見つける哲也を演じる聖司朗。

稽古場風景(子どもたち) (C)田村良太

清水、皆本、小此木による、過去を見つめる大人のあんずと親友の遥香&周子による現代パートも、“女子会”のようなムードで時にコミカルなやりとりを交えつつ、随所に大切なメッセージを伝えてくれる。苦悩や葛藤を抱えるあんずだが、決して孤独ではない。彼女のことを深く理解し、支えてくれる親友がいるということの素晴らしさ――彼女たちの姿に、改めて大人になってからも何でも話せる存在がいることがいかにかけがえのないことか、大人の友情の大切さに胸を熱くさせられる。

歌唱シーンでは大人たちの力強い声と子どもたちの透明感あふれる歌声が交錯し、ハーモニーを奏でるが、その美しさは圧巻! 物語に歌にダンス……文字通り大人も子どもも楽しめる、まさにアルゴミュージカルの理念を体現する作品となっている。この日の稽古の時点で本番までおよそ2週間。子どもたちの成長を含め、どんな仕上がりとなっているのか、完成が楽しみだ。

稽古場風景(子どもたち) (C)田村良太

通し稽古を前に、西川と田村がそれぞれ本作への思いを語ってくれた。

西川 僕が、初めて「好きだ! この作品」と思ったのが、この「あんず」でした(※西川はその後、2002年より3年にわたりアルゴミュージカルに出演)。国産の新作ミュージカルを毎年、発表していたアルゴミュージカルですが、それゆえに再演されることがほぼないという現状がありました。「いつかこれをやらなきゃもったいない!」という思いがある中で今回、未来を担う若い世代と一緒にこの作品をつくることが叶い、本当に嬉しいです。
僕自身、子どもの時にこの作品を観て、単純に「楽しい」とか「ハッピー」というだけでなく、どこかに「寂しさ」や「影」を感じていて、子どもながらにそのユニークさが好きだったんだと思います。いま、こうして作っていくなかで、子どもたちが楽しめることは大前提としてありつつ、大人に刺さる物語だと実感しています。劇中に出てくる大好きな歌詞に「孤独と孤独が手をつなぐ時 さみしさは幸せに変わる」があります。大人になるほど失うものが増えたり、凝り固まってしまう部分も多いけど、そういうものを内包しつつ進んでいく――そういう物語だと思っています。

田村 私は子どもが大好きで、この仕事をしてなかったら、保育園の先生になりたかったくらいでしたから、「子どもたちと一緒に夏を過ごしたい」という気持ちで参加させていただきました。現場に入って、私が子どもたちに励まされ、エネルギーをもらっています。
私自身、大人の中にいるよりも子どもたちといる時のほうが自然体でリラックスできているところがあるんですが、演じる真弓もきっとそういうところがあるのではと感じでいます。たくさんの子どもたちが出ていますが、本当に大人の心に刺さる物語だと思います。いまの社会を生きる大人のみなさんにこそ、ぜひ観ていただきたいです!

取材・文/黒豆直樹

<公演情報>
アルゴミュージカル トリビュート 「あんず~心の扉をあけて~」

日程:2025年8月20日(水)~22日(金)
会場:タクトホームこもれびGRAFARE ホール

●アフタートーク開催!
司会:西川大貴(全日)
8月20日(水)17:00 [ゲスト] 大山真志 / 清水彩花
8月21日(木)12:00 [ゲスト] 松本千夏 / 小此木麻里
8月21日(木)17:00 [ゲスト] 安藤 聖 / [ゲスト] 天寿光希
8月22日(金)12:00 柴原紗良 / 髙山大喜 / 田村芽実
8月22日(金)17:00 小此木麻里 / 清水彩花 / 聖司朗 / 田村芽実 / 皆本麻帆

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/anzu-musical/

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