ミュージカル『のだめカンタービレ』シンフォニックコンサート!インタビュー:松島勇之介×有澤樟太郎×高橋健介
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インタビュー

(左から)松島勇之介、有澤樟太郎、高橋健介 (撮影/石阪大輔)
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すべて見る野田恵、通称「のだめ」がピアニストとして才能を発揮していく姿を描く漫画『のだめカンタービレ』(原作:二ノ宮知子)。2023年にミュージカルとなり、実写版でのだめを演じた上野樹里、シュトレーゼマンを演じた竹中直人の出演も話題を呼んだ。そして本年9月、ミュージカルがシンフォニックコンサートという形式で上演される。上野、竹中、そして千秋真一を演じた三浦宏規の続投に加え、峰龍太郎は松島勇之介と初演キャストの有澤樟太郎、高橋健介のトリプルキャスト。果たしてどのようなことになるのか、3人に話を聞いてみた。
3人の峰龍太郎、大いに語る
――今回の企画とオファーを聞いて、どういうふうに感じましたか。
松島 シンフォニックコンサートというのは初めてですし、ミュージカル『のだめカンタービレ』で、しかも初演で樟太郎くんが演じた役。聞いた時には驚きました。それに台湾公演もあって、初めてづくしでドキドキです。
高橋 樟太郎が演じていた役だっていうことも面白いし、コンサートのステージには立ったことがなかったので、非常に良い機会だと思いました。お客さまも楽しみにしてくださっているでしょうし、しっかりやりきりたいと思います。
有澤 初演は本当に大きな盛り上がりで、(チケットが完売で)観に来れない方たちも大勢いたそうです。シアタークリエ公演のあと、その後の長野公演は上田の大きな劇場(サントミューゼ大ホール・1530席)でも上演したのですが、その時に「次の機会があったらオーケストラとの共演もいいですよね。すごい盛り上がりますよ!」という話になって。今回のシンフォニーコンサートは、まさにその延長線上にあると思うと嬉しいですし、台湾と東京での上演というスケールの大きさにも驚きました。
そして隣を見れば、この二人が一緒にいる。やっぱりすごいことだなと感じています。
高橋 僕の母親も、めちゃめちゃびっくりしていました。
一同 (笑)!
有澤 トリプルキャストというのも面白いですよね。勇之介くんはリーダーシップがあって、ちょっと天然なところも含めて峰が想像できるんですよ。健介くんはとても繊細だから、バイオリンみたいに繊細な楽器をやらせたらすごく上手そう(笑)。
高橋 適当なこと言うなっ!
有澤 たぶん、超努力すると思います(笑)。

――ミュージカル『のだめカンタービレ』で好きなシーンを教えてください。
高橋 ドラマを見ていたので、全11話をよく1本の舞台にまとめられたなと思います。もちろん全部のキャラクターが出てくるわけではありませんが、「あの人がいないな」という感じはしませんでした。好きなのは第1幕ラストの仮装の場面。実際に着ぐるみを着ていて、最後に頭の部分をちょっと外して上野樹里さんが顔を出すのが、印象的です。あと「楽しい音楽の時間です」という決めゼリフのところも、ドラマもあって、かつミュージカルらしいパワーのあるシーンで好きでした。
有澤 僕は、最初のシュトレーゼマンの登場シーン。めっちゃかっこいいんですよ。
松島 最初の片付けのシーンとか、千秋先輩の部屋での会話とか、部屋の中のシーンが印象的でした。基本的に3分に1回は物語が展開していた気がするくらいスピーディーな中で、ちょっと気を許せる空間という感じ。すごく好きです。

――皆さんが演じる峰龍太郎は、どういう人だととらえていますか。
有澤 峰はとにかく愛されるキャラクターで、音楽も人も、自分の好きなものに素直にまっすぐに熱中しています。でも、結構抜けているところもあるのですが、だからこそ魅力的で、自分にすごく合う役だなと思いました。三浦(宏規)くんとか周りの人からも「ぴったりだね」と言われて、本当に楽しく演じられています。
高橋 峰のような存在はどのクラスにもひとりは絶対必要だし、いてほしい。そういう部分がとても素敵だと思います。

――ムードメーカーとして、ということですか?
高橋 そうですね。これはドラマの話ですけど、父親との関係も描かれていて、育ってきた環境がそのまま伝わってくる。そこが素敵だと思いました。
松島 誰からも愛される存在で、峰自身も誰も見捨てないというのが一番の魅力だと思います。千秋に対してみんなが疑問をもった時でも、峰だけは見捨てないでずっとそばで寄り添っていた。誰かのために尽力して、でも自分のやりたい音楽、自分の音楽があるというのがすごく魅力的で、大好きな男です。
最高のキャスト陣、最良の音楽
――峰というキャラクターを演じる人が変われば、雰囲気も変わるんでしょうか。
松島 まったく同じにやろうとしても絶対違うものに見えてくるでしょうし、きっと創り方もみんな違うんじゃないですかね。
有澤 今回、勇之介くんは出演回数が一番多いのでそこは掘り下げられる。問題は健介くんですよ。
高橋 お前も俺と一緒で1回だけでしょうが。
有澤 (笑)。ある意味、すごく特別感のある峰になると思うんですよ。
高橋 初演があってすでに完成されている作品に対して、僕と勇之介が新しく参加させていただくという形で、しかも僕は1回だけ。普段だったら自分が選ばれた意味、自分がやる意味や自分の強みを考えて、“自分が峰をやったらこうなる”っていうものを創り出すことに力を注ぎますが、今回は樟太郎が創り上げた峰に寄り添うというやり方もあるのかも。どのようにアプローチするかまだ悩んでいます。
有澤 健介くんも勇之介も、稽古や事前の準備を通してていねいに構築していくタイプだと思います。でも今回、僕と健介くんは1回ずつ。そこにかける勢いみたいな部分も問われるんじゃないかと思う。健介くんの一球入魂、見られるんちゃうかなと。
高橋 緊張でガッチガチになっちゃいそう。
松島 でもそれが、峰としていいエッセンスかもしれない。
――有澤さんは前回演じているからこそ、感じることはありますか。
有澤 ふたりにまず伝えたいのは、「このカンパニーは素晴らしい」ということです。シュトレーゼマン役の竹中直人さんが本当に本当に自由で、本番中でも思わず笑わせてくださる方です。
「こう生きられたら素晴らしいだろうな」という鏡のような人で、竹中さんのおかげで僕は初演の期間中、人生で一番笑ったんじゃないかと思います。上野さんをはじめ、共演者の方々から得られるものがこたくさんあるカンパニーです。今回もは稽古から本番まで、必ず充実した時間になると思います。
――東京フィルハーモニー楽団との共演を含め、楽しみにしていることや意気込みをお願いします。
松島 これまで体験したことのないような音のパワーを受けての歌唱やお芝居になると思います。一生に一度しかないかもしれない機会なので、物怖じせず楽しんで、松島らしさ、峰らしさを精一杯出していいロックを届けたいと思います。
高橋 クラシックのコンサートを観に行った経験はほとんどありませんし、これがどれだけすごいことなのかあまり理解できていませんでした。でも『のだめカンタービレ』っていうことで、『ウルトラマンX』に出演した時以上に地元の友人から連絡がきました。
有澤 好きなんだよ、そういうミーハーエピソード(笑)!
高橋 それで「すごい作品に出ることになったんだ」って、より気合が入りました。三浦くんも10代の頃から知っている後輩で、どんどんミュージカル界を引っ張っていくようになりました。たぶんデュエットもあると思いますけど、開口一番に「健介くんとデュエットする日が来るとは」と言われそう。
有澤 (爆笑)!
高橋 三浦くんの足を引っぱらないように、しっかりやります。後輩にも先輩にも周りの方々にも、自分がこれまでやってきたことをしっかり見せられるようにしたいと思います。
有澤 僕はベト7(ベートーヴェン「交響曲第7番イ長調作品92」)が一番楽しみです。三浦くんが指揮を振るというのは、最高の贅沢ですよね。本格的なフルオーケストラとの共演は本当に特別な経験ですし、お客さまにもきっと楽しんでいただけると思います。僕自身も一球入魂で、その一度をしっかり味わいたいです。

取材・文/金井まゆみ
撮影/石阪大輔
松島勇之介
ヘア:Hiroki Kitada
メイク:山口裕子
スタイリング:千野 潤也(UM)
有澤樟太郎
ヘアメイク:矢澤睦美(wani)
スタイリング:千野 潤也(UM)
高橋健介
ヘアメイク:小林雄美
スタイリング:千野 潤也(UM)
<公演情報>
ミュージカル『のだめカンタービレ』シンフォニックコンサート!
日程:2025年9月13日(土)~15日(月・祝)
会場:東京ガーデンシアター
[原作]二ノ宮知子 「のだめカンタービレ」(講談社「Kiss」所載)
[作詞・上演台本・演出]上田一豪
[音楽]和田 唱
[クラシック音楽監修・指揮指導]茂木大輔
[出演]
野田 恵:上野樹里
千秋真一:三浦宏規
峰 龍太郎:松島勇之介/有澤樟太郎/高橋健(日替出演・出演日順)
三木清良:華 優希/清水美依紗(日替出演・出演日順)
奥山真澄:大久保祥太郎
黒木泰則:竹内將人
江藤耕造:なだぎ武
フランツ・フォン・シュトレーゼマン:竹中直人 ほか
[ゲストピアニスト]石井琢磨
[演奏] 東京フィルハーモニー交響楽団(東京公演のみ)
[指揮] 田邉賀一
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