『正倉院 THE SHOW―感じる。いま、ここにある奇跡―』上野の森美術館で 超高精細映像による没入型展示や幻の名香「蘭奢待(らんじゃたい)」の再現も
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すべて見る奈良時代を中心とした古代の宝物約9000件を1300年近く守り伝えてきた奈良の正倉院。「奇跡の宝庫」とも呼ばれる正倉院の宝物は、毎年その一部が公開されているものの、作品保存の観点から展示の期間や条件が厳しく限定されている。その正倉院の宝物の美を、映像をはじめとした様々なメディアを通じて実感できるように工夫した「体感型」の展覧会が、9月20日(土)から11月9日(日)まで、 東京の上野の森美術館で開催される。
同展の見どころのひとつは、約1300年前の宝物と同じ材料と技法を用いた「再現模造」が展示されること。正倉院宝物の実物は展示されないが、《螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)》や《螺鈿箱(らでんのはこ)》といった有名な宝物の再現模造によって、当時の宝物の輝きを実感できるとともに、古代の人々の超絶技巧に思いを馳せることもできる。なお、琵琶については、音色の再現もあるという。
もうひとつの見どころは、最新の技術で宝物をスキャンして作成した高精細3Dデジタルデータを用いた映像が巨大スクリーンに映し出され、再現模造とともに鑑賞できること。肉眼では確認しにくい微細な部分まで正確に写し取った超高精細映像を通じ、美しい意匠の細部や質感まで堪能できるとともに、宝物の美しさに包みこまれるような没入感を楽しむことができる。

今回、初の試みとなるのは、天下第一の名香とされる香木で、戦国武将の織田信長が熱望したという歴史でも知られる「蘭奢待(らんじゃたい)」の香りの再現展示を行うこと。成分分析などの詳細な科学調査によって、謎に包まれてきたその香りがついに明らかになるという。
同展ではまた、正倉院にインスピレーションを受けた現代のアーティストたちによる新たな作品の紹介もある。ファッション界からはデザイナーでアーティストの篠原ともえ、音楽界からは音楽プロデューサーでベーシストの亀田誠治、写真界からは写真家の瀧本幹也、そして陶芸界からは陶芸家で絵付師の亀江道子が登場し、それぞれ新作を発表する。

なお、今回の音声ガイドは、来場者が自身のスマートフォン、もしくはタブレットで聴くことのできるタイプで、無料で提供される。数々の人気アニメで活躍する声優の神谷浩史がナビゲーターを務める。
<開催情報>
『正倉院 THE SHOW―感じる。いま、ここにある奇跡―』
会場:上野の森美術館
会期:2025年9月20日(土)~11月9日(日) ※会期中無休
時間:10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
料金:一般2,300円、大高1,700円、中小1,100円
チケット情報:https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2560722
公式サイト:https://shosoin-the-show.jp/tokyo/
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