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坂本昌行×海宝直人、3年半ぶりに「二人で13役」「ピアノ生演奏」に挑む、オフ・ブロードウェイ・ミュージカル 『MURDER for Two』

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インタビュー

チケットぴあ

(撮影/石阪大輔)

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二人の役者が、ピアノの生演奏をしながら計13役を演じるミュージカル『MURDER for Two』。3年半ぶり3度目の上演となる今回は9月6日(土)、7日(日)のパルテノン多摩 大ホールのプレビュー公演を皮切りに9月11日(木)からのEX THEATER ROPPONGIの東京公演を経て、全国6都市で33公演を行う。前回から引き続きこの異色の作品に挑む坂本昌行と海宝直人に、今作への意気込みを聞いた。

──『MURDER for Two』には坂本さんが2016年の初演から3度目、海宝さんは2022年の再演から2度目の出演となりますね。最初に再々演のお話を聞いた時のお気持ちは?

海宝 何よりも坂本さんがよくぞまたやるとおっしゃったな、と思いました。坂本さんがやるならばぜひ僕も、という思いでお受けしました。

坂本 僕はいい作品は「これ、出るよりも観たいな」と思うタイプなんです。でも、この作品は観たいよりもやりたいが勝つんですよね。難しければ難しい作品ほど自分を育ててくれると思うから、断る理由が見つからなくて。

──本作ではお二人が全編、歌はもちろん、ピアノの生演奏で弾き語りされるのも見どころですね。

海宝 ちょうどピアノの稽古が最近始まったんです。「僕、こんなにピアノ弾いてましたか?」と思って。脚本も読み返して「こんなにしゃべってましたか?」と(笑)。

坂本 本来13人の役者を呼ぶところを、たった二人でやる。それは、ある意味ばかげてる挑戦だけど、だからこその面白さがあるし、そんな作品をやれる喜びがあるんです。

──物語は偉大なアメリカ人作家のバースデーパーティーで起こった殺人事件から始まります。海宝さんは現場に駆けつけ捜査を行う巡査マーカスを、坂本さんは子どもから大人まで、男性も女性も含めて容疑者全員を演じられますよね。

坂本 真面目でまっすぐなマーカスは海宝君自身に似ていると思います。変に役を作ろうとせず、僕のどんな役もさらっと受け止めて、さらっと返してくれる海宝くんのマーカスがいるから、本番中何が起ころうと安心。リラックスして挑めるんですよ。

海宝 バレリーナの妖艶さから、クソガキたちの騒がしさまで、坂本さんが演じるそれぞれのキャラクターたちが立っているんです。役ごとの変化は眼鏡をかけたり帽子をかぶったりといったささやかなものなのに、終演後それぞれのキャラクターの顔が心に残っている。これはすごいことだなと思います。僕は少年合唱団員のシーンが特に好きで。演じる坂本さんは大変だと思いますけど……。

坂本 大変だからこそ面白いんだよね。ただ、どんな役者がきても成立するのが今作の魅力のひとつだと思うんだけど……、一度役割を変わってくれないかな、と思って。

海宝 ハハハ……。

坂本 海宝くんがやったらどうなるのか、ちょっと観てみたいんだよ。

──それは確かに観てみたいです。坂本さんは複数役を演じ分けるのにどのような工夫をされていますか?

坂本 前回は初演の時よりも、それぞれのキャラクターをイメージして作っていく輪郭をより深く、はっきりとしていこうというのがテーマでした。とはいえ、一つひとつの役を重くし過ぎてしまうと、かえってストーリーの邪魔にもなってしまう。そこはうまいさじ加減で、キャラクターをストーリーに置いていこうと心がけました。それは今回も同じだと思います。

──この作品は規格外の要素がたくさん詰まっていますが、改めてお二人が感じる今作の魅力を言葉にするとしたら?

坂本 稽古から本番まで、すべて予想がつかない作品なんです。お客さまもきっと、観て初めて「とんでもない作品だ」と感じてくださると思うんですよ。何しろ、本来ならキャストとオーケストラを呼んでやるところを全部二人でやるんですから。歌って芝居して、演奏して、フル稼働ですよね。それがこの作品のすごさだし、恐ろしさ。この作品を経験してから僕は各セクションの素晴らしさを再確認して、他のミュージカル作品で演奏がいつもより早いなと感じても「ちょっと今日オケさん早いよ」とか言わなくなりました(笑)。

海宝 はちゃめちゃなコメディなんですけど、クレバーな人たちが作った作品だな、というのがすごく感じられるんです。真面目にふざけている感じというか。ストイックさとバカバカしさのバランスが他にはない魅力だと思います。だからそれを成立させるために、僕ら自身もストイックにならざるを得ない。稽古場に入る前にお互い1〜2時間ピアノの練習をして、稽古を終えたら「ここだけもう一度やっておこうか」と確認しあって、結局最後まで合わせたり。

坂本 やったねえ。

海宝 それくらい役者としてはストイックに向き合いながら、お客さまの前に出る時はその部分を捨てて、作品の中で、はちゃめちゃに生きていく。それが魅力だなと思います。それと音楽がすごくいいんです。途中で拍子が変わったり転調したりと、音楽表現も多様で楽しめると思います。やる方は大変ですけど(笑)。

──これだけ大変な作品である上に、アドリブがあったり、観客の方と触れ合うシーンがあったりと、毎日変わる不確定要素もあるんですよね?

坂本 日々海宝くんにアドリブを仕掛けるのが楽しみのひとつでもあるんですよ。

海宝 演技はもちろん、演奏もあるし、坂本さんがおっしゃるようにアドリブもある。だからこそ、毎公演新しく、坂本さんとお客さまとセッションするような気持ちで挑めたらと思っています。

坂本 支え合い、寄り添い合いながら作っていけたら。

海宝 お互いの呼吸を感じながら!

坂本 始まったら幕が閉じるまで、お互い相手しかいないわけだから。

海宝 まさに二人三脚で、頑張りたいと思います。

取材・文/釣木文恵
撮影/石阪大輔

<公演情報>
オフ・ブロードウェイ・ミュージカル 『MURDER for Two』

〈プレビュー公演〉
日程:2025年9月6日(土)・7日(日)
会場:パルテノン多摩 大ホール

〈東京公演〉
日程:2025年9月11日(木)〜22日(月)
会場:EX THEATER ROPPONGI

〈宮城公演〉
日程:2025年9月27日(土)・28日(日)
会場:多賀城市民会館 大ホール

〈福岡公演〉
日程:2025年10月4日(土)・5日(日)
会場:久留米シティプラザ ザ・グランドホール

〈新潟公演〉
日程:2025年10月10日(金)・11日(土)
会場:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場

〈大阪公演〉
日程:2025年10月17日(金)〜22日(水)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

〈愛知公演〉
日程:2025年10月25日(土)・26日(日)
会場:東海市芸術劇場 大ホール

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/murderfortwo/

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