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栗山民也演出『明日を落としても』出演、牧島 輝インタビュー「舞台こそが生きる場所」

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チケットぴあ

牧島 輝 (撮影/藤田亜弓)

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兵庫県立芸術文化センター開館20周年記念公演『明日を落としても』に出演する俳優・牧島 輝が取材に応じ、作品への意気込みを語った。初舞台を踏んで10年目。今年は、本作を含め、すでに3本の舞台に立ち、12月にも新たな作品に挑む破竹の勢いだ。「舞台が大好きなので、これから先も舞台に立ち続けたい。舞台こそが、自分が生きる場所になると思っています」と、舞台への熱き思いをたぎらせている。

物語の舞台は新神戸駅の近く六甲山の山裾にひっそりと佇む創業80年の老舗旅館。社長の桐野雄介(佐藤隆太)のもとへ、かつてアルバイトをしていた神崎ひかる(牧島 輝)が訪ねてくる。やりたいことも見つけられず、何事も長続きしない17歳のひかるに、雄介は過去の自分自身を重ね、ボクシングを教え始める。阪神・淡路大震災が発生した1995年、そして30年の歳月が流れた2025年を巡る物語は、誰もが当たり前のように思い、ときに忘れがちな生きることの大切さ、明日を迎えることの奇跡を描く。

牧島は、自身が演じるひかるという青年にある種の親近感を覚えるという。

牧島 すごく正直で真っすぐ。不器用で、隣にいたら少しうっとうしいかもしれないけど(笑)、その素直さが尊いし、僕は好きです。名前も僕と同じ“ひかる”なので縁も感じます。僕は17歳で演劇を志しましたが、ひかるがボクシングに出合い、やりたいことを見つけた瞬間の気持ちは「あー、分かる!」と思いました。ただその分、彼の苦しみも理解できる気がしています。「僕も10代の頃はこんな感じだったかも」と共感できる部分が多いんです。

阪神・淡路大震災が発生した1995年は、牧島が生まれた年でもある。「自分にとっては、生まれる前の出来事。経験していない僕たちの世代が当時のことを考え、その思いを次の世代へも繋げていくことはとても大切だと思います」と、本作を通して震災と向き合う決意は固い。

演出を務めるのは日本演劇界を代表する巨匠、栗山民也。かつて、兵庫県立芸術文化センターのソフト先行事業『GHETTO/ゲットー』(1995年6月25日~7月1日)や、新国立劇場との共同制作で上演した開館記念公演『母・肝っ玉とその子供たち ―三十年戦争年代記』(2005年11月15日~20日)の演出も担当し、同センターと所縁が深い。

牧島は、昨年上演された栗山演出の『オーランド』を観劇したといい、「文字で書かれた台本から、どうすれば、あれほど鮮やかな表現方法を創造され、物語を構築できるのか。ただただ圧倒されました」と衝撃を語る。「どんな演出をしていただけるのか今はまだ分かりませんがとても楽しみな一方、ちょっとビビッています」と背筋を伸ばした。

ひかるにボクシングを教える桐野雄介を演じるのは佐藤隆太。「稽古を重ねる過程で、お互いの距離感が自然に生まれれば」と初共演に期待感。「ふたりとも関西ノリな役柄ですから、会話のテンポ感もかなり大切になるのではと思っています。関西弁の練習も始めたところです」と、準備に余念がない。

今年牧島は『ライチ☆光クラブ』『きたやじ オン・ザ・ロード~いざ、出立!!篇~』でタイトルロールを演じ、存在感を発揮。本年12月にはミュージカル『十二国記 ‐月の影 影の海‐』の出演も控えている。

牧島 『明日を落としても』を含め、今年はどの作品も演じる役柄がまったく違い様々な人生を演じることができました。「きたやじ」のようなコメディ作品にも挑戦する機会をいただけたことで、新しい自分を知ることができたと感じています。

「何度でも、立ち上がる――」。舞台『明日を落としても』から贈られる大切なメッセージについての思いを最後に牧島に聞いた。

牧島 この作品は、どれだけ備えても備えきれない災害が題材になっていますが、災害に限らず、人生は何度でも立ち上がって生きていくことの連続だと思います。人生はうまくいくことの方が少ない。だからこそ、何かに抗いながら、日々を送るみなさんを勇気づけられるような作品になればと思っています。僕自身は周りの皆さんにたくさん力をいただきながら今、舞台に立ち続けていますが、それもまた当たり前ではないという気持ちで、これからも精進していくつもりです。

取材・文/内田 涼
撮影/藤田亜弓

<公演情報>
兵庫県立芸術文化センター開館20周年記念公演
『明日を落としても』

【兵庫公演】
日程:2025年10月11日(土)~16日(木)
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

【東京公演】
日程:2025年10月22日(水)~27日(月)
会場:EX THEATER ROPPONGI

[作] ピンク地底人3号
[演出] 栗山民也
[出演] 佐藤隆太 牧島 輝
川島海荷 酒向 芳 尾上寛之 春海四方
田畑智子 富田靖子

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/asuoto/

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