〝なんなんだろう、このバンド〟猛暑の日比谷野音で魅せた、GRAPEVINEの鉄壁ライブ【ライブレポート】
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GRAPEVINE TOUR 2025 extra show Photo:Kazma Kobayashi
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すべて見るText:兵庫慎司 Photo:Kazma Kobayashi
「水分持ってるか? 塩分持ってるか?」
「水分摂ってるか? お酒は水分ちゃいまっせ!」
1曲目を始める前と、3曲目まで終えたところでの、田中和将のMCである。
念を押すみたいにそう言うのもわかるほど、暑かった。毎年毎年おそろしく暑い日本の令和の夏の中でも、特に記録的に暑い日が続いた2025年の、8月30日土曜日。東京の最高気温は38.5℃で、17時を回ったこの時点でも、33℃以上はあったんじゃないかと思う。
17時開演で、ワンマンで、まだよかった。これが、午前中から夜までの、1日がかりの野外フェスだったら……と、逆に感謝したくなるほどの、そんな天候の下、GRAPEVINEの、現在の日比谷野外大音楽堂における、最後のワンマンライブは行われたのだった。
5月28日にニュー・アルバム『あのみちから遠くはなれて』(通称『アミーチー』)をリリース。そのツアーは、前半と後半に分かれていて、前半が6月21日神戸から7月21日横浜までの11本、後半は9月6日福岡から9月20日岡山までの5本。かつ、「extra show」として、東名阪の3本(東京と大阪は野外で名古屋はホール)が追加になった。
この日は、その「extra show」の東京編。ということで、ツアーはまだまだ続くので、ネタバレは、ちょっと憚られる。ええと、どの程度なら、書いてもセーフだろうか。

『アミーチー』収録の10曲は、すべて演奏。自分が前回に観たこのツアー=7月20日横浜Bay Hallでも、『アミーチー』の10曲はすべて演奏されたし、どの曲も、ライブのポイントになる重要な位置に、配置されている。
その中の、とある曲の後半で、ボーカルとコーラスが、その曲の元ネタになっているアーティストの某曲になっていくところ、何度聴いてもワクワクする。あ、曲自体は全然似ていません。なのに、無理矢理のっけているところまで含めて、とても素敵なのです。
で。『アミーチー』からの10曲以外が、ガラッと入れ替わっていた。「あ、これやってくれるんだ!?」と言いたくなる、コア寄りな曲もそうだし、アンコールで披露される、いわゆる「ファンじゃなくても知っている」系の代表曲もそうである。
ゆえに「同じやつを二回観た」感じが、まったくしなかった。
そもそも、そんなに長々とMCをはさんだりするバンドではないが、この日はさらにそうだった、かもしれない。
ギターのチューニングなどのため、いったん演奏が停止するタイミングが、本編中に4回、アンコールで1回あったが、MCを入れたのは、1回目と4回目とアンコールの時だけ。
2回目と3回目は、それぞれ楽器のチューニングを直したり、田中が自らの背中に冷却スプレーをかけたりした後、しゃべらないまま次のブロックに行った。

しゃべるのが好きじゃない、というよりも、しゃべる必要を感じていないんだと思う。曲で十全に伝えることができている、という確信があるので。
というようなことを、このバンドのライブを観るたびに、考える。
ただ、1回目のMCでは、田中、「水分摂ってるか? お酒は水分ちゃいまっせ!」の前に、日比谷野音が改修でお休みに入るので、これはやっておかなければいけないと思った。よりにもよってこのクソ暑い日に……と、今回、ここでやることにした理由を、説明。
と、まあこんなところだろうか、書いても差し支えない範囲なのは。
あと、音がやたらと良かった。というか、自分はそう感じた。もともと自分の経験では、日比谷野音は、音がいいと感じることが多い会場だが、それらの中でも屈指だった気がする。自分と同じくらい、あるいは自分以上に、ここでいろんなバンドのライブを観たことがある方に「どうでした?」と訊いてみたい。

それから、言うまでもないが、演奏そのもの、歌そのもの、ライブ・パフォーマンスそのものは、ド級のすばらしさだった。
ただ、GRAPEVINEのライブを観て「なんかコケてんな」とか「今日イマイチだな」とか思ったことなど、過去にない気がするが……と記憶をさらうと、初めてライブを観た時、確か渋谷のON AIR WEST(今のSpotify O-WEST)。デビューしたて、もしくはこれからデビューするバンドがいくつか集まったイベント(今思うとレコード会社も事務所もイベンターもみんなバラバラだった。なんのイベントだったんだろう、あれ)で、初めて観た時からそうだった。全然新人っぽくない、もう完全にできあがっているライブをやっている、という意味で異彩を放っていたのがGRAPEVINEだった。

つまり、最初からそういうバンドではあったのだが、であっても、ここ数年のライブにおける鉄壁感は、その長いキャリアの中でも、群を抜いているように思う。
ロックとかバンドとかって、長くやっていれば良くなるものかというと、当然そんなわけはない。熟練すればいいってもんじゃないし、かといって、いつまでも瑞々しくなんていられない。
もっと言うと、聴く側である自分たちがあきらかに昔から知っている、ロックやブルースやソウル・ミュージックの要素でできている音楽だし、中には「あ、あのあたりが元ネタだな」とわかる曲もあるのに、どこにもない、聴いたことのない音楽になっている、この不思議さ。

かつ、作品が出るたびに、どこかが、何かが、必ず新しくなっている。「え、何これ!?」という驚きが必ずある。特にここ数年はそれが顕著だ。
なんなんだろう、このバンド。どうやったらこんなことができるんだろう。と、ライブを観るたびに、新しい音源を聴くたびに思う。で、きっとみんなそう感じるから、こんなにファンが離れないんだろうな、とも思う。
書いていて思い出した。6月7日(土)に、大阪城音楽堂でのイベント『ど根性フェス! 2』に出演したGRAPEVINEを観ていた時のこと。
自分の目の前、会場右方の壁際で、そのひとつ前に出演したフラワーカンパニーズのギタリスト、竹安堅一が、ステージを観ていることに気がついた。
このイベント、11:30開演で、終わる時間が早いこともあり、出番が終わると東京に帰る出演者が多かったが、彼は泊まりだったらしい。
で、どんなもんだかちょっと観に来た、という感じではない。ずっと観ている。友達だから、とかでも、たぶんない。お互いキャリアが長いので、さすがに面識ぐらいはあるだろうけど。
「いや、すごいね。なんなんだろうね?」。GRAPEVINEの出番が終わったところで声をかけたら、彼はそう言った。
「ねえ?」と返すしかなかった。その「なんなんだろうね?」の意味が、とてもよくわかったので。
あ、あともうひとつ。
アンコールで田中和将は、ツアー終了後にゲスト出演するZIONの対バンツアーの東京編、10月3日(金)東京・Zepp SHINJUKUの宣伝をしていた。
で、東京じゃないからなのか、言わなかったけど、そのさらに後日、長野県松本市・信州スカイパークやまびこドームで開催される『overhead fes.2025』の3日目、10月13日(月・祝)に出演することも、決まっています。


<リリース情報>
ニュー・アルバム
『あのみちから遠くはなれて』
発売中
◼︎通常盤(CD):3,630円 (税込)
◼︎配信リンク:https://jvcmusic.lnk.to/Farfromanyroad
<公演情報>
『GRAPEVINE TOUR 2025』
9月13日(土) 北海道・札幌ペニーレーン24
開場16:30 / 開演17:00
9月15日(月) 宮城・仙台Rensa
開場15:30 / 開演16:00
9月20日(土) 岡山・岡山CRAZYMAMA KINGDOM
開場16:30 / 開演17:00
【チケット情報】
スタンディング 6,000円(税込)
※ドリンク代別途必要
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2558426
『GRAPEVINE TOUR 2025 extra show』
9月21日(日) 愛知・名古屋 Niterra日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
開場 16:15 / 開演 17:00
9月23日(火) 大阪・大阪城音楽堂
開場 16:00 / 開演 17:00
【チケット情報】
指定席 6,500円(税込)
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2519396
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