『ゴースト 見えないものが見えるとき』アーツ前橋で “目に見えないもの”との対話から新しい可能性を考察、再開発が進む市街地での展示も
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尾花賢一《赤城山リミナリティ》2019年 撮影:木暮伸也
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すべて見る「ゴースト」をキーワードとして現代美術を紹介する展覧会『ゴースト 見えないものが見えるとき』が、9月20日(土)〜12月21日(日)、群馬・アーツ前橋で開催される。
同展では、「ゴースト(幽霊)」を、現代の混沌とした世界における目に見えないもの、消えたもの、取り残されたもの、あるいは現在に忍び寄る過去の気配、はたまた未来の可能性の隠喩として捉え、さまざまな視点から構成する。
例えば、魂や意思は生物に宿るだけでなく、人工知能(AI)や仮想現実(VR)などのメタバース技術にも現れるともいえる現代。山内祥太や平田尚也の新作をはじめ、その先駆ともいえるトニー・アウスラーの大規模なインスタレーションを展示。新しい絵画表現を展開する新平誠洙、マンガ界の巨匠・諸星大二郎など、多様なメディウムによるゴーストの表現を集め、人間対非人間の境界を問い直す。

また、歴史のなかで繰り返されてきた戦争や政治的抑圧による大量破壊や殺戮を現代まで続く課題として、クリスチャン・ボルタンスキー、丸木位里・俊、ハラーイル・サルキシアンらの作品を見つめる。また、アピチャッポン・ウィーラセタクン、松井冬子、岩根愛らによる、土地の儀礼や自然風景、個人的感情などと深く関わる作品も紹介する。

さらに再開発が進む新しい街並みを少し歩くと、かつての記憶を留めた古い街並みが所々に現れる地方都市「前橋」にもフォーカス。マームとジプシーは、広瀬川周辺をリサーチし、前橋空襲の生存者や製糸工場の女工たち、同劇団の主宰・藤田貴大の家族の記憶など、時空を超え、河畔から浮かび上がる声をインスタレーションとして展開。アーツ前橋をはじめ、前橋文学館や周辺の店舗にも作品を設置する。daisydozeは、前橋生まれの詩人・萩原朔太郎をモチーフとして、ヘッドフォンの音声を聴きながら市街地を巡るオーディオイマーシブシアターを繰り広げる。
目に見えないものを見つめ、対話を試みる展覧会から、現代をどう生きるか考えてみたい。
【出品作家】
岩根愛、丹羽良徳、ハラーイル・サルキシアン、尾花賢一+石倉敏明、諸星大二郎、ヒグチユウコ、平田尚也、松井冬子、新平誠洙、丸木位里・俊、竹村京、西太志、クリスチャン・ボルタンスキー、横尾忠則、諏訪敦、アピチャッポン・ウィーラセタクン+チャイ・シリ、トニー・アウスラー、マームとジプシー、山内祥太、daisydoze
<開催情報>
『ゴースト 見えないものが見えるとき』
会期:2025年9月20日(土)~12月21日(日)
会場:アーツ前橋 ギャラリー
休館日:水曜
時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
料金:一般1,000円、大学・65歳以上800円
※1階ギャラリーは観覧無料
※10月11日(土)、10月28日(火)、11月3日(日)、12月13日(土)は入場無料
公式サイト:
https://www.artsmaebashi.jp/
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